【シソ科アキギリ属、欧米でサルビアといえばセージのこと】
シソ科アキギリ属で、アキギリ属はサルビア属とも呼ばれる。日本でサルビアというと鮮やかな赤い花を連想する人が多いに違いない。これは「ヒゴロモソウ(緋衣草)」という和名を持つサルビア・スプレンデス種のこと。アキギリ属で花を観賞するものを日本ではサルビアと総称し、アキギリ属のうち薬用や香辛料になるものをセージと呼ぶ傾向が強い。
一方、欧米でサルビアというと一般にセージを指す。セージは古くから薬草として利用されてきた。古代ローマの植物学者プリニウスの『植物誌』にもその効用などが記されている。サルビアの語源は「健康」や「治療」「救い」を意味するラテン語から。セージという言葉自体もサルビアがフランス語のソージュとなり、これが英語のセージに転訛したともいわれる。
単にセージというと地中海沿岸地方原産の「サルビア・オフィキナリス種」を指す。このオフィキナリスは「薬用」を意味し、和名にも「ヤクヨウ(薬用)サルビア」と名付けられている。他のセージと区別するため「コモンセージ」とも呼ばれる。ヨーロッパ原産で「○○セージ」と呼ばれるものには、他に小型の「スパニッシュセージ」や大型の「クラリーセージ」(和名オニサルビア)などがある。
中南米原産には「アメジストセージ」と呼ばれ秋~初冬に咲く「メキシカンブッシュセージ」=上段の写真=や、濃い青紫色の花が印象的な「メドーセージ」=下段の写真=、パイナップルに似た香りの「パイナップルセージ」などがある。セージはローズマリーとともに強い抗酸化作用を持つハーブの代表格。英国のバラード『スカボロー・フェア』には「パセリ、セージ、ローズマリーにタイム」という歌詞が繰り返し出てくる。