医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

骨が太いと身が細る

2023-05-30 05:16:42 | 薬局
何を持って有識者なのか。

いよいよ6月初めに公表される「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に向けた議論が本格的に始まった。
最も影響があるのは4人の有識者の意見である。
ここが「骨太の方針」の骨格をほぼ牛耳っていると言える。
5月26日に経済財政諮問会議が開かれ、有識者から「社会保障分野における経済・財政一体改革の重点課題とマイナンバー制度の利活用拡大」についての意見書が出ている。

そこには「少子化対策への更なる対応が求められている」として「徹底した歳出改革と保険料負担の上昇抑制」が求められているとしている。
今回の「異次元の少子化対策」には財源が必要で、その財源の捻出が「徹底した歳出改革と保険料負担の上昇抑制」となる。
歳出改革の対象は医療費と介護費に向けられている。
医科の方では2025年までに仕上げる予定だった「地域医療構想」に向けた法制上の措置を求めている。
要は、本来の入院機能を有しない病床の「介護医療院」への追い込みとなる。
さらに「かかりつけ医機能」を明確にして、入院と外来の大幅な見直しを図る。
これによって高機能病院への外来は大幅に減少する仕組みが出来上がる。
いわゆる入外機能連携が始まる。
高機能病院の外来の減少は医師の働き改革にもつながる。

保険料負担の上昇抑制は歳出改革につながる。
それは上記の見直しを意味する。
要は、”四面楚歌”の状態に立たされている。
それがどんな形で自分たちに降りかかるのかを考えておく必要がある。

さらに「次期診療報酬・介護報酬の同時改定をはじめ懸案の改革を進める極めて重要な年であり」との予告もある。
何度も言っているが、今年は重要な年だ。
そして懸案事項とは何か。
薬局関係で言うところの1つはリフィル処方箋の見込み違いが大きい。
0.1%(約470億円)の医療費削減を見込んで診療報酬に付け替える予定だった。
それがどうやら0.01%(約50億円)にしか達していない。
ここは約束が違うと財務省が怒っている。
そもそもリフィル処方箋による医療費抑制効果の根拠が見えない。
まぁ~いいっか!

調剤業務の外部委託も俎上に上がっているようだ。
これが認められると間違いなく「対物業務」の引き下げにつながる。
審議の中では「患者の為だけではなく財政効果も大きい」との意見もあったらしい。
これはまさに狙われている。
さらに「米国では調剤コストが4分の1になった例もある」と、どこからどんな根拠の話なのかも出たらしい。

どうですか。
調剤の外部委託は確実に中小薬局の命取りになる。
と、思いませんか。
だいたい誰が調剤の外部委託をやりたがっているのかを考えると中小薬局にメリットなどないのが分かる。
導火線に火をつけた人の責任は大きいと思うけどね。

今日は、ここまでにしておく。
ちなみに「マイナンバー制度の利活用拡大」も気になる。
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3 コメント

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アニキの心 (駒形ファン)
2023-05-30 09:11:21
アニキの心、駒形ファン知らず
にならないように!

中小薬局は控えめにいって「崖っぷち」においこまれつつあります。え?何言ってるの?って、現実世界では平常運転中で安定収入を得ていますが?という方々、今後中小薬局に起こる変革を体感する時には茹であがったカエル状態となってしまいそうです。

もはや、個人や職能団体ではどうしようもないスキームで骨太の方針に「財政効果」の錦の御旗として薬関連の適正化が掲げられるフェーズです。

中小薬局にとってこの改革が良い落とし所となるか?という問いには「?」ですが、調剤業務の外部委託とリフィル、そしてマイナンバーカードの組み合わせから産み落とされるシステムは国民にとっては日々の暮らしを良くするものとして導入されそうです。

外部委託は医療DXの流れで仕方ない流れだとして、どうして薬局薬剤師の職能団体ではなく非薬剤師薬局経営者の提案が受けいられているのでしょうか?ここに目を向けて詳細を理解しないわけにはいかないのではないでしょうか?これをやらないと次世代の生き残りが見えてこない状態に追い込まれてしまっていて「崖っぷち」に迫る状況といえます。この真相を触れている駒形道場から目が離せません。

仕事があるってありがたいですね。
明日も楽しみです。
返信する
Unknown (上田サイファー)
2023-05-30 09:59:15
医療・介護関係12団体で「医療・介護における物価高騰・賃金上昇への対応を求める合同声明」骨太の方針に打診したみたいですが,薬局業界はできるの果たしてどうなるんでしょうかね。
卸さんからの仕入れ値すごい事になりそうですし。
返信する
台風が近づいている (駒形SAN)
2023-05-30 15:29:06
そんな状態にもかかわらず、実際に台風が来てみないと実感がわかないのと同じじゃないでしょうか。
非難する時は遅いかもしれない。
先ずは、確かな情報から自らの命を守る行動が必要になります。

2023年は今までになくたくさんの情報が発信されます。
これを整理し、自分なりの備えにして欲しいですね。


「物価高騰・賃金上昇」はどこも同じです。
価格に転嫁できると言いますが、それは大手企業だけだと思います。
中小の小売業などは価格転嫁が命取りになる可能性があります。
もっと売り上げを伸ばす前向きな取り組みが大切なんじゃないでしょうか。
門前で口を開けているだけの経営は終わりつつあると思います。

「知恵を出せ、それが出来ない者は汗をかけ。それが出来ぬものは去れ」
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