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鉱物の部屋へのいざない

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長石2

2013-04-16 11:25:27 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「長石2」です。「長石1」を書いてから少し間が空きました。

長石は地球の地殻を構成する鉱物のうち、最も存在量が多い鉱物です。長石はアルミニウムとケイ素と酸素、そしてカリウム(カリ長石)とナトリウム(曹長石)とカルシウム(灰長石)という化学組成により分類されますが、その3種類の長石の混合割合によって、アルカリ長石と斜長石の2つのサブグループに分けられ、さらに細分化されています。

ほとんどの長石には生成温度による結晶構造の変化、温度の低下によって異なる2つの相に分離する離溶現象、双晶の出現といった性質が現れます。

長石グループは種類が多く、外観だけで区別することは困難です。我々は標本のラベル情報を頼りに長石を見なければなりません。ただ、それぞれの長石にはその長石ならではの特徴があり、それらの特徴のヴァリエーションを楽しむ事ができます。そういう意味では長石も非常に面白い鉱物だと思います。

今日は長石の双晶についての話題です。

Dscf4001
左:アメリカ コロラド州 West Maroon Pass 産 正長石(Orthoclase)
右:アメリカ コロラド州 Leadvill 産 正長石(Orthoclase)

これは正長石のカルルスパッド双晶です。両方とも分かり易い特徴的な双晶になっていると思います。

長石の双晶には他にアルバイト双晶、ベリクリン双晶、マネバッハ双晶、バベノ双晶があります。結晶の形態図がないと分かり難いかも知れませんが、長石の面白さのひとつは双晶だと思います。

面白いのは斜長石には5種類すべての双晶が見られますが、正長石では上の写真のようなカルルスパッド双晶とバベノ双晶、マネバッハ双晶の3種類しか見られません。結晶構造はほとんど同じなのですが、斜長石は三斜晶系なのに対して正長石は単斜晶系という違いがあるからです。

上の写真からはカルルスパッド双晶には左と右の2種類ある事が分かると思います。因みに益富地学会館のマークは上の写真の左側のカルルスパッド双晶です。

鉱物の世界にも左と右があるのです。有名なのは水晶の左水晶と右水晶でしょうか。

鉱物界の双晶、特に、左と右については非常に面白く、簡単には書き尽くせません。次の話題にとっておきます。

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第2回石川県鉱物同好会総会

2013-04-15 12:37:46 | 日記・エッセイ・コラム

昨日、第2回石川県鉱物同好会総会を行いました。出席者は、特別会員である宝塚市の澤田さんや和歌山市からいらっしゃったTさんも含めて総勢19名となりました。

まず、昨年定めた会則(会長の任期は2年)に従って、本年度も初年度と同じ体制で行う事になりました。

総会は、まず最初の議題である春の採集会の日時・場所を決めました。また、秋の採集会は富山市科学博物館の採集会と連動する事に決まりました。

その後、遅れて出席となった人達もそろい、自己紹介の時間をとりました。

2

自己紹介では各自、鉱物趣味歴や鉱物に対する思いが述べられました。我々の同好会は出来てまだ日が浅いのですが、会員の思いは熱く、もっともっと活動を活発化しなければならない、と思ってしまいました。

自己紹介の後は他の議題や報告事項を伝え、その後は、総会の楽しみのひとつである標本鑑賞に移りました。

Photo_2
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会員各自、自慢の標本のお披露目

標本鑑賞は会員の所有するコレクションを見ながらの石談義です。昨年も同じように思いましたが、本当に、皆さんレベルの高いものをお持ちだと思います。

私が特に感動したのは、やはり澤田さんのコレクションです。澤田さんは今回、石川県産の鉱物を持って来られたのですが、どれもが超の付く一級品でした。金平産の黄鉄鉱の美結晶をはじめ、尾小屋鉱山産の黄銅鉱(ドイツのクランツ商会のラベル)、倉谷鉱山産の菱マンガン鉱には驚きました。クランツ標本は東京大学のコレクションで有名です。私は特にクランツ商会の木製結晶模型に興味を持っていましたので、その名前は良く知っていました。日本は明治時代にはクランツ商会を介して外国産の鉱物標本を購入していたのです。また、クランツ商会は日本産の鉱物標本を持っていったのだろうと思います。どうもその中には尾小屋鉱山産の黄銅鉱も混ざっていたのです。それが現在、里帰り標本として澤田さんが所有されています。その状態は非常に良く、その古さを感じないものでした。それはドイツに行った事、澤田さんというコレクターの手に移った事、幸運な鉱物標本だと思います。倉谷鉱山産の菱マンガン鉱にも驚きました。私は現物を初めて見ました。Nさんが昔、桜貝のような欠片を見た事があるとおっしゃっていましたが、それを思わす美結晶が水晶と共生しておりました。その標本も古さを感じないものでした。その事は澤田コレクションのレベルの高さを物語っていると思います。レベルの高い標本は保存状態が良いのです。

