く~にゃん雑記帳

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<奈良市写真美術館> 山内悠「惑星」展が開幕

2021年04月04日 | 美術

【入江泰吉の「法隆寺」展も同時開催】

 「入江泰吉記念奈良市写真美術館」(高畑町)で、写真家山内悠氏がモンゴルで撮影した写真の代表作を集めた「惑星」展が3日開幕した。山内氏は富士山の山小屋から撮り続けた夜明けの作品群で知られる。今回の写真展では自然の中でトナカイなどの動物と共に生活を営む遊牧民や急速な発展を遂げる首都ウランバートルの姿など、モンゴルの多元的世界の「いま」を紹介する。同館では入江泰吉(1905~92)の写真展「法隆寺 聖徳太子1400年御遠忌」も同時に始まった。いずれも7月4日まで。

  

 山内氏は1977年兵庫県生まれで、近畿大学商経学部卒業後上京してカメラスタジオのアシスタントに。その後2006年から4年間600日にわたって富士山7合目の山小屋でアルバイトしながら写真を撮り続け10年に写真集『夜明け』を発表。続いて14年から5年間毎年モンゴルに通い、20年に写真集『惑星』を発表した。現在は長野県の八ケ岳に在住する。知人から借地権を譲り受けたという。だが「家を建てようにもお金がない。そこでモンゴルのゲルを買いに行こうと思い立ったのが始まり」。山内氏は写真展初日のギャラリートークで、モンゴルに焦点を定めたきっかけをこう明かしてくれた。

 「自然と人間が調和した世界を撮りたい」と最初に向かったのがトナカイと共に暮らす遊牧民族ツァータンがいるモンゴル最北部の山間部。まだ見たことがないというモンゴル人の写真家と2週間ほどかけ車で行ける所まで行き、その先は馬で向かった。そこで目にしたのは「嘘のような楽園」だった。写真展のチラシを飾った写真もその1枚。その体験がモンゴル全土への旅につながっていく。ラクダと暮らす南部の遊牧民、タカと暮らす西部の遊牧民、そして国民の半数が住み近代的なビル群が立ち並ぶ首都ウランバートル……。中国の内モンゴル自治区にも足を延ばした。そこにはかつていた遊牧民は姿を消し、砂漠の中に異様な〝近未来建築〟が点在していた。だが、その街はゴーストタウン化していた。山内氏はそこで「ホンマに嘘の世界を見せられた」と話していた。

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