かるさんのgooブログ <北国たより>

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酒と羊羹と・・・歴史小説作家「火坂雅志」の作品から

2010-05-04 21:39:00 | インポート

昨年のNHK大河ドラマ「天地人」の原作者として、一段と注目を集めている作家です
下積みのころは「伝奇小説」から始まり「花月秘拳行」が世に出るデビュー作とされています。

氏の作品は、天下取りや国盗りに名を残した人々よりも、それを陰で支えた「軍師、謀将、政商、高僧」を描くことを得意としています。

出身地は「雪深い越後の国」で、ことさら酒豪といわれた上杉謙信とその家老直江兼続に思い入れがあるようです。
それかあらぬか、氏もお酒が好きなようで、エッセイーには「一人で飲む酒」「街の焼き鳥やで飲む酒」などの風景がしばしば書かれています。

そんな氏の作品に「羊羹合戦」という短編小説があります。
豊臣秀吉が作らせて自慢した、伏見の鶴屋(後の駿河屋)の「紅羊羹」を超えるべく、上杉景勝が家臣に命じて羊羹を創らせる話しです。

苦労の末出来上がったのが、切り口が翡翠色で表面は粉雪をまぶしたような白に被われた『越乃初雪』というみごとな羊羹でしたが・・・

けっきょく秀吉の自慢の鼻を折ることを恐れた上杉景勝と家老兼続は、これを献上することを憚り、この羊羹は日の目をみることはありませんでした。

ついでながら、同じ頃加賀前田家でも同じように羊羹創りが始まり、その菓子屋の末裔が現在も本郷三丁目にある菓子舗「藤むら」だそうです。

酒も甘いものも両方イケル口の氏が、各地のおいしい羊羹を紹介しているくだりがあります。

「松山の薄墨羊羹」「伏見駿河屋の紅羊羹」「名古屋の上り羊羹」「二本松玉嶋屋の本練り羊羹」「羽前小松の塩小倉」などが挙がっています。

甘味に目の無い私には、書くだけでもヨダレがでそうな話しです。
一度はネット通販で味わってみたい・・・と切に思うひまな一日でした。
photo by karusan from OCNフォトフレンド

<雨に煙る河口の灯台>