日経の一部論説というか、「小さな政府」路線の方々は、社会保障を圧縮して、企業にたっぷり資金を与えれば、経済は成長していくというナイーブな考えの持ち主のようだね。まあ、経済界の中には、とにかく企業を楽にしてくれれは、国の成長なんぞは知らんという御仁も居ろうが。
今日の日経社説は「国会は年金もらいすき正す約束果たせ」だ。エコカー補助金の終了で、年度後半に消費が弱まると心配されているのに、なんで、その秋に5000億円規模の年金カットを断行せねばならんのかね。正義感は分かるが、いつから、日経は、景気より不公平を重視するようになったのか。別に年金をカットしたからといって、企業の負担が軽くなるわけでもない。
こういう行状を見ていると、やはり、ケインズ言うところの「危険なのは利害より思想」というのが良く分かる。日経は「経済界の機関紙」なんて揶揄されるのだけど、経済界の利益の代弁者というわけでもなく、安っぽい思想に毒されているだけで、経済界にとっての利益が何なのかも見えていないようだ。
………
悪いが、思想と言ったって、お手軽なものなんだね。利害の追求は、ある種のリアリズムで、常に現実の動きを追い、対応を直していかなければならない。御都合主義と批判されても、実に手間がかかる。他方、「小さな政府」思想は、ワンパターンで、社会保障を叩き、企業優遇を求めればいいから、楽なものである。
リアリズムの場合、景気が悪ければ、もらい過ぎ是正はあとでと言い、景気が良ければ、是非にも正せとなるのだから、節操がないように見える。ただし、その背景には、経済にとって、成長が最も重要という基本的な考え方がある。それを犠牲にしても得なければならない価値が「目指す正義」にはあるのか、考えてしまうということだ。
………
今日の日経では、「医療費が最高の37.8兆円」という記事が出ていた。誰しも病からは遠ざかりたいから、「困ったものだ」という印象を持つと思う。他方、これは経済のある部分が成長していることも示している。四半期に一度のGDPの発表で、成長が高ければ、皆が喜ぶが、筆者は、政府消費の成長への寄与度0.1を確実に見込めるものと置いている。この内実は、医療の現物給付である。
ことによると、世間では、医療費や政府消費といった悲しむべき成長と、衣食住に関わる喜ばしい成長の二手に分けているのだろうか。すると、パチンコやモバイルゲームの成長は、どちらに分類されるのかね。人によっては、地球環境を害する化石燃料の成長だけでなく、自動車まで悲しむべきものと思うかもしれない。
………
経済運営において、戦略目標は成長であり、需要を安定させてリスクを軽減し、設備投資を促すことが欠かせない。この観点からは、年金の公平は贅沢な悩みだし、需要が不足している中で医療費を攻撃しても始まらない。やるなら、代わりのもの、それは保育の充実かもしれないし、ギャンブル規制の緩和によるゲーム振興かもしれないが、そうしたものが必要になる。
財政規律とか、世代間の公平とか、はたまた金融政策とか、世の中には規律を求める人は多いが、本当に規律が必要なのは、需要と供給のバランスであり、そのためには、サブシステムの柔軟性が求められる。サブシステムの規律をすべて守ることが、マクロ経済の規律を確立することにはならない。これは当たり前の話でしかないが、需要と供給は刻々と変わるものだから、ワンパターンの反応で楽をしたい人には、教えがたい「規律」である。
(今日の日経)
厚年基金に深まる苦境・脱退の判決。法的整理は劇薬なのか、危機感、リーダー、資金。社説・。対韓配慮の転換が鮮明・首相会見。米国介し対話を・アーミテージ。民間人任用は道半ば。厚労省が若年層の社会保険料給付の支払い超過に反論。研究開発減税の再拡充を・経産省。シェールガスの次は中国。被災地企業に人手不足。しまむら最高益、8月売上げ10%増。ツアーバス乗り合いへ。通勤高速バス。
※韓国はとうとう日本の「虎の尾」を踏んでしまったようだね。実効支配しているのだから、静かに実績を積むのが定石なのに、ロシアのマネをするから、こうなる。これから日本は、中国と同様、見返りなしに支援をしなくなる。甘く見た代償は小さくない。
※経産省は、また宗旨替えかね。いっそのこと法人減税はやめ、研究開発や設備投資にプラスになる政策を目指すよう旗幟を鮮明にしたら良い。法人減税は、金融会社に有利であり、バブルは膨らましても、設備投資の刺激には効率が悪い。経済界の要望を取り次ぐだけなら、役所の存在価値はなかろう。
