それとも心臓に難病のある孫娘のための
保険金目当に自ら命を絶ったのか?
定年間近の保険調査員・村越が、
調査の結果見えてきた真実。
典型的な状況が立証されれば
それで足りる(一応の推定)
が成立するかに思えたが…
傷害保険は自死なら支払われない。
第13回松本清張賞受賞。
この松本清張という言葉には弱いです。
読んでみようかなという
気にさせてくれます。
まず読みやすい、一気に読めます。
モノトーンあるいはセピアカラーの
際立った色彩のない背景描写。
作品の中に出てくる場面は近隣なので
今まで行ったことのあるような場所ばかり。
だから読みながら景色が目に浮かんできます。
不動産屋以外、悪い人が出ていない。
保険業界の人達も善意の人達で
作品中の人間関係については、
静かな優しさが文面に流れていて、
穏やさを感じ取れます。
作家も人間を見る眼差しが
優しい人の様な気が…。
老人と関係のあった人物の巧みな配置、
そしてラストは意外な到達点。
次回も期待出来る、
そんな作品でした。