KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

毎年恒例の花紀行

2022年04月08日 | 四国の山



毎年この時期は、神山町周辺を花紀行と題して、桜・菜の花・芝桜を見て回っている。

今年もあちらこちらで開花の情報が耳に入ってきていたが、

先月から出かけようと考えていた川井峠の枝垂れ桜は、日曜日にはまだ蕾だった様子だった。

反対に神山町の枝垂れ桜は満開から散り始めとなっていた。

週を開けて気温も上がってきていたので、川井峠はまだ少し早いかもしれないが、

その後神山町まで足を延ばせば枝垂れ桜を満喫できるだろうと思って出かけてきた。

奥様たちとは穴吹町で待ち合わせをして、その後国道492号線を南に車を走らせる。

途中、朝の光に輝く満開の枝垂れ桜に後部座席で一斉に歓声があがった。










道沿いの枝垂れ桜は、陽がまだ当たらず日陰の花と陽の当った日向の花の陰影が幻想的だ。





川井峠のトンネル手前の駐車場に車を停めて歩き始める。




この川井峠の枝垂れ桜は、北尾氏が約60年前に、隣町の神山町の二宮八幡神社から

桜の苗をいただき、それを丹精込めて増やし、今日では四国有数の桜の名所となったとある。

日曜日は蕾だったという枝垂れ桜も、遠目に見るとそこそこ咲いているように見えた。

ただ満開になれば参道に覆いかぶさるようにして咲く桜。やはりまだ少し早いようだ。

鳥居の下にはコーンが置いてあり『コロナ渦の為立ち入り禁止』と書かれていた。








鳥居の手前の道の脇には双眼鏡を置いた展望台がある。展望台からは東にまだ雪の残る剣山が見えた。

その剣山の左横に見える笹原のピークを指さし『あれが次郎笈!』と知ったかぶりで

話をしていると、展望台の下の畑から『次郎笈は剣山の奥やからここからは見えん、

あれは一ノ森や!』と声が聞こえてきた。声の主は畑仕事をしていたおじいさんだった。

そのおじいさんに『立ち入り禁止になってるけど、天行山へはどこから登ったらいいんですか?』

と尋ねると。『山に入るだけだったら通ったらええが~!』と言ってくれた。この方が北尾さん?







お言葉に甘えて、いつもの様に鳥居を潜って登山口へと歩いて行く。

参道を過ぎて畑の横からは、雪を抱いた山を見るのはこれが最後になるだろう剣山。

猪避けのフェンスの真ん中は、ベビーゲートが入り口の扉になっていた。














ベビーゲートを入り直ぐ薄暗い林の中を歩いて行く。しばらく歩くと東宮山への分岐となる。













更に進むと川井峠の下手にある『天行山窟大師堂入り口』登山口からの道と合流した。







更にその先にアカマツの大木のある休憩所。ここからは眼下に木屋平の集落が見下ろせる。

深い谷あいが剣山に向かって続いている。一ノ森の左手に少し下がったピークが

槍戸山だろうか?またここで知ったかぶりをして間違えるといけないので、

奥様たちには黙っておこう。










自然石そのままの石段とその脇に『立山に石段築く八町を大師一夜に設けしとなり』書かれた句碑。







石段を登りきると岩壁を背にお堂があり、石仏がたくさん並んでいた。

お堂は岩壁に食い込んで建てられていて、これが天行山窟大師堂だろうか?







斜面に並ぶ石仏の間を通って、山頂へと登って行く。

山頂までの距離は短いが、なかなかの急登だ。











天行山山頂は樹木に囲まれていて眺望はない。阿波史談では頂上には雨行大権現が

祀られていたとの事だが、今は石積みが残るだけだった。








山頂で一息入れた後、尾根続きの東宮山へと一旦下って行く。

葉を落とした木々の間から、その東宮山の三角の山頂が見えた。










自然林と人工林の混在する道を歩いて行くと、川井峠へ降りる分岐。

『帰りはここから下って行きます!』と奥様たちに声を掛ける。










そのうちに植林地の幅の広い作業道に飛び出した。所々立つ東宮山の道標を見ながら歩いて行く。










作業道の途中に、右に東宮神社、真ん中が東宮山と書かれた道標。

その道標に従って真ん中の尾根を登って行く。途中に『中内』と書かれた木が何本もあった。

この林は中内さんの所有の林なのだろうか?







尾根の道は直ぐに急登が始まった。前回WOC登山部で来た時は、かしまし娘の三人が

息を切らせながら登っていたのを思い出す。










急登を登ると次は痩せ尾根。そしてその痩せた背中を渡ると山頂直下の最後の急登。











東宮山山頂には二つの祠があった。この山頂から少し下がった場所にある

東宮神社の奥宮になる。1つは神山町のもので東宮神社と称し、天照皇大神・

国常立命を祀っている。もう1つは木屋平のもので、春宮神社と称して

土御門天皇・後嵯峨天皇を祀っている。この祠はもとは1つであったが、その所属を巡って

宝暦4年に両村の間に流血騒ぎがありのち、別々に社殿を建立したと伝えられている。

かつては東宮神社には、旧5月1日の祭礼には神輿や屋台まで出てにぎわい、

両村から約1000人の人が集まったそうだ。三角点は木屋平側の奥宮の裏手にあった。










神山側の奥宮の正面からは、南側の眺望が開けていた。直ぐに山座の同定が出来たのは

雨量観測所が見える高城山。その手前の稜線が砥石権現

そして高城山の左側に見えるのが雲早山だろうか?











