く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 淇園の“指頭画”と再対面

2023年09月16日 | 美術

【無料招待デー、また特別企画展に】

 奈良市学園南にある私設美術館「大和文華館」が開館したのは1960年10月のこと。近畿日本鉄道の創立50周年記念行事の一つだった。文華館は年数回、無料招待デーを設けている。9月15日も近鉄創業記念日に伴う招待デーだった。開催中の特別企画展「文人サークルへようこそ」は開幕直後に訪れているが、“指頭画”をもう一度見ようと再び出かけた。

  

 指頭画は筆の代わりに指先や伸ばした爪で絵を描く画法。指墨や指画ともいわれる。中国・清時代前期の文人画家、高其佩(1672~1734)が技法を確立し、日本にも伝わって南画家たちに影響を与えた。その手法を逸早く取り入れたのが大和国郡山藩の上級藩士だった柳沢淇園(1703~58)。今展では『指墨竹図』(個人蔵)が初公開されている。墨をつけた指の腹で竹の葉を伸びやかに描いており、節の細い線は爪で描いたとみられる。

 高其佩の指頭画も1点展示中。山水画の掛軸『閑屋秋思図』。縦175㎝横50.6㎝もある大作だ(一番右側の作品)。深い山中の雄大な風景と庵で読書に耽る人物が描かれている。山肌や樹木に指紋の跡が残っているとのこと。しかし前回同様、残念ながら確認できなかった。

 指頭画で使う指はどの指? これまで主に利き腕の人差し指とばかり思っていた。ところがどうも違うようだ。高其佩の従孫(兄弟の孫)に当たる高秉(こうへい)の著作『指頭画説』(1771年刊)によると、高其佩は通常、親指と薬指と小指を使って描き、雲や水の流れを表す際にはこの3つの指を同時に使っていたという。

 日本の指頭画で有名な作品に、池大雅(1723~76)が京都・宇治の黄檗宗寺院、萬福寺の襖に描いた『五百羅漢図』がある。池大雅は若いころ柳沢淇園より薫陶を受けたという。今展ではその池大雅の『七老戯楽図』(右から2番目)のほか伊藤若冲の『釣瓶に鶏図』(3番目)、呉春の『春林書屋図』(4番目)なども展示中。大和文華館は四季折々の花も見どころの一つ。白やピンクの大きなフヨウが開花中だった。

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