本「翼がなくても」
中山七里著
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/60/ff15ce728a91cf43af03d2d0ea59ff0b.jpg)
将来のオリンピック選手と嘱望される200メートルスプリンター沙良が交通事故に遭い、
片足を切断する運命にみまわれる。
車を運転していたのは幼なじみの若い男。
その彼が事故直後に死体となって発見されるミステリー。
どんでん返しの王者、中山の筆力が冴えます。
パラリンピック期間中に読めて幸せでした。
悪徳弁護士、御子柴礼司が登場し、
弁舌爽やかに偽善者を切り捨てます。
交通事故で片足を失ったスプリンター沙良に対して、
「片足でも生きていくしかない」というような意味の言葉を投げかける御子柴弁護士に、
刑事の亜香里が「同情しないのか」というニュアンスで詰問した直後。
御子柴はこう切り返します。
「本人の力にもなってやれないくせに、
ただ同情するふりをするのは単なる自己満足に過ぎない。
自分を善人だと思いこみたいがためにね。
本人にしてみれば迷惑以外の何物でもない。
第一、君が同情してやることで彼女の足は元に戻るのか。
撃ち落とされた人間の絶望とやらを緩和してやることができるのか。
それができないのなら、軽々しく他人の不幸を口にするな。
軽はずみな同情と軽はずみな虐待は、根が同じだということを知らないのか」
かなり同感です。
「片足でなぜそこまで頑張るのか」と
中傷するような言葉を知り合いから投げかけられた沙良に、
沙良のトレーニングを手伝う東大生が、
「僕たちの世代ってことある毎に、
あなたたちは皆特別なオンリーワンとか言われ続けていたでしょう。
先生の言うことを真に受けるヤツもいたけど、
賢いヤツらは早くからそんな世迷い言なのを見抜いて、
聞いたふりだけしてきました。
だいたいナンバーワンを目指さない人間がオンリーワンになれる訳もない」
と言います。
どんな身体になってもナンバーワンを目指す沙良への最上の励ましのように感じます。
☆☆☆☆☆
中山七里著
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/60/ff15ce728a91cf43af03d2d0ea59ff0b.jpg)
将来のオリンピック選手と嘱望される200メートルスプリンター沙良が交通事故に遭い、
片足を切断する運命にみまわれる。
車を運転していたのは幼なじみの若い男。
その彼が事故直後に死体となって発見されるミステリー。
どんでん返しの王者、中山の筆力が冴えます。
パラリンピック期間中に読めて幸せでした。
悪徳弁護士、御子柴礼司が登場し、
弁舌爽やかに偽善者を切り捨てます。
交通事故で片足を失ったスプリンター沙良に対して、
「片足でも生きていくしかない」というような意味の言葉を投げかける御子柴弁護士に、
刑事の亜香里が「同情しないのか」というニュアンスで詰問した直後。
御子柴はこう切り返します。
「本人の力にもなってやれないくせに、
ただ同情するふりをするのは単なる自己満足に過ぎない。
自分を善人だと思いこみたいがためにね。
本人にしてみれば迷惑以外の何物でもない。
第一、君が同情してやることで彼女の足は元に戻るのか。
撃ち落とされた人間の絶望とやらを緩和してやることができるのか。
それができないのなら、軽々しく他人の不幸を口にするな。
軽はずみな同情と軽はずみな虐待は、根が同じだということを知らないのか」
かなり同感です。
「片足でなぜそこまで頑張るのか」と
中傷するような言葉を知り合いから投げかけられた沙良に、
沙良のトレーニングを手伝う東大生が、
「僕たちの世代ってことある毎に、
あなたたちは皆特別なオンリーワンとか言われ続けていたでしょう。
先生の言うことを真に受けるヤツもいたけど、
賢いヤツらは早くからそんな世迷い言なのを見抜いて、
聞いたふりだけしてきました。
だいたいナンバーワンを目指さない人間がオンリーワンになれる訳もない」
と言います。
どんな身体になってもナンバーワンを目指す沙良への最上の励ましのように感じます。
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