時間は11時。そろそろ、あっちゃんが『お腹が空いた~!』と騒ぎそうだが、

今日はここに来るまでにおにぎり二個を頬張っているので、まだ大丈夫のようだ。

『お昼ご飯は下ってからにしましょう!』と言って山頂を後にする。




急坂を今回は何とか転ばずに下りられた。ここの所転倒ばかりしているのは

考えてみると先頭を行くルリちゃんの下りのスピードが速すぎて、

自分にはオーバースピードになっていたせいかもしれないと思い、

ストックを使いながら慎重に下ったおかげだった。急坂を下り作業道に出ると

気持ちがいいくらいの杉の高木が並び、その間に道が続いている。










途中で往路で話をした分岐から、川井峠へと直接下って行く。







こちらの道は倒木を潜ったり、跨いだりしてのアスレッチクの様相。

そのアスレッチクが終わると小ピークを巻くようにして続く幅の狭いトラバース道










電波塔まで降りてくると、右に峠の神社に降りる道とトンネルを越えて

林道へと続く道の分岐になっていた。下を見ると神社の参道と枝垂れ桜が見えた。

このまま神社に降りると、朝と違って他に観光客が居たりすると、立ち入り禁止と

書かれた中から出るのも気まずいと思い、そのまま直進して林道へと歩いて行く。

間引かれた杉林の道になると眼下に車を停めた駐車場が見えたので、

そのままショートカットでダイレクトに駐車場に降りて行く。










本当なら枝垂れ桜を見ながらのお昼ご飯としたいところだが、

さすがに駐車場にも車が次々と入ってくる。人前でバーナーを出してお湯を沸かすのも

少し人目が気になるので、駐車場でザックを降ろしてお昼ご飯にする。


お昼ご飯を食べた後はここからが『花紀行』。まずはトンネルを潜って神山町へ。

最初に訪れたのは江田の菜の花。恐らく時期的に少し遅いかな~と

思った通り、旬を過ぎた菜の花は疎らで、その代わりいつもよりあちこちに桜の花が目立っていた。













次に向かったのは神山温泉の西側にある四季の里・創造の森

小高い丘の様な大粟山の東麓に、アートの森の散策路があるが、その駐車場の脇が

今回のお目当て。足元は埋め尽くすほどの花びらが散っているが、

上を見るとまだまだ満開の様にも見える枝垂れ桜の公園。










その桜の木の下で、見上げると青空を背にまさに桜色一色。その桜の花が風に吹かれて舞い散る。

桜吹雪とはまさにこの事か!ヒラリヒラリと落ちて流れる花びら。


















過疎化が進む町をなんとか明るくしたいと始まった神山町の植樹。

「神山をしだれ桜で日本一美しい町にしよう」という20年以上に及ぶ一大プロジェクト。

神山さくら会の60代以降の数十人のメンバーが20年掛けて、町内に6,000本以上の桜を

植樹してきたおかげで、これだけの規模で枝垂れ桜を愉しめるのは全国的にも珍しいそうだ。







さらに驚かされるのはその次に向かったゆうかの里。個人で500本近くの枝垂れ桜を植えられた

斜面一面が枝垂れ桜の山肌になっていた。










道路わきの駐車場には次から次と車が出入りし、山の急斜面に続く道では、

家族連れやカップルの姿が平日なのに大勢見られた。
















枝垂れ桜は枝が垂れるほど柔らかく、他の品種よりも生育に手間がかかるのだそうだ。

先ほどのさくらの会から3本の苗木を分けてもらいスタートして、コツコツと

ここまで植えてきたその個人の方には頭が上がる。













そして今日の最後は神山森林公園。前日のFBで徳島のkyoさんが公園の中のソメイヨシノが

見頃とアップしていたのを見ての事だが、ここは桜の花だけでなく、YAMAPの山頂ピークの

西竜王山が目当てだった。奥様たちは天行山と東宮山を登った後、

川井峠の南にある富貴山風宮山のポイントをゲットしたいと予定していたが、

この時期の桜を見逃す手はないと思って、残りの二座を諦めさせて花紀行に変更した。

ただやはり花も水物。山を下りて車を走らせて、ひょっとして花が既に散っていたら、

奥様たちに何て言われるか分からない。そこで二座は諦めても別に一座はゲットできます!

と安全策をとって二人を納得させていたのだ。

ここでも家族ずれで賑わう駐車場から、公園の中を西竜王山らしきピークに向かって歩いて行く。

途中からアスレッチクに沿って登っていたが、山頂へ斜面を直登すると遊歩道に出た。















遊歩道の道標に従って歩いて行く。いつもの事だがルリちゃんは遊歩道を、あっちゃんは

無理やり直登で登って行っている。果たして今回は『急がば回れ!』かどうか?








いつもと違い今回だけは直登をしたあっちゃんが先に山頂に着いていた。

西竜王山の山頂には八大龍王が祀られていた。







これで今日は三座をゲット。奥様たちにはご満足いただけたかと聞いてみると、

今日一日大変満足いただけたようで、ほっと胸をなでおろす。

西竜王山から遊歩道を下り最後に北の展望台へと歩いて行く。小高い丘の上に建つ

木製の巨大な展望台からは、吉野川流域に広がる徳島の市街地が見渡せた。










少し空の色が変わり始めた。北の展望台からぐるっと公園内を歩いて駐車場へと戻って行く。

公園内にはまだ子供たちの声が聞こえているが、そろそろ皆さん帰り支度をしている。

園内で一番広い芝生広場を通り、この春最後の桜を見納め帰路につく。

















今日のトラック


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