総会は最後に標本配布に移りました。鉱物マンガで有名なつゆねこさんが送って下さった多くの標本や輪島のYさんが提供された秩父鉱山産の車骨鉱、河津鉱山産のイネス石、越生如意の含クロム柘榴石、加賀のMさん提供の小松市菩提産の算盤玉石、小松のSさん提供の花坂の紫水晶、そして澤田さん提供の大阪府豊能郡能勢町長谷産の正長石(益富地学会館のマークにもなっているカルルスパッド双晶)等々、数多くの標本を配布しました。提供された皆様、ありがとうございました。

2時間を予定していた総会はアッと言う間に終わりました。皆さん、用意していたお茶やお菓子にはほとんど触れずに石ばかりに触れていました。

会員の皆さんは、「花より団子」というより「団子より石」な人達でした。

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ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2013

2013-04-11 11:04:37 | インポート

「岩笛」、「響き」と音楽のテーマが続いておりますが
金沢では年に数回、街中が音楽に包まれるイベントがあります
来るゴールデンウィークには、
ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2013が開催されます。

今年もポルテ金沢地下1階にて、
「協賛コンサート」があります

Img_top04 Photo

今年のテーマは「パリ、至福の時」~フランスとスペインの音楽

石の華が入居しておりますここポルテ金沢では5月3日、4日に無料のコンサートが開催されます。ご都合がつきましたら是非ご来店くださいませ。鉱物と音楽で至福のひと時をお過ごしいただけますことをお約束いたします


会場となりますポルテ金沢地下1階アトリウム広場も4月1日リニューアルいたしました

2

*会場は、サンクンガーデンまたはアトリウム広場となります。

ラ・フォル・ジュルネ金沢2013
公式Webサイトはこちら
http://lfjk.jp/index.html

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響き

2013-04-08 13:35:26 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「響き」です。昨日の「岩笛」からの流れです。

石のブログとしては、やはりクリスタルボウルが登場すべきだと思いますが、実は既に一度「クルスタルボウル」というタイトルで書いておりました。

クリスタルボウルの倍音の響きは神秘的で、心魂に響きます。

私が初めてクリスタルボウルの響きを聴いたのは10年くらい前の京都ショーの時でした。ミネラルショーの会場でその音を聴いて感動し、民族楽器のインターネット・ショップをやっていた兄にその事を報告しました。兄はさっそくクリスタルボウルを幾つか取り寄せてくれました。その中のひとつは、今、店に置いてあります。

私は石が持っていると言われる波動というものには何も感じないのですが、クリスタルボウルの奏でる波動には敏感に反応してしまいます。その響きには確かにヒーリング効果を感じてしまいます。クリスタルボウルの音は物理的なもので、その響きは人間の聴覚を刺激します。その響きは心地よいものです。

また、口径の大きなクリスタルボウルが奏でる音はかなり強力です。時には同じ二酸化珪素で出来ているガラスと共鳴し、ガラス窓を振動させるような力を持っています。共振は、時にはガラスが割れてしまうかと思われるほどに振動します。

クリスタルボウルは癒しを与えてくれると同時に秘めたる力も持っている存在です。

今ではクリスタルボウルも進化し、様々な鉱物を溶かし込んだものもあり、そのヴァリエーションも増えて多様化しているようです。

聴覚を刺激する芸術である音楽も興味深い存在です。これまで音楽的な話題にはあまり触れて来ませんでしたが、今日は「響き」をテーマとしましたので、少しだけ触れてみます。

