果樹園の風

愛知県豊橋市で無農薬のレモンを栽培している河合果樹園です。
目指せ!楽しむ農業、楽しませる農業!

マイナス5度と限界値、そして旅立ち

2018年01月28日 09時48分58秒 | 日記・エッセイ・コラム
前回とはうって変わって、一気に最低気温がマイナスに。
大寒とはよく言ったものだと感心する。
収獲中のレモネーディアの温室では
あまり長い間ではないがマイナス5度を温度計がさしていた。
案の定、一部凍害が発生している。

通常の概念からやや飛び出したところで栽培しているため、
致し方ないことなのだが、作り手の精神状態を揺さぶる出来事だ。
こういったことは自然を相手にしているものでなければ、感じえないものだと思う。
だから天候の異変をさておいて、農産物の値上がりだけを憂う風潮が蔓延する。
物がないため値上がりするのであって、生産者の懐模様は察しえない。
とうとう国産農産物の生産力は、限界値を超えたと聞こえるようになった。
つまり作り手がいなくて、足りない状況が続くということ。
これからは私が以前から提唱している、
お抱え農家を持つようにしないと困ることになるはず。

流行に合わせて仕入れ量を変えるようなシステムから難しくなると思う。
物事の考え方の基準を現場に戻してもらいたいし、そうしないと作り手は増えない。
数字に頼ってばかりで、困ってからでは遅いのである。

いい夫婦の日に、仲良くしてきた鶉肉農家の友が旅立っていった。
まだ42歳という若さ、そして国内唯一の鶉肉生産者。
豊橋の至宝への階段を駆け上っている真っただ中での出来事。
無念としか言いようがない現実になかなか気持ちの整理がつかない。
新たな挑戦をしながら、階段を駆け上がるのにはものすごく大きな力を必要とする。
その過程で体に異変を起こすことは、私も実際に何度か遭遇した。
生産物をケアする知恵は流布されているのに、
生産者をケアする知恵は個人責任という名のもとに全く考えられていないので、
それに気づいたものだけが何とかやり過ごすことができる。

多くのオーダーに応えるため、お客様を大切にすることは素晴らしいことである。
しかし世の常なのは、すぐにそれが当たり前になってしまうこと。
無理を聞くことが、現場を追い込み疲弊させる。
私たちはもっとわがままな部分を持ってもいいのではないだろうか。
「自然相手なのだから、気にしないで」優しく心の広いお客様の言葉が、
西方の寒空に逆に浮かんでくる。

河合果樹園 http://kawaikajuen.jp/

凍害が起こると水分が少なくなり、果皮が白くなります。
そして最後は木から落ちてしまいます。





 
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マザーヴィクトリアの収穫予想と二川サイフォン2

2018年01月18日 13時40分25秒 | 日記・エッセイ・コラム
一転、三月の陽気にまとまった雨が降った。
暖かさと寒さの競演は、来シーズンの露地みかんの出来にはどう影響するだろうか。
今シーズンよりは花が多いのは明白。
この共演で花芽は充実し、多くの実が止まるだろうと個人的には予想する。
和歌山の方からのかゆ占いでは、豊作だとの書き込みがMLにあった。
春には花摘み作業が忙しくなりそうある。
まだ収穫していないのはマザーヴィクトリアという種類。
寒波に会うとやられてしまうため、天気予報と作業の組み合わせを考えて
ぎりぎりで収穫したいと思う。
当園も初成りなので本当の能力は引き出せないが、
来年へ向けての少しばかりの宣伝になるだろう。
生ジュースにはぴったりの品種で、個人的にはさっぱりした味が好きなのだが、
ご時世の上ではやはり高糖度になるまで我慢するため、寒さとの戦いである。

新しいチャレンジ、はたまたどうなるやら・・・。

先日、尾崎まさてる市議会議員のロワジールホテルでの新年会に出席した。
町内の年中行事として、体調が悪くなければ出席させてもらっている。
普段会えない人と会えたり、
大先輩方の古の経験を聞かせてもらう数少ない機会だという側面もある。
河合果樹園の温室の下も通っている、二川サイフォンの正確な位置を教えてもらった。

直径3メートル前後の車が通れるほどの大きさのサイフォンは、
110年という地上権が設定されていて、自身が生きている間に完結できないほどである。
今年でやっと通水50周年なので、まだ半分以上残っていることとなる。
農家の数が風前の灯火となる昨今から見ると、いったいどうなるんだろうと思えてくる。
農家個数が多くて大勢の人がいた時代から、
今の現状からみると大局に立ってシステムを変える必要があるのは明白だろう。
立ち上がりから水が何の苦労もなく取り出せることは、深く感謝しなければいけないが、
やはりどこかしっくりこない遅れている対策に思うものがある。
搾取される側(下支えする側)が大勢いる時代のシステムからどう変わるか、
豊川用水通水50周年を契機に多くの人が農に近づいてもらいたい。

河合果樹園 http://kawaikajuen.jp/

二川サイフォンが直下を走る奇岩立岩







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初日の出と二川サイフォンとみかえり阿弥陀

2018年01月07日 16時22分53秒 | 日記・エッセイ・コラム
新年初めてのブログ、今年も心新たに
果樹園の徒然と豊橋の魅力を書いていこうと思います。
2005年から始めたブログも、
あっという間に過ぎ去って私の手に歴史を刻んできました。
時々、ブログの内容について言ってくださったり、
思わぬ共通点を掘り起こしてくれたりして、
農の本質に迫ってくれる方々には感謝しきれないほど。
人は経験でしか本質を理解できないといわれるけれど、
その一翼だけでも理解することは必ず投票という消費構造につながらる。
それが地域の魅力となることで、地域力が上がる。
初心に戻って、ぶれない仕事をしていきたい。

本年もどうぞよろしくお願いします。

十何年かぶりに河合果樹園の北方を守ってくれている奇岩立岩に、
初日の出を見に行った。
以前はとても大勢の人がご来光を拝みに来ていたが、パラパラと静かな初日の出だった。
雲もかからずはっきりとオレンジ色に輝く太陽は、
ちょうどレンゴー株式会社豊橋工場の延長線上に現れ、
明暗のコントラストを地上に振り撒く。

帰りがけに立岩の裏側から直下を抜けて東細谷まで作られている
豊川用水の二川サイフォンをのぞき込み、その恩恵にも祈る。
またこの難工事で亡くなられた16名の方々にも・・・。

新年からそんなことをアクティブに考えながら、34年目の農が始まった。

七草がゆのニュースが流れる中、
乾燥と寒さでレモネーディア露纏は堪えきれる時間は短くなってきた。
月曜日の雨の後は、すが上がってしまう前に収穫してしまうことになるだろう。
そして今年も昨年好評のうちに終わってしまった
レモネーディア露纏「睦月の雫」を絞ることに。

このタイミングでという判断が難しいが、この一月しかチャンスはない。
だから睦月の雫、1リットル瓶はいろいろな料理や飲み物に変わって、
お店での爽やかさの演出にむく。
唯一無二の河合果樹園の抵抗は、苦しいけれど自然の力の反対側にある。
本来は協調と行きたいところだけけれど、
やはり温暖化の猛威のため仕方がないと諦める。
34年目とはいえ、一年生だという認識も必要なんだなと、
永観堂の見返り阿弥陀を思い出す。

河合果樹園 http://kawaikajuen.jp/





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