経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

アベノミクス・消費増税で大震災級のシッョク症状

2019年12月01日 | 経済(主なもの)
 10月の商業動態も鉱工業指数も惨憺たる数字だった。こんな具合だと、10-12月期の家計消費は、前期比-2.5%まで陥落し、東日本大震災の2011年1-3月期の-2.5%、リーマンショックの2008年10-12月期の-1.9%を超えるかもしれない。もっとも、前回増税時の2014年4-6月期の-5.8%よりはマシだから、政策対応で小さく済んだと、そやす向きも出て来るだろう。いやはや、もっと凄い愚行をしたことがあるから、このくらいの愚行は平気だと、愚行比べをするようでは、この国の先は見えているよ。

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 商業動態・小売業の前月比は-16.3と、駆け込みがあった9月の+7.6を勘案しても、落ち込みは大きい。しかも、10月の水準は、物価を調整すると、前回増税の2014年4月や大震災の2011年3月を下回るレベルになると考えられる。11,12月の反動減の戻り方にもよるが、10-12月期の家計消費は、前期比-2.5%に及ぶおそれが出てきた。増税に伴う反動減と所得効果で想定できる-1.8%よりかなり大きく、台風の影響のみならず、弱い基調への政策ショックが悪化を増幅している疑いがある。

 鉱工業生産も、前月比-4.3とネガティブサプライズとなった。7-9月期が前期比-0.6と、全体としては駆け込みらしきものが見られなかったにもかかわらず、急落した事態は深刻だ。その上、11,12月の生産予測が-1.5、+1.1にとどまっており、台風の影響からの回復生産が感じられないL字型になっている。このままでは、10-12月期の鉱工業生産は前期比-4.2にもなる。とりわけ、資本財(除く輸送機械)は、10-12月期の見通しが前期比-8.4と急激で、設備投資が崩れかねない様相を呈す。

 建設投資については、前回コラムで指摘したように、9月までの建設業活動指数は下向きになっている。鉱工業生産の建設財は、10-12月期の見通しが横バイにとどまるものの、気がかりは、10月の住宅着工が87.9万戸と、7-9月期の水準から更に-2万戸と切り下げたことだ。今回は増税前の駆け込みが小さいとされていたのに、住宅着工の低下傾向が止まらない。消費も、投資も、住宅も、民間需要は、軒並み不調であり、このように揃ってしまうのが消費増税の怖さである。

 他方、10月の新規求人倍率は、前月比+0.16の2.44倍と上昇したが、内容があまり良くない。求人の前年同月比が減少する中で、求職が更に大きく減ったことによるからだ。特に、製造業、卸小売業、その他サービス業で、新規求人の減少が深まっている。労働力調査でも、10月の完全失業率は2.4%と横バイで、就業者、雇用者ともに増えはしたものの、雇用者は7-9月期の水準を下回っている。製造業の不調を反映し、男性雇用者の動きが鈍く、19万も少ない水準にとどまったためだ。

(図)


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 増税のショックは、直接、間接を含め、愕然たるものがあるが、世間的な危機感は薄い。おそらく、日本なんてこの程度という期待感のなさがあると思われる。大きく下がった鉱工業生産も、原数値で見ると3年前と同じ水準で、フリダシに戻ったに過ぎないと言えなくもないし、低下した消費水準も、7年前のアベノミクスのスタート時に帰っただけという見方もできる。そんな「賽の河原の成長」に慣れてしまい、稼ぎは渋くとも働き口に困らないだけマシと達観しているのだろう。

 なにせ、失われた期間は20年を超え、会社の中堅でも、「成長する経済」は話に聞くだけになっている。政策的にも、マイナス成長に慣れっこになって、増税が出来ていたら御の字という価値観になっている。あとは、成長を味わいたかったら、海外へ出ていくしかない。それにしても、何のための消費増税なのか。景気を悪くし、そのとき限りの経済対策で大赤字を出しながら、継続性が必要な少子化対策は入りようがない。なるほど、出生数が減り、人口が崩壊するわけである。

 少子化対策のカギは、負担の重い乳幼児期の支援だ。結婚後、すぐに直面する事柄だからである。ところが、民主党の子ども手当も、自民党の教育無償化も、見事に0-2歳児を外している。財政負担が膨らむからと、肝心な部分を抜いて薄撒きにしてしまう。今度、10兆円の経済対策を打つくらいなら、年7千億円でできる非正規への育児休業給付でも実現したらどうか。預けて働かなくても良くなれば、保育需要を冷まして、待機児童を無くすことにもなる。まあ、やるべきことより、やれることで来たから、愚行比べの20年になったのだけど。


(今日までの日経)
 低格付け債バブルが変調 元本割れ相次ぐ、世界経済にリスクも。設備投資 計画比1.3%減 今年度、本社調査 車・電機で下振れ。景気不透明感 一段と 鉱工業生産、10月4.2%低下 外需縮小、増税・台風響く。経済対策 10兆円超に 政府調整、事業規模は20兆円超。増税後消費、厳しい出足 小売販売額10月7.1%減。中国、社債の不履行が最高に 2兆1700億円を突破 1~11月、幅広い業種で経営悪化。非製造業の純利益率最高 4~9月、生産性改善の兆し。


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