クリスタルボウルに限らず、興味深い楽器は幾つかあります。クリスタルボウルと同じように不思議な音を奏でる楽器としては、まずテルミンを思い出します。テルミンも一時話題になった楽器です。テルミンに近いものとしてはシンセサイザーでしょうか。電子音楽の楽器の音も心魂に響いてくると思います。

シンセサイザーの音に近いと思われるのはパイプオルガンの音でしょうか。パイプオルガンの奏でる音にも惹かれるものがあります。パイプオルガンの神聖な響きには信仰心なくしても厳かな気持ちになってしまいます。

パイプオルガンの音ではチョッと変かも知れませんが、YouTubeで聴くことが出来る「鏡音リン・レン 初音ミク カノン ニ短調」は私のお気に入りです。

オルガンではエンハーモニウムという純正調オルガンの存在も気になります。それは明治時代に日本人物理学者・田中正平が発明したという幻の楽器で、数年前にBSジャパンで放送していました。その番組では旅人・ピアニスト西村由紀江がその楽器とその音色に迫っていました。なぜか?その究極の楽器と言われたエンハーモニウムの存在はあまり知られていません。

不思議な音色の楽器と言えば、ミュージックソーの存在も忘れてはなりません。ノコギリの奏でる不思議な音色も魅惑的です。

さらに人の声そのものも挙げなければならないでしょう。クラシックな声楽からブルガリアン・ヴォイスやホーミーや日本の声明等、人の声にも不思議な響きがあります。人の声はそれを聴く人と同じ物質の振動です。共振するのは当たり前の事かも知れません。

我々が、岩笛やオカリナのような石や粘土からできている楽器の奏でる響きに反応するという事は、石と人との不思議な関係性に繋がるようにも思えて来ます。

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岩笛

2013-04-07 12:03:19 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「岩笛」です。昨日の石の声から繋がります。

「岩笛」は「石笛」とも言われ、文字通り石の笛です。それは正確な意味で石の声とは言えないのかもしれませんが、石の笛なので、それを人が吹くと音を発します。それは天然の自然石に孔が開いたもので、それをうまく吹くと、高い周波数の澄んだ神秘的な音を奏でます。

三島由紀夫は「英霊の聲」という作品の中で「岩笛の音は、聞いた事のないひとにはわかるまいが、心魂をゆるがすような神々しい響きを持っている。」と書いています。

実は、私も岩笛の音を聞いた事がなかったのですが、つい先日、それも「石の華」の店の中で聞きました。

Dscf4006
メノウの丸玉

これはメノウの丸玉です。その丸玉には小ガマと言えるよう穴が開いており、小さな水晶の結晶がたくさん穴の壁面に出来ています。まるでミニチュアの水晶洞窟のようにも見えます。私はこの丸玉をこれまで視覚的に愛でて来ました。

ところが、先日、オカリナ奏者でもあるUさんがいらっしゃって、この丸玉を岩笛のように吹いてみたのです。すると、その丸玉は想像できない音を発しました。その音は硬く、鋭い高音で、力強く響き渡りました。それは私が初めて岩笛の音を聞いた瞬間でした。三島由紀夫の文章の意味がわかりました。

岩笛に成り得るものが店にもあったのです。

私はこれまで店の石達を鉱物標本や観賞石やアクセサリーとしか見ていなかったのですが、中には楽器に成るものもあったのです。

ひとつだけの例外であったサヌカイト以外は楽器として見る事はありませんでした。それはひとつのカルチャーショックだったかも知れません。聴覚的な側面から石をみたのは初めてでした。

そうやって石達を見直すと、店の中にも穴の開いた石は幾つかありました。例えば、アイスクリスタルという水晶は穴だらけですし、中には菱形の穴が貫通して開いているものもあります。ガス抜けの穴らしい穴の開いたメノウもあります。ジオードは本来、中空の球状体の事をいいますので、これも穴が開いています。壺石も穴が開いていますし、水石にも風穴や水門や洞門などの岩形があります。穴の開く成因はいくつもあります。石の世界はある意味、穴だらけです。

ただし、穴の開いた岩や石が全て岩笛や石笛になる訳ではありません。それには岩笛になる為の特殊な形状があるようです。そして、それを吹くひとの技が必要です。

そう考えると、岩笛の奏でる音は「自然と人間とのコラボレーション」と言えるかも知れません。

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