欧米の景気に陰りが出てきた。金融引締めの効果があったのか? いやいや、住宅投資を別とすれば、6か月はあるとされるタイムラグからすると早すぎる。やはり、物価高で購買力が削られたためだろう。むしろ、コロナ禍からの回復局面で、賃金の上昇が伴っていたことが例外的で、それをインフレと見誤り、中立金利を超える無用な金融引締めに慌てて走ったというのが、本当のところだろう。
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門間一夫さんの『インフレ対応に見るこの世の不条理』は、またまた面白かったね。財政が需要削減と再分配で対応すべき事柄を、低所得層に犠牲を強いる金融引締めで対応してしまうことの不条理を説いている。学術界の認識と異なり、金融政策の効きの悪さを熟知する者なればこその見識だと思う。それを、政治は、薄々分かっていながら、勝手の良さと責任逃れのために、使ってしまうのだった。
真正面からインフレに対抗するのなら、消費増税においてしくはない。次いで、社会保険料のアップだ。実際、コロナ前に増税をしていた日本は、欧米に比べると、大いに物価安定に成功している。米国も、ドル高で世界に迷惑をかける金融引締めでなく、これらをやれば良かったわけだ。ただし、日米ともに家賃には消費税がかからないので、家賃高騰に苦しんだことにかんがみれば、ここに掛けることがポイントになる。
他方、日本は、米国と違い、低所得層への定額給付の制度がないので、需要削減と並行して行うべき再分配ができない。今回の経済対策、第二次補正予算でも、ど真ん中の政策を打てずに、難渋している。円安と物価高で、税収は、大いに上がって、需要を削減し、補正では3.1兆円もの上方修正になるのに、旅行支援により、人手不足で供給がネックになっている業界に注ぎ込むなど、還元は歪になっている。
それもこれも政治である。ガソリンや電気ガスに補助金を出すより、低所得層に社会保険料を定額で還元して、生活費を助ける方が効果的だが、やめられなくなることを危惧して、官僚は外してくる。制度創設が社会的、経済的な課題だったのだから、やめるまでもないし、GPIFはコロナ禍の金融緩和局面で37兆円も積立金を膨らませており、政治的な意志があれば、制度設計はできるのである。
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さて、9月の商業動態・小売業は前月比+1.2と伸び、7-9月期が前期比+1.3となったものの、物価上昇を勘案すると、ほぼゼロになってしまう。家計調査などの公表は来週になるが、7-9月期の消費は、横バイと見ている。他方、設備投資は、鉱工業出荷の資本財(除く輸送機械)が前期比+13.8にもなり、企業の建設投資も上向いているので、7-9月期は高めになりそうだ。ただし、鉱工業生産の予測指数の10,11月の平均は前期比でマイナスになっており、景気の牽引もここまでだろう。
(図)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/f7/5d7367a1596412aa4b82c20237fbfb07.jpg)
(今日までの日経)
住宅ローン膨張220兆円。2次補正の半導体支援策、日米研究拠点に3500億円。2次補正 国債増発22.8兆円。訪日客増へ人手不足の壁。GPIF、3四半期赤字、米利上げ響く。海運、運賃7~8割安、景気懸念、荷動き停滞。飲食、値上げの波乗れるか。米金利、5%超え視野。移住仲介機能の再構築を・是川夕。
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門間一夫さんの『インフレ対応に見るこの世の不条理』は、またまた面白かったね。財政が需要削減と再分配で対応すべき事柄を、低所得層に犠牲を強いる金融引締めで対応してしまうことの不条理を説いている。学術界の認識と異なり、金融政策の効きの悪さを熟知する者なればこその見識だと思う。それを、政治は、薄々分かっていながら、勝手の良さと責任逃れのために、使ってしまうのだった。
真正面からインフレに対抗するのなら、消費増税においてしくはない。次いで、社会保険料のアップだ。実際、コロナ前に増税をしていた日本は、欧米に比べると、大いに物価安定に成功している。米国も、ドル高で世界に迷惑をかける金融引締めでなく、これらをやれば良かったわけだ。ただし、日米ともに家賃には消費税がかからないので、家賃高騰に苦しんだことにかんがみれば、ここに掛けることがポイントになる。
他方、日本は、米国と違い、低所得層への定額給付の制度がないので、需要削減と並行して行うべき再分配ができない。今回の経済対策、第二次補正予算でも、ど真ん中の政策を打てずに、難渋している。円安と物価高で、税収は、大いに上がって、需要を削減し、補正では3.1兆円もの上方修正になるのに、旅行支援により、人手不足で供給がネックになっている業界に注ぎ込むなど、還元は歪になっている。
それもこれも政治である。ガソリンや電気ガスに補助金を出すより、低所得層に社会保険料を定額で還元して、生活費を助ける方が効果的だが、やめられなくなることを危惧して、官僚は外してくる。制度創設が社会的、経済的な課題だったのだから、やめるまでもないし、GPIFはコロナ禍の金融緩和局面で37兆円も積立金を膨らませており、政治的な意志があれば、制度設計はできるのである。
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さて、9月の商業動態・小売業は前月比+1.2と伸び、7-9月期が前期比+1.3となったものの、物価上昇を勘案すると、ほぼゼロになってしまう。家計調査などの公表は来週になるが、7-9月期の消費は、横バイと見ている。他方、設備投資は、鉱工業出荷の資本財(除く輸送機械)が前期比+13.8にもなり、企業の建設投資も上向いているので、7-9月期は高めになりそうだ。ただし、鉱工業生産の予測指数の10,11月の平均は前期比でマイナスになっており、景気の牽引もここまでだろう。
(図)
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(今日までの日経)
住宅ローン膨張220兆円。2次補正の半導体支援策、日米研究拠点に3500億円。2次補正 国債増発22.8兆円。訪日客増へ人手不足の壁。GPIF、3四半期赤字、米利上げ響く。海運、運賃7~8割安、景気懸念、荷動き停滞。飲食、値上げの波乗れるか。米金利、5%超え視野。移住仲介機能の再構築を・是川夕。
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