今日は「長石2」です。「長石1」を書いてから少し間が空きました。
長石は地球の地殻を構成する鉱物のうち、最も存在量が多い鉱物です。長石はアルミニウムとケイ素と酸素、そしてカリウム(カリ長石)とナトリウム(曹長石)とカルシウム(灰長石)という化学組成により分類されますが、その3種類の長石の混合割合によって、アルカリ長石と斜長石の2つのサブグループに分けられ、さらに細分化されています。
ほとんどの長石には生成温度による結晶構造の変化、温度の低下によって異なる2つの相に分離する離溶現象、双晶の出現といった性質が現れます。
長石グループは種類が多く、外観だけで区別することは困難です。我々は標本のラベル情報を頼りに長石を見なければなりません。ただ、それぞれの長石にはその長石ならではの特徴があり、それらの特徴のヴァリエーションを楽しむ事ができます。そういう意味では長石も非常に面白い鉱物だと思います。
今日は長石の双晶についての話題です。
左:アメリカ コロラド州 West Maroon Pass 産 正長石(Orthoclase)
右:アメリカ コロラド州 Leadvill 産 正長石(Orthoclase)
これは正長石のカルルスパッド双晶です。両方とも分かり易い特徴的な双晶になっていると思います。
長石の双晶には他にアルバイト双晶、ベリクリン双晶、マネバッハ双晶、バベノ双