果樹園の風

愛知県豊橋市で無農薬のレモンを栽培している河合果樹園です。
目指せ!楽しむ農業、楽しませる農業!

アントシアニンとイル・ポスティーノ2と河合果樹園見学会

2017年04月30日 07時44分04秒 | 日記・エッセイ・コラム
少加温タイプの無農薬レモネーディアはやっと小さな実になって、
これから肥大期に、無加温タイプはやっと満開を過ぎたあたり。
無農薬レモンは今年も死に花が多いため、心は荒波の上の小舟状態。
今年の特徴は新芽のアントシアニンが強烈なところ。
寒さで蓄積されるアントシアニンが多いということは、そう寒かったということ。
これだけの様相は初めてなのではてさてどうなることやら。
爽やかな朝の日差しの中、毎日の植物の変化を見て回る。
しっかり時間をとらなければ、つまり愛情をどこまでかけられるか。
この生業はどこまで行っても課題だらけである。

前々回で少し紹介させてもらったイタリアのナポリ島を舞台にした映画
「イル・ポスティーノ」をもう一度見てみた。
「チェスのルークのように」
「借りてきた猫のように」
「言葉に揺れる船のように」
といった隠喩の数々も見どころだし、
パブロの金言にも引き込まれた。
「詩は説明したら陳腐になる。」
「詩人は霊感の対象を知る必要がある。」
「詩は書いた人間のものではない。必要な人間のものだ。」等々。
一度目に見たときはこちらに目が行き、それもそれでよかったのだけれど、
2度目は少し違う視点がとても気になった。
それはいつも勉強会で何度も言わせてもらっているセリングポイント。

マリオはパブロに島の美しいものは?と問われて答えに窮した。
詩の表現を学んでいくうちに自然と島の美しさを見つけられるように。
セリングポイントを言えないことは、地域の問題点とオーバーラップする。
マリオは局長さんと一緒に、
自然が奏でる島の美しさをテープにとってパブロに送ろうと奔走する。
マリオの生長こそが芸術であり、地域の宝だと思った。

話変わって・・・。
5月~6月にかけて恒例の河合果樹園見学会を行おうと思います。
普段は仕事に支障が出てしまうため一般の方の見学はお断りしていますが、
河合果樹園の取り組みを理解していただくために開催します。
まだ日程が未定ですが、メールマガジンいて募集をさせていただこうと思います。
よろしくお願い致します。
メルマガ登録はこちらからどうぞ。http://kawaikajuen.jp/mailmagazine.html

河合果樹園 http://kawaikajuen.jp/








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春のうまいもの会と柑橘類と文明

2017年04月20日 08時49分52秒 | 日記・エッセイ・コラム
露地みかんの蕾が早いものでやっとマッチ棒大になって来た。
昨年はすでに摘蕾作業に入っていたのだけれど、まだ10日はかかりそう。
無農薬レモンも無農薬レモネーディアの開花も同じく遅れている。
3年目にして自然栽培園(定義は無農薬無肥料)につぼみが見えてきた。
順調にいけば収穫できるだろう。
楽しみにして待つのを、一人ではもったいないので満開になったら告知しようと思う。

昨日から山安食料品店さんで春のうまいもの会が始まった。
年に2回の売り出しに、河合果樹園の初恋シリーズも顔を出している。
普段よりかなりボリュームのある陳列は、本当にありがたい限りである。
一番のメインは、ご贈答用レモネーディア露纏のストレートジュース。
このタイミングでしか収穫もしぼることもできないというタイミングで
初めての試みの1000mlビンである。
春の初恋は少しの苦み体験として、想い出に刻み込まれている方々も多いだろう。
爽やかな新緑が目の中に飛び込んでくる季節を
少し早取りした感覚を味わって頂ければ幸いです。

絶対に今日こなさなければいけないと言った仕事がなくなったので、
恒例の春の読書週間に突入した。
とは言っても毎晩の少しの時間を当てて、細切れ状態で格闘するので、
これも仕事の一環となってしまう。
とうとう読破したのが、「柑橘類と文明」ヘレン・アトナー著、三木直子訳。
昨年読んだゲーテの「イタリア紀行」、トビー・ゾンネマンの「レモンの歴史」を
さらにイタリアという国を深掘りしながら知識を与えてくれるいい内容だった。
逆の順番で読んでいたら、少し難しいものになっていたかも知れない。

柑橘類の栄華と衰退の歴史は、どの産業にも当てはまる周期。
その背景には必ず、お金もうけだけを目的した取引がある。
だからそういった既存のシステムに巻き込まれないように、
スローフードという概念が生まれてきたのだろう。

話はまるっきり飛ぶが、P165~166の日本で言う成木責めの話がおもしろかった。
長年果樹農家をしていると似たような経験は必ずある。
だから今年もたくさんみかんやレモン達に話かけてみようと思う。







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こなす力とイル・ポスティーノ

2017年04月10日 10時10分47秒 | 日記・エッセイ・コラム
梅田側のほとりに咲く菜の花、それに合わせたように春の長雨、
すなわち菜種梅雨が仕事の進むのを邪魔する。
とうとう完売となった無農薬レモンに肩の荷はすこぶる軽くなった。
しかし同時に剪定作業、花の管理と続く。
雨が降ると当然湿度はたかくなり、温度も急上昇すると
病気が出ないかとまた肩の荷が重くなる。
とはいえ例年のごとく、担ぐ荷物は相当多い。
天命と思い、それを楽しむことにしているのは、
生きるには「こなす力」必要だから。
自分の力を外部委託して生きる現代人に
相反する生業なのかも知れないと自身を納得させる。
残っている発送を終えれば、少しお休みをもらってから、
夏に向けて冷凍レモンをネットショップで販売する。
レモンの温室の花、そのエネルギーに満ち溢れた力をもらい
嫋やかな仕事をこなしていきたい。

少し前、GYAO!からメール配信されてきたのは、
1994年制作のイタリア映画「イル・ポスティーノ」
1950年代の一時期、祖国チリを追われてナポリ湾のカプリ島に身を寄せていた
パブロ・ネルーダと郵便配達員との心の交流を画いた作品だ。

1年前にレモンライフ研究家として「Ode To The Lemon」を読んだり訳したり、
そしてカプリ島やアマルフィのレモンを調べたりしたことから、
この名作をいつか見たいと思っていたところだったので、
不思議なつながりに心ときめかせ見させてもらった。
南イタリアの素朴な漁村を背景に進む、
パブロと郵便配達員のマリオが織りなす隠喩の数々は、
河合果樹園経営塾での講義で説明してきた、
本物の農産物販売における伝え方の学習には最適解となる。

映画を見てちょっぴり残念だったのは、
ソレントを舞台にした「愛さえあれば」という映画のように、
パブロが詠ったレモンの景色が出てこなかったことだ。
それはあえて出さなかったということなのかも知れない。
黄色のレモンが成っている様は、イタリアの明るさと陽気さを想像させてしまうから。
力強く知的な表現には、多くを失う悲しみと体制への批判が背景にあるのだと思う。

河合果樹園 http://kawaikajuen.jp/









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