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金、貴金属、絵画…中国人が資産形成にアートを活用する理由

2021-04-26 | 先住民族関連
幻冬舎4/25(日) 11:01
Appleのスティーブ・ジョブズが、文字のアートであるカリグラフィーをプロダクトに活かしていたことは有名だ。マーク・ザッカーバーグがCEOをつとめるFacebook本社オフィスはウォールアートで埋め尽くされている。こうしたシリコンバレーのイノベーターたちがアートをたしなんでいたことから、アートとビジネスの関係性はますます注目されているが、実際、アートとビジネスは、深いところで響き合っているという。ビジネスマンは現代アートとどう向き合っていけばいいのかを明らかにする。本連載は練馬区美術館の館長・秋元雄史著『アート思考』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。
過去最高8万8000人を集めたアート・バーゼル香港
天井知らずの市場
2019年3月、アジア最大級のアートフェアである、第7回アート・バーゼル香港が開催されました。大変な活況で、最終的には5日間の会期中に過去最高となる8万8000人の来場者数を記録しました。話題となったのは来場者数だけではありません。
同じくアート・バーゼルの中で、毎年アメリカのマイアミで開催されるアート・バーゼル・マイアミは、アメリカと南米からの顧客で賑わう世界でもトップクラスのアートフェアでしたが、その売り上げを、今年は香港が抜き去ったのです。いかに中国を中心にしたアジアのマーケットが成長しているかが理解できます。
作品が動くことがわかると、さらにいいギャラリーが集まってきます。
35の国と地域から242店舗のギャラリーが出店する国際色豊かなトップクラスのアートフェアとして、アート・バーゼル香港はここ数年で急成長しました。実は香港では同時期にもうひとつアートセントラルというアートフェアが開催されていますが、この二つのアートフェアが開催される3月の香港ではアートイベントが連日行われ、それを目当てに世界中からアートファンが集まります。
さらにM+というアジア最大級の現代美術館が2020年にオープン予定で、アートと文化、それに関連した観光が香港の主要な産業になるのもそう遠くないといわれています。このように香港におけるアート・マーケットはどんどん拡大しているのです。
中国は、今国家を挙げて文化政策に取り組んでいて、美術館の建設やアートフェアの開催など、美術振興に力を入れています。経済が発展し、お金が余るようになると、最初に値段が上がるのが土地ですが、中国は社会主義市場経済体制のため、土地は国家の所有物で(土地の使用に使用権がいる)、余ったお金は必然的にほかの投資に流れます。そのため、中国人富裕層が最も熱い視線を送っている投資対象が、アートなのです。
また、なぜ中国人の資産形成の中でアートが上位を占めるのかは、歴史によって形成された彼らのマインドとも関連しているようで、国家を心の底からは信頼していない中国の人々にとっては、何か国難があったとき、いち早く移動できる金や貴金属、絵画などの動産が、人気が高いとある専門家は言います。
世界に広がる華僑は、方々に家を持ち、絵画などの資産も分散して保有しています。金や貴金属を握るユダヤ系の人々も同じですが、華僑のネットワークも国家の輪郭を超えていて、この人たちが世界のアート・マーケットも牛耳っているのです。
資本主義社会では、資本は常に新しいパイオニアを求めて周縁に広がり、移動していきます。アートの中心地が欧州から米国へ、さらに中東、中国へと移っているという事実もアートと資本主義の親和性の高さを物語ります。
資本主義が拡大し続けるようにアートも拡大する
このように資本主義が拡大し続けるように、アートも拡大を続けていくでしょう。2008年に起こったリーマンショック以降、資本主義の限界を指摘する声もあり、アートも常に終焉を迎えると言われ続けてきましたが、リーマンショックの時を除いて実際にアート市場は拡大し続けているのです。興味深いのは、アート市場が天井知らずに見えることです。
美と人間の欲望には限界がない
世界最大級のアートフェアであるアート・バーゼルとスイス最大の銀行「UBS」が、2018年の世界美術品市場を分析するレポートを公表しました。
2018年における世界の美術品市場は6パーセント成長し、市場規模は推計674億ドル(約7兆5000億円)に達し、2004年に300億ドル台に乗って以来、先ほどのリーマンショックにも負けず、アート市場は拡大を続けています。その背景には、アジア市場やオークション市場の好調、オンライン取引の増加もあるようです。
マーケットだけでなく、アート自体も拡大を続けています。それは、美しさには限界がなく、無限に発見することが可能だからです。
例えば障がい者アートや専門的な教育を受けていない人が制作するアート(これらを総称してアール・ブリュットという)やオーストラリアの先住民族であるアボリジニの制作するアート(インディジナス・アート)、中南米の素朴な土産物から発達した現代アート化したプリミティブアート、さらには日本の民芸など、これまでアートとして認識されてこなかったものが、近年は新たなアートとして評価されています(ちなみに民芸は海外でそのまま“Mingei”で通用します)。
このようにアートの価値は、限界を迎えることなくどんどん発見され続けているため、マーケットも拡大し続けるのです。どんなものでも貪欲にアートに変えてしまう現代アートにかかれば、ニュース番組でよく話題になるゴミ屋敷さえも、アートとして認められる日が来るかもしれません。
昨日までアートではなかったものが、今日はアートになりうるのです。これと同様に、ビジネスにおいても昨日まで価値として認められなかったものが、今日いきなり価値を持つ可能性も考えられます。
美に限界がないように、人間の欲望にも限界がないためです。
秋元 雄史
東京藝術大学大学美術館長・教授
https://news.yahoo.co.jp/articles/a302f086d572d5ec2a33322a7c967d861d16158c?page=1
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