1 今年が3回目の新司法試験が5月14日から5月18日まで行われた。法務省のホームページで見ると出願者は7842人で,男性がほぼ7割,女性が3割となっている。今年の合格率は35パーセント程度と言われているようである。短答式試験の成績発表が6月5日(木),最終合格発表が9月11日(木)とある。
2 試験問題が公表されているので,インターネットによりパソコンで印刷した。問題を検討してみたが,中々容易ではない。私も妻も法科大学院に関わっているので,試験の結果については大いに心配である。
3 もともと法科大学院は,以前の司法試験の定員が500人程度で競争率が50倍を超えているという超難関の試験であったために,受験勉強が大変で,受験生が合格用の勉強以外の勉強をする余裕がなく,法律実務家としていかにあるべきかというような問題意識が不足し,人材が育たないという弊害を指摘されたため,法科大学院に入学すれば,あとは8割程度が合格できるというシステムにして,幅広く勉強できるだけの余裕を持つことを可能にして,人材の育成をしようと構想されたものである。
4 しかし現実には,年々合格者数が増加してはいるものの,最終的には1年間に法科大学院の定員約5800人の半数である3000人程度しか合格できず,かつ受験資格が5年内に3回の受験に限定されているために,単純に計算すると5年間に2万9000人の法科大学院生が誕生し,その間に1万5000人が合格することになるから,合格率は約52パーセントということになる。そうすると半数近くは合格できないままに受験資格を失うことになる。
5 このことは,もともとの制度の構想とは異なるものである。確かに合格者数は大幅増員し,合格率も以前に比べると飛躍的に高くなってはいる。しかし法科大学院に合格はしたものの,司法試験の合格は必ずしも容易ではなく,しかも5年間に3回という受験制限のために,返って旧司法試験のころよりも厳しくなっている面もあるから,受験競争は激しく,受験生の精神状態としては以前よりも追いつめられている部分もあるのである。
6 法科大学院で学ぶためには多額の資金が必要である。そしてその投資の結果,当初構想された8割以上が合格するというのではなく,約半数が合格できないままに受験資格を失うというような制度は,早晩行き詰まることになるだろう。法科大学院を希望する学生を一定数以上確保し続けることは困難であると思われるからである。
7 合格者が2000人という段階で,既に弁護士希望者は極端な就職難となり,新制度が発足した当初から破綻状態になっている。なぜこのようなことになってしまったのだろう。法科大学院の定員総数と新司法試験の合格定員に大きな差がある以上,今後も合格できないままに受験資格を失う者が大量発生することになることは避けられないところである。早急な対策が必要であることは明らかであると思われる。(ムサシ)
2 試験問題が公表されているので,インターネットによりパソコンで印刷した。問題を検討してみたが,中々容易ではない。私も妻も法科大学院に関わっているので,試験の結果については大いに心配である。
3 もともと法科大学院は,以前の司法試験の定員が500人程度で競争率が50倍を超えているという超難関の試験であったために,受験勉強が大変で,受験生が合格用の勉強以外の勉強をする余裕がなく,法律実務家としていかにあるべきかというような問題意識が不足し,人材が育たないという弊害を指摘されたため,法科大学院に入学すれば,あとは8割程度が合格できるというシステムにして,幅広く勉強できるだけの余裕を持つことを可能にして,人材の育成をしようと構想されたものである。
4 しかし現実には,年々合格者数が増加してはいるものの,最終的には1年間に法科大学院の定員約5800人の半数である3000人程度しか合格できず,かつ受験資格が5年内に3回の受験に限定されているために,単純に計算すると5年間に2万9000人の法科大学院生が誕生し,その間に1万5000人が合格することになるから,合格率は約52パーセントということになる。そうすると半数近くは合格できないままに受験資格を失うことになる。
5 このことは,もともとの制度の構想とは異なるものである。確かに合格者数は大幅増員し,合格率も以前に比べると飛躍的に高くなってはいる。しかし法科大学院に合格はしたものの,司法試験の合格は必ずしも容易ではなく,しかも5年間に3回という受験制限のために,返って旧司法試験のころよりも厳しくなっている面もあるから,受験競争は激しく,受験生の精神状態としては以前よりも追いつめられている部分もあるのである。
6 法科大学院で学ぶためには多額の資金が必要である。そしてその投資の結果,当初構想された8割以上が合格するというのではなく,約半数が合格できないままに受験資格を失うというような制度は,早晩行き詰まることになるだろう。法科大学院を希望する学生を一定数以上確保し続けることは困難であると思われるからである。
7 合格者が2000人という段階で,既に弁護士希望者は極端な就職難となり,新制度が発足した当初から破綻状態になっている。なぜこのようなことになってしまったのだろう。法科大学院の定員総数と新司法試験の合格定員に大きな差がある以上,今後も合格できないままに受験資格を失う者が大量発生することになることは避けられないところである。早急な対策が必要であることは明らかであると思われる。(ムサシ)