日本裁判官ネットワークブログ
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 先日,ある雑誌記者の取材を受けました。彼の問題意識は,不透明な人事政策や処理件数に一喜一憂する裁判官が多いことに現在の裁判所の問題点があるではないか,その具体像を聞きたい,というものでした。

 私は,そういう点もないとはいえないが,司法改革の結果,任命や再任について諮問委員会ができ,人事評価制度もある程度透明化され,迅速とともに裁判内容の適正や納得が強調されている時期でもあり,むしろ過去の司法危機の時代の意識構造からなかなか抜け出せない,われわれ裁判官の自己規制に問題点を感じる,と話しました。

 また司法試験の予備校全盛時代の弊害から,裁判官に多様な人材が入りにくい状況もあった,とも指摘し法曹養成制度の改革にも期待する,とも言いました。記者は少し問題意識がずれていることを理解して帰られた様子でした。
 
 ところが,その後明治大学の西川伸一教授から送られてきた論文抜き刷りには,最高裁の主要ポストが裁判実務経験の少ない司法行政畑の出身者に偏っていることが,統計的に明らかであるとの指摘がなされていました。
 たしかに,ポストのみならず,任地や昇給についての透明性はまだまだの感があり,今後の大きな改革課題ではないかとも感じました。
 
 現在の裁判所のかかえる問題点を考える場合に単純な切り口ではなかなか難しいのかもしれない,と思った次第です。「花」

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