【平安時代から約900年の伝統を誇る神宮最大の祭礼】
国内最古の神社の1つといわれる石上(いそのかみ)神宮(奈良県天理市布留町)で15日、同神宮最大の祭礼「例祭(ふるまつり)」が行われた。『石上大明神縁起』によると、白河天皇の勅命により平安時代の永保元年(1081年)に始まったという。稚児による荷前(のさき=初穂)奉納などの祭典終了後、午後1時に渡御の行列が御旅所に向けて出発、華麗な時代絵巻を繰り広げた。
御旅所があるのは4キロ離れた厳島神社の境内。同神社が同市田町(旧田村)にあることから「田村渡り」とも呼ばれる。行列は御霊代を乗せた御鳳輦(ごほうれん)を中心に神職ら150人余。御鳳輦の大きさは県内では最大規模という。先払い、太鼓を先頭に馬上の甲冑武者、猿田彦、弓・矢・太刀持ちなどが続き、御鳳輦の後には風流傘や花鉾などが従った。
神宮を出発した行列は国道25号から天理教の教会本部前、商店街の天理本通り、古い町並みの丹波市町などを通って御旅所へ。途中の田畑では刈り取り直前の稲穂が黄金色に輝いていた。氏子地域の各町内には「献燈」の提灯が高く掲げられ、家々の玄関口にも「御神燈」の提灯。お年寄りの方々は御鳳輦が差し掛かると手を合わせ頭を下げていた。この日は各町から子ども神輿も繰り出し、法被姿の子どもたちも沿道で行列を出迎えた。
行列が御旅所に到着したのは出発からちょうど1時間後の午後2時。御旅所祭の後、午後4時から還御祭。翌16日には後宴祭が執り行われる。