そもそも集団的自衛権⑤ 「限定」どころか
安倍首相は、「わが国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許される」としきりにいっています。「~のとき」「~の場合」と、行使するときの基準を付けるから集団的自衛権行使は「限定」されるので安心をというわけです。
■政府判断で
そもそも、だれがどのように「限定」するのでしょうか。安保法制懇(首相の懇談会)の報告書は、「政府が総合的に勘案しつつ責任をもって判断する」といっています。結局、時の政府の判断次第というわけです。
では、その判断の基準とは何でしょうか。
報告書は、「日米同盟の信頼が傷つくかどうか」、ということをあげています。集団的自衛権を行使しなければ“日米同盟が傷つく”と政府が判断すれば、行使に踏み切るというのです。
「日米同盟」といえば、政府が10年前にイラクへ自衛隊を派兵したときもそれが理由でした。今後も、米国が強く要求すれば、自民党政府が「日米同盟」を理由に米国の戦争に参加することは想像に難くありません。現にこれまで米国の軍事行動に反対したことはありません。
報告書はわざわざ、集団的自衛権を行使する自衛隊の活動について「憲法解釈上、地理的な限定を設けることは適切でない」と明記しています。政府の判断で地球のどこへでも自衛隊を派遣できるという主張です。
「風が吹けば桶屋がもうかる」式の発想で、「地球の裏側」で起こったできごとも「わが国の安全に重大な影響を及ぼす」ということになりかねません。

■中東も想定
実際、今度、政府が与党に示す事例には中東・ペルシャ湾への自衛隊派兵があります。ペルシャ湾などでの機雷・除去や商業船襲撃への反撃という戦闘行為を想定しています。
自衛隊はいまアフリカのジブチに海外基地を設けています。いまの任務はジブチ周辺の海賊対策。中東・アフリカ地域で集団的自衛権を行使するとき、この基地を活用するという予想もあります。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年5月27日付掲載
「~のとき」「~の場合」と「限定」をしてみたところで、時の政府の判断次第。
それも、「地理的な限定を設けることは適切でない」と言うのですから、やりたい放題です。
ちなみに…
【風が吹けば桶屋が儲かるの解説】
【注釈】風が吹けば砂埃のために目を病む人が多くなり、目を病んだせいで失明すれば音曲で生計を立てようとするから三味線を習う人が増え、三味線の胴に張る猫の皮の需要が増える。
そのため、猫の数が減少し、猫が減れば猫が捕まえる鼠の数が増える。
鼠は桶をかじるから桶がよく売れるようになり、桶屋が儲かることから。
桶屋が儲かる因果関係をいった昔話から出たことばで、それぞれの話の筋は通っているものの一つひとつの話が必然性に欠けているため、あまり現実的とはいえないだろう。
出所【故事ことわざ辞典】
安倍首相は、「わが国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許される」としきりにいっています。「~のとき」「~の場合」と、行使するときの基準を付けるから集団的自衛権行使は「限定」されるので安心をというわけです。
■政府判断で
そもそも、だれがどのように「限定」するのでしょうか。安保法制懇(首相の懇談会)の報告書は、「政府が総合的に勘案しつつ責任をもって判断する」といっています。結局、時の政府の判断次第というわけです。
では、その判断の基準とは何でしょうか。
報告書は、「日米同盟の信頼が傷つくかどうか」、ということをあげています。集団的自衛権を行使しなければ“日米同盟が傷つく”と政府が判断すれば、行使に踏み切るというのです。
「日米同盟」といえば、政府が10年前にイラクへ自衛隊を派兵したときもそれが理由でした。今後も、米国が強く要求すれば、自民党政府が「日米同盟」を理由に米国の戦争に参加することは想像に難くありません。現にこれまで米国の軍事行動に反対したことはありません。
報告書はわざわざ、集団的自衛権を行使する自衛隊の活動について「憲法解釈上、地理的な限定を設けることは適切でない」と明記しています。政府の判断で地球のどこへでも自衛隊を派遣できるという主張です。
「風が吹けば桶屋がもうかる」式の発想で、「地球の裏側」で起こったできごとも「わが国の安全に重大な影響を及ぼす」ということになりかねません。

■中東も想定
実際、今度、政府が与党に示す事例には中東・ペルシャ湾への自衛隊派兵があります。ペルシャ湾などでの機雷・除去や商業船襲撃への反撃という戦闘行為を想定しています。
自衛隊はいまアフリカのジブチに海外基地を設けています。いまの任務はジブチ周辺の海賊対策。中東・アフリカ地域で集団的自衛権を行使するとき、この基地を活用するという予想もあります。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年5月27日付掲載
「~のとき」「~の場合」と「限定」をしてみたところで、時の政府の判断次第。
それも、「地理的な限定を設けることは適切でない」と言うのですから、やりたい放題です。
ちなみに…
【風が吹けば桶屋が儲かるの解説】
【注釈】風が吹けば砂埃のために目を病む人が多くなり、目を病んだせいで失明すれば音曲で生計を立てようとするから三味線を習う人が増え、三味線の胴に張る猫の皮の需要が増える。
そのため、猫の数が減少し、猫が減れば猫が捕まえる鼠の数が増える。
鼠は桶をかじるから桶がよく売れるようになり、桶屋が儲かることから。
桶屋が儲かる因果関係をいった昔話から出たことばで、それぞれの話の筋は通っているものの一つひとつの話が必然性に欠けているため、あまり現実的とはいえないだろう。
出所【故事ことわざ辞典】