そもそも集団的自衛権① 海外で米国の戦争に参加
「国民の命を守る」というが
安倍首相は、「国民の命と暮らしを守る」ために、「集団的自衛権を行使できない」という憲法解釈を変えようと訴えています。

「集団的自衛権」は「自衛」と名がつくから、私たちを守ってくれるものだと思うかもしれませんが、そうではありません。
日本政府は「自分の国が攻撃されていなくても、密接な関係にある他国が攻撃されたときに武力で反撃する権利」だと説明しています。つまり、集団的自衛権とは他国の戦争に加わる権利なのです。
日本を守る自衛権は「個別的自衛権」というもので、集団的自衛権とは国際法上も区別されています。
「集団的自衛」というのだから、共通の敵から自分の国を守るために、みんなで助け合う権利ではないのか、という考えもあります。しかし、これも間違っています。
国連加盟国が集団的自衛権を行使すれば、国連に報告することになっています。報告された主な事例(表)を見ると、米国や旧ソ連といった強大な軍事力を持った大国が、ベトナムやアフガニスタンなど小さな国に攻め入っている事例がほとんどです。どう見ても侵略戦争です。
これがどうして「自衛」なのか?米ソは、狙った国の中に操り人形のような勢力(かいらい)をつくり、その勢力が「助けてくれ」といったから、助けにいったのだという建前にしているのです。
ただ、どこか後ろめたいのでしょう。米国は単独では攻め込まず、仲間(同盟国)を動員して「連合軍」を作ります。安倍首相が「集団的自衛権を行使できない」という憲法解釈を変えたいのは、米国の同盟国で日本だけが「連合軍」に加わることができないのは、肩身が狭いと思っているからです。
実際、首相は、米国が英国などを動員してイラクとアフガニスタンで戦争をやっていた2005年、「海外での紛争に米国と肩を並べて武力行使する」ようにするため、「憲法解釈に関する障害を取り除いていく」と述べました。
自衛隊が米軍とともに敵を殺し、自分たちも殺される―。そんな日本にすることが、真の狙いなのです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年5月23日付掲載
「国民の命を守る」と言うが、実際はアメリカの戦争に肩を並べて参加することが目的。殺し、殺される…。自衛隊員から戦死者がでることになります。
「国民の命を守る」というが
安倍首相は、「国民の命と暮らしを守る」ために、「集団的自衛権を行使できない」という憲法解釈を変えようと訴えています。

「集団的自衛権」は「自衛」と名がつくから、私たちを守ってくれるものだと思うかもしれませんが、そうではありません。
日本政府は「自分の国が攻撃されていなくても、密接な関係にある他国が攻撃されたときに武力で反撃する権利」だと説明しています。つまり、集団的自衛権とは他国の戦争に加わる権利なのです。
日本を守る自衛権は「個別的自衛権」というもので、集団的自衛権とは国際法上も区別されています。
「集団的自衛」というのだから、共通の敵から自分の国を守るために、みんなで助け合う権利ではないのか、という考えもあります。しかし、これも間違っています。
国連加盟国が集団的自衛権を行使すれば、国連に報告することになっています。報告された主な事例(表)を見ると、米国や旧ソ連といった強大な軍事力を持った大国が、ベトナムやアフガニスタンなど小さな国に攻め入っている事例がほとんどです。どう見ても侵略戦争です。
「集団的自衛権の行使」と主張された主な事例 | |
1956年 | 旧ソ連によるハンガリー軍事介入 |
1958年 | アメリカによるレバノン軍事介入 |
1958年 | イギリスによるヨルダン軍事介入 |
1960年代~75年 | アメリカなどによるベトナム戦争 |
1968年 | 旧ソ連・ワルシャワ条約機構によるチェコ侵攻 |
1979年 | 旧ソ連によるアフガニスタン戦争 |
1981年 | 米国によるニカラグア侵攻 |
1983年 | フランスによるチャド軍事介入 |
1983年 | アメリカによるグレナダ侵攻 |
1990~91年 | イラクのクウェート侵攻にたいする湾岸戦争 |
2001年~ | アメリカとNATOによるアフガニスタン戦争 |
これがどうして「自衛」なのか?米ソは、狙った国の中に操り人形のような勢力(かいらい)をつくり、その勢力が「助けてくれ」といったから、助けにいったのだという建前にしているのです。
ただ、どこか後ろめたいのでしょう。米国は単独では攻め込まず、仲間(同盟国)を動員して「連合軍」を作ります。安倍首相が「集団的自衛権を行使できない」という憲法解釈を変えたいのは、米国の同盟国で日本だけが「連合軍」に加わることができないのは、肩身が狭いと思っているからです。
実際、首相は、米国が英国などを動員してイラクとアフガニスタンで戦争をやっていた2005年、「海外での紛争に米国と肩を並べて武力行使する」ようにするため、「憲法解釈に関する障害を取り除いていく」と述べました。
自衛隊が米軍とともに敵を殺し、自分たちも殺される―。そんな日本にすることが、真の狙いなのです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年5月23日付掲載
「国民の命を守る」と言うが、実際はアメリカの戦争に肩を並べて参加することが目的。殺し、殺される…。自衛隊員から戦死者がでることになります。