最近気になることがある。
裁判所は予算を取るのが決してうまい役所ではなく,業務処理のための人的物的条件に恵まれているとは言えず,出入り業者である弁護士としては,「もう少し何とかならんのかいな」と思うことが度々ある。したがって,裁判員制度によって,裁判所の重要性が国民に広く認識されるようになれば,それが追い風となって裁判所予算が増加され,人的物的条件が強化されるのではないかと心密かに期待している。
しかし,過渡期の一時的現象と見るべきなのかもしれないが,裁判員制度の本格実施を迎え,やや気になる状況が見受けられる。裁判所の人的条件が刑事に異常にシフトしてはいないかという点である。
もちろん,裁判員制度を失敗させるわけにはいかない,裁判員やその候補者に対する接遇に問題があってはいけないという当局の問題意識は分かるのだが,優秀な職員が刑事部に偏り,民事部の,それも通常の訴訟事件を担当する人材がいささか手薄になっている気がしてならない。例えばこれまでは,部総括クラスの単独係には若い書記官をあて,特例がつきたての判事補の単独係にはベテラン書記官を配するといったことが「人事の常識」であったように思うのだが,いつの間にか通常事件担当書記官が若手ばかりになっていたりする。裁判所のOJTとしてはこれでよいのかしらといささか不安になるときがないでもない。
これが,田舎弁護士の単なる思い過ごしであればいいのだが。
(くまちん)
裁判所は予算を取るのが決してうまい役所ではなく,業務処理のための人的物的条件に恵まれているとは言えず,出入り業者である弁護士としては,「もう少し何とかならんのかいな」と思うことが度々ある。したがって,裁判員制度によって,裁判所の重要性が国民に広く認識されるようになれば,それが追い風となって裁判所予算が増加され,人的物的条件が強化されるのではないかと心密かに期待している。
しかし,過渡期の一時的現象と見るべきなのかもしれないが,裁判員制度の本格実施を迎え,やや気になる状況が見受けられる。裁判所の人的条件が刑事に異常にシフトしてはいないかという点である。
もちろん,裁判員制度を失敗させるわけにはいかない,裁判員やその候補者に対する接遇に問題があってはいけないという当局の問題意識は分かるのだが,優秀な職員が刑事部に偏り,民事部の,それも通常の訴訟事件を担当する人材がいささか手薄になっている気がしてならない。例えばこれまでは,部総括クラスの単独係には若い書記官をあて,特例がつきたての判事補の単独係にはベテラン書記官を配するといったことが「人事の常識」であったように思うのだが,いつの間にか通常事件担当書記官が若手ばかりになっていたりする。裁判所のOJTとしてはこれでよいのかしらといささか不安になるときがないでもない。
これが,田舎弁護士の単なる思い過ごしであればいいのだが。
(くまちん)