ぱぐぱぐ通信

環境にわるいペットボトル飲料を買わないジョー・てるりんの絵日記みたいなものです。

本「あるキング」

2012年02月16日 19時07分42秒 | おすすめ
本「あるキング」

伊坂幸太郎(浜松南図書館)


プロ野球のペナントレースで毎年、最下位を争う弱小球団「仙醍キングス」を

こよなく愛する夫婦の間に生まれた少年「王求(おうく)」の成長の物語です。

投手がボールを手放す直前に「ボール」と「ストライク」を見分けられるという特殊な能力と

不断の練習と努力が実を結び、小学校四年でプロ野球のピッチャーのボールをホームランにして

打ち返すのですが、不運が重なります。

そんな王求の0歳、3歳、10歳などの野球に関係したトピックスのある年の

連作です。




「いじめと言っても、それほど悪質ではないようです」
「いじめに良質も悪質もないだろう」
「まあ、そうですね。でもいじめている生徒がはっきりしないみたいです」
「そりゃ悪質だろう」



とか



「王っていうのはすごいんだ」
「どうすごいんだ」
「みんなを思いのままにできるの」
「どんな風に」
「『あの者の首をはねろ』って王様が言うと、その通りになっちゃうの」
「そんな王は物騒で煩わしいだけだ」
「その逆に、王は人を救うこともできるの」
「救う?」
「『争いをやめろ』と声を張り上げれば、争うは止むの。病人を指差して『この者の命を救うのだ』と言えばね、病人は助かるの」



そんなシーンが印象に残りました。


☆☆☆☆★

あしあと