日本裁判官ネットワークブログ
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先日,毎年恒例の憲法週間に行われている最高裁判事の視察がありました。こられた方は割合ざっくばらんな方で,懇談会ではけっこう和やかな雰囲気で活発な議論がなされたように感じました。1審・2審で,正式の和解勧告ではなくても事実上の和解勧告がなされたような場合は記録上明らかにしてほしい,との最高裁判事の希望に対し,ある裁判官がそのような扱いをすると最高裁になにかメリットがあるのですか,と切り返し,最高裁でも数は少ないが和解勧告をしたい場合があり,その場合の参考にするためです,とにこやかに受け流していました。
その最高裁判事は,最近の正当防衛ついての最高裁決定(平成20年5月20日,先制攻撃をした場合にその被害者から反撃を受けた場合には原則として正当防衛は成立しない,とした。)について,裁判員裁判を念頭に分かりやすさを意識した決定ではないかと話されていました。ドイツ流の正当防衛に関する精緻な議論は到底裁判員に説明しても分からないのではないか,英米法流の陪審員を意識した議論の方がこれからは参考になるのではないか,との趣旨の話しもあり,私としても正当防衛に関し,急迫性と防衛意志の関係など何度読んでも頭に入らない議論に悩まされていただけに,なるほどと思った次第です。
 裁判員制度によって,訴訟法のみならず実体法解釈も大きく変化する可能性があるように感じました。「花」

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