今日の日経社説は「国会は年金もらいすき正す約束果たせ」だ。エコカー補助金の終了で、年度後半に消費が弱まると心配されているのに、なんで、その秋に5000億円規模の年金カットを断行せねばならんのかね。正義感は分かるが、いつから、日経は、景気より不公平を重視するようになったのか。別に年金をカットしたからといって、企業の負担が軽くなるわけでもない。
こういう行状を見ていると、やはり、ケインズ言うところの「危険なのは利害より思想」というのが良く分かる。日経は「経済界の機関紙」なんて揶揄されるのだけど、経済界の利益の代弁者というわけでもなく、安っぽい思想に毒されているだけで、経済界にとっての利益が何なのかも見えていないようだ。
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悪いが、思想と言ったって、お手軽なものなんだね。利害の追求は、ある種のリアリズムで、常に現実の動きを追い、対応を直していかなければならない。御都合主義と批判されても、実に手間がかかる。他方、「小さな政府」思想は、ワンパターンで、社会保障を叩き、企業優遇を求めればいいから、楽なものである。
リアリズムの場合、景気が悪ければ、もらい過ぎ是正はあとでと言い、景気が良ければ、是非にも正せとなるのだから、節操がないように見える。ただし、その背景には、経済にとって、成長が最も重要という基本的な考え方がある。それを犠牲にしても得なければならない価値が「目指す正義」にはあるのか、考えてしまうということだ。
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今日の日経では、「医療費が最高の37.8兆円」という記事が出ていた。誰しも病からは遠ざかりたいから、「困ったものだ」という印象を持つと思う。他方、これは経済のある部分が成長していることも示している。四半期に一度のGDPの発表で、成長が高ければ、皆が喜ぶが、筆者は、政府消費の成長への寄与度0.1を確実に見込めるものと置いている。この内実は、医療の現物給付である。
ことによると、世間では、医療費や政府消費といった悲しむべき成長と、衣食住に関わる喜ばしい成長の二手に分けているのだろうか。すると、パチンコやモバイルゲームの成長は、どちらに分類されるのかね。人によっては、地球環境を害する化石燃料の成長だけでなく、自動車まで悲しむべきものと思うかもしれない。
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経済運営において、戦略目標は成長であり、需要を安定させてリスクを軽減し、設備投資を促すことが欠かせない。この観点からは、年金の公平は贅沢な悩みだし、需要が不足している中で医療費を攻撃しても始まらない。やるなら、代わりのもの、それは保育の充実かもしれないし、ギャンブル規制の緩和によるゲーム振興かもしれないが、そうしたものが必要になる。
財政規律とか、世代間の公平とか、はたまた金融政策とか、世の中には規律を求める人は多いが、本当に規律が必要なのは、需要と供給のバランスであり、そのためには、サブシステムの柔軟性が求められる。サブシステムの規律をすべて守ることが、マクロ経済の規律を確立することにはならない。これは当たり前の話でしかないが、需要と供給は刻々と変わるものだから、ワンパターンの反応で楽をしたい人には、教えがたい「規律」である。
(今日の日経)
厚年基金に深まる苦境・脱退の判決。法的整理は劇薬なのか、危機感、リーダー、資金。社説・。対韓配慮の転換が鮮明・首相会見。米国介し対話を・アーミテージ。民間人任用は道半ば。厚労省が若年層の社会保険料給付の支払い超過に反論。研究開発減税の再拡充を・経産省。シェールガスの次は中国。被災地企業に人手不足。しまむら最高益、8月売上げ10%増。ツアーバス乗り合いへ。通勤高速バス。
※韓国はとうとう日本の「虎の尾」を踏んでしまったようだね。実効支配しているのだから、静かに実績を積むのが定石なのに、ロシアのマネをするから、こうなる。これから日本は、中国と同様、見返りなしに支援をしなくなる。甘く見た代償は小さくない。
※経産省は、また宗旨替えかね。いっそのこと法人減税はやめ、研究開発や設備投資にプラスになる政策を目指すよう旗幟を鮮明にしたら良い。法人減税は、金融会社に有利であり、バブルは膨らましても、設備投資の刺激には効率が悪い。経済界の要望を取り次ぐだけなら、役所の存在価値はなかろう。
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