果樹園の風

愛知県豊橋市で無農薬のレモンを栽培している河合果樹園です。
目指せ!楽しむ農業、楽しませる農業!

こなす力とイル・ポスティーノ

2017年04月10日 10時10分47秒 | 日記・エッセイ・コラム
梅田側のほとりに咲く菜の花、それに合わせたように春の長雨、
すなわち菜種梅雨が仕事の進むのを邪魔する。
とうとう完売となった無農薬レモンに肩の荷はすこぶる軽くなった。
しかし同時に剪定作業、花の管理と続く。
雨が降ると当然湿度はたかくなり、温度も急上昇すると
病気が出ないかとまた肩の荷が重くなる。
とはいえ例年のごとく、担ぐ荷物は相当多い。
天命と思い、それを楽しむことにしているのは、
生きるには「こなす力」必要だから。
自分の力を外部委託して生きる現代人に
相反する生業なのかも知れないと自身を納得させる。
残っている発送を終えれば、少しお休みをもらってから、
夏に向けて冷凍レモンをネットショップで販売する。
レモンの温室の花、そのエネルギーに満ち溢れた力をもらい
嫋やかな仕事をこなしていきたい。

少し前、GYAO!からメール配信されてきたのは、
1994年制作のイタリア映画「イル・ポスティーノ」
1950年代の一時期、祖国チリを追われてナポリ湾のカプリ島に身を寄せていた
パブロ・ネルーダと郵便配達員との心の交流を画いた作品だ。

1年前にレモンライフ研究家として「Ode To The Lemon」を読んだり訳したり、
そしてカプリ島やアマルフィのレモンを調べたりしたことから、
この名作をいつか見たいと思っていたところだったので、
不思議なつながりに心ときめかせ見させてもらった。
南イタリアの素朴な漁村を背景に進む、
パブロと郵便配達員のマリオが織りなす隠喩の数々は、
河合果樹園経営塾での講義で説明してきた、
本物の農産物販売における伝え方の学習には最適解となる。

映画を見てちょっぴり残念だったのは、
ソレントを舞台にした「愛さえあれば」という映画のように、
パブロが詠ったレモンの景色が出てこなかったことだ。
それはあえて出さなかったということなのかも知れない。
黄色のレモンが成っている様は、イタリアの明るさと陽気さを想像させてしまうから。
力強く知的な表現には、多くを失う悲しみと体制への批判が背景にあるのだと思う。

河合果樹園 http://kawaikajuen.jp/









コメント
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