花ごよみ

映画、本、写真など・

約束 (石田 衣良)

2006-01-31 | 本 あ行(作家)



 [約束]
 [青いエグジット]
 [天国のベル]
 [冬のライダー]
 [夕日へ続く道]
 [ひとり桜]
 [ハートストーン] 

  七つの短編集。

  帯には“絶対泣ける”と保証済み。
  自信満々です。!!
  突然の事故や不治の病には弱いので、 
  もし、そのような内容だったら泣けて当然。 
  しっかり泣けたのはやはり、 
  表題作[約束]と[ハートストーン]。 

  作者に泣き所を押しつけられているような
  気持ちにはなりますが…。
  まんまと策にはまってしまいます。 

  [約束] 
  親友の目の前での突然の死。
  子供の心に深い傷を残した事件、 
  そこからの心の回復、そして再生の物語、
  前を見つめて歩いていって欲しい…。

  [青いエグジット] 
  ダイビングを介しての父親と子供の心の推移。
  この親子なら海の中の青い出口を  
  きっと抜けることが出来るだろう。

  [天国のベル]
  女手ひとつで育てた息子が心因性の難聴に…。 
  逝ってしまった夫からの暖かい贈り物。
  希望を持って強く生きて欲しい。 
  きっとだいじょうぶ。
 
  [冬のライダー] 
  モトクロスの練習に明け暮れる少年を見守る、
  過去に事故で夫を亡くした女性。
  彼との交流により喪失感からの心の再生。 
  静かなぬくもりを感じる。 

  [夕日へと続く道] 
  廃品回収の軽トラックに乗るようになった
  不登校の少年。
  運転手の老人との暖かい交流により、 
  少年の心の成長がみられる。 

  [ひとり桜]
  二人の男女の心の高まりが、 
  桜を背景に情緒豊かに描かれている。

  [ハートストーン] 
  病気の孫のことを心配しながら、 
  自分の方が先に逝ってしまうことになった 
  祖父の無念さ。 
  小さな石に託した回復の祈り。 

  今は苦しくても、 
  きっかけさへあれば、 
  歩いて行く先には 
  小さくても明るい救いの光を見いだせる。
  
  喪失、苦悩を乗り越えて
  再び前進していく主人公達を 
  優しいまなざしで描いた 
  作品でした。 
  
  さめた目で見ると現実的ではなく 
  なんとなく違和感を感じる時もありますが、
  読んでいる時間は、  
  この本の優しい世界に 
  はいりこむことが出来ました。 
 
  読みやすい文章で気持ちよく読めます。


 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

椿

2006-01-31 | 水彩画
  凛とした花の姿、
  つややかな葉、
  潔い散り方も好ましいです。 

   
   こっちは実物です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする