経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

決着のついた経済運営と次のアジェンダ

2024年04月07日 | 経済
 2月のCTIマクロは、名目が前月比+0.5と上向き、4か月ぶりのプラスとなり、水準を更新した。消費者態度が水準を更新したタイミングでの到達で、自動車の供給制約の中でのことだから、上出来だと思う。家計調査では、勤労者世帯の1,2月の名目実収入が前期比+2.2と高まっており、これが背景だろう。可処分所得の抑制によって停滞していた景気が加速してくれればと思う。

………
 日本経済は、デフレ脱却を果たしたが、始まりは、円安・資源高による物価高からだった。普通なら、消費増税のときのように、消費がへたってしまうが、コロナ禍による消費と所得のギャップを埋める過程だったことで、実質を維持し、名目を増やす形となった。これは、かなり意外なできごとで、売上げが伸びたことで、大幅な賃上げにつながり、日銀は、物価が見通せるということで、金融政策の正常化に至る。

 リーマンショック後の米国では、早々と財政出動を打ち切ったことで、回復が遅れ、長期停滞論が言われ、日本化が心配されたが、コロナ後は、財政出動を続けたことが急速な回復につながり、むしろ、行き過ぎてインフレになってしまった。慌てて金融引締めに走ったものの、金融政策では調整できないことが露呈してしまい。供給制約が緩むに従い、インフレが収まっていき、いまや、上げた金利をどう下すかになっている。  

 日本は、コロナ禍のギャップが埋まると、負担増で可処分所得を抑える悪い癖が出て、停滞させてしまったが、ここに来て、所得の高まりで、消費が上向く気配だ。4-6月期は、1-3月期の低所得層向けの給付に続き、所得減税もある。一時的な給付は、消費への効果は限られるにせよ、自然体で緊縮をしてしまうよりは良い。ことによれば、ここで景気がギアアップしてくれるかもしれない。

(図)


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 この15年ほどの経済運営の経験は、金融政策が為替と住宅にしか効かず、景気の加速にも減速にも役には立たない一方、財政をタイミング良く使う重要性を明らかにした。4-6月期に良い結果が出れば、経済運営の課題は、補正で景気対策を続けるのか、来年は減税をやめるのかになる。やれやれとばかりに一気に切ってしまえば、元の木阿弥だ。大規模な財政出動が続いた後は、1997年のように怨みの反動で余計に緊縮をやりがちだ。

 愚者は経験に学ばなければならないけれども、再分配をするには、「若い世代への投資」といった政治によるアジェンダの設定がいる。安倍政権では、新三本の矢だの、一億総活躍だのと、取って付けた感はあれど、成長から分配へ結びつける努力をしていた。今の岸田政権は、政治とカネの問題に追われ、それどころではない。巡り合わせとは言え、デフレ脱却を果たしたのだし、岸から池田ではないが、政治から経済へ雰囲気を変えるアジェンダがいる。


(今日までの日経)
 働き手「予備軍」、20年前から半減。半導体市況「谷底」脱す。米雇用、3月30万人増 予想上回る。超円安、投機筋が増幅 「理論値」142円。


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