本「あるキング」
伊坂幸太郎(浜松南図書館)
プロ野球のペナントレースで毎年、最下位を争う弱小球団「仙醍キングス」を
こよなく愛する夫婦の間に生まれた少年「王求(おうく)」の成長の物語です。
投手がボールを手放す直前に「ボール」と「ストライク」を見分けられるという特殊な能力と
不断の練習と努力が実を結び、小学校四年でプロ野球のピッチャーのボールをホームランにして
打ち返すのですが、不運が重なります。
そんな王求の0歳、3歳、10歳などの野球に関係したトピックスのある年の
連作です。
「いじめと言っても、それほど悪質ではないようです」
「いじめに良質も悪質もないだろう」
「まあ、そうですね。でもいじめている生徒がはっきりしないみたいです」
「そりゃ悪質だろう」
とか
「王っていうのはすごいんだ」
「どうすごいんだ」
「みんなを思いのままにできるの」
「どんな風に」
「『あの者の首をはねろ』って王様が言うと、その通りになっちゃうの」
「そんな王は物騒で煩わしいだけだ」
「その逆に、王は人を救うこともできるの」
「救う?」
「『争いをやめろ』と声を張り上げれば、争うは止むの。病人を指差して『この者の命を救うのだ』と言えばね、病人は助かるの」
そんなシーンが印象に残りました。
☆☆☆☆★
伊坂幸太郎(浜松南図書館)
プロ野球のペナントレースで毎年、最下位を争う弱小球団「仙醍キングス」を
こよなく愛する夫婦の間に生まれた少年「王求(おうく)」の成長の物語です。
投手がボールを手放す直前に「ボール」と「ストライク」を見分けられるという特殊な能力と
不断の練習と努力が実を結び、小学校四年でプロ野球のピッチャーのボールをホームランにして
打ち返すのですが、不運が重なります。
そんな王求の0歳、3歳、10歳などの野球に関係したトピックスのある年の
連作です。
「いじめと言っても、それほど悪質ではないようです」
「いじめに良質も悪質もないだろう」
「まあ、そうですね。でもいじめている生徒がはっきりしないみたいです」
「そりゃ悪質だろう」
とか
「王っていうのはすごいんだ」
「どうすごいんだ」
「みんなを思いのままにできるの」
「どんな風に」
「『あの者の首をはねろ』って王様が言うと、その通りになっちゃうの」
「そんな王は物騒で煩わしいだけだ」
「その逆に、王は人を救うこともできるの」
「救う?」
「『争いをやめろ』と声を張り上げれば、争うは止むの。病人を指差して『この者の命を救うのだ』と言えばね、病人は助かるの」
そんなシーンが印象に残りました。
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