く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> 「絶対!うまくなる 合唱 100のコツ」

2014年10月14日 | 音楽

【田中信昭著、ヤマハミュージックメディア発行】

 著者田中信昭氏は1956年に東京芸術大学卒業と同時に声楽家有志と東京混声合唱段を創立し常任指揮者に就任。2007年から理事長を務める。この間、桐朋学園大学客員教授、国立音楽大学招聘教授などを歴任。田中氏は「新しい日本の合唱曲を創る」ことを活動の柱としてきた。本書末尾に13ページにわたって合唱曲リストが「田中信昭のレパートリーより」として掲載されているが、その中にも作曲家に委嘱し自らの指揮で初演したものが多く含まれる。

    

 「よい歌を歌うことと、身体との関係」「豊かな表現を実現するために」などの8章で構成、タイトル通り合計100項目を立てて〝うまくなるコツ〟を伝授する。その第1項目は「声楽とは自分の身体を楽器にして自由自在な息づかいで歌うこと」とし、①発声法を身につける②呼吸法を身につける③音程をよくする――の3つを持続できる健康な身体を保つことが重要と説く。続いて「足の指10本を地面にぺったりつけた形で立とう」「息を送り出すのは腹筋ではなく横隔膜。筋トレでは横隔膜は鍛えられない」など、立ち方と呼吸のヒントを挙げる。

 以下、うまくなるコツを列挙すると――。「顎の開け方がよい音程を作る」「『うがい』を長く続けることは音程を保つ能力を育てる」「声の揺れは音程を乱すもと。毎日、横隔膜のトレーニングを」「ひとりだけ目立つのは最低のあり方。常にまわりとのアンサンブルを大切に」「アンサンブルは『30人31脚』の精神で」「さまざまな配置を試してみるとアンサンブルの上達に新しい道が開ける」「指揮を凝視するのではなくメンバーの様子を感じ取ろう」「届きづらい子音は長めに発音し表現の方向性をしっかり設定しよう」「表現豊かな演奏には『気持ち』ではなく客観的で確かな技術が必要」。

 第5章「豊かな表現を実現するために」ではベートーヴェンの「第九」第4楽章を取り上げて、楽譜をどう読み解いていけばいいかを説く。第7章では西洋と日本の合唱の歴史を紹介し、最終第8章は「お悩み相談コーナー」に当てている。その中で「曲が難しくてついていけません」という設問には「未知の曲も少しずつ読み解けば必ず道が見えてくる」とし、「歳をとるにしたがって音域が狭くなってしまいました」には「出ない音は人に任せたり、曲を変えたり工夫しながら歌い続けよう」と回答する。長く合唱の指導に携わってきただけに、経験を踏まえた指摘の数々は実に説得力に富んでいる。

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【Nコン中学生の部】町田市立鶴川二中が初の金賞!

 13日行われた「第81回NHK全国学校音楽コンクール」中学生の部は4年連続4回目出場の東京都町田市立鶴川第二中学が初の金賞に輝いた。2年連続の銅賞から一気に頂点に立った。銀賞は福島県の郡山第二中学。2008年から連続4年金賞を受賞した実力校で、一昨年は銀賞、昨年も銅賞を受賞している。

 銅賞2校は東京の豊島岡女子学園中学と札幌市立真栄中学。豊島岡は昨年の金賞校、真栄中は2年ぶり9回目の出場。真栄中は初出場の04年から4年連続して金、銅、金、金と圧倒的な存在感を示した。ただ、このところ全国大会出場を逃すなどやや精彩を欠いていただけに、銅賞受賞は生徒をはじめ関係者にとって大きな喜びに違いない。

 ちなみに私が勝手に選んだ上位5校は真栄中、郡山二中、豊島岡、山鹿中(熊本県山鹿市)、鶴川二中。山鹿中はNコン常連校で過去に銅賞を受賞したこともある。今年は演奏順がトップだったが、緊張感が漂う中で見事なハーモニーを聞かせてくれた。山鹿市には山鹿小と山鹿中の合唱部メンバーでつくる「山鹿少年少女合唱団」があり、毎年定演を開いているという。その山鹿小は全国大会で1昨年、昨年と2年連続銅賞を獲得、そして今年は銀賞を受賞した。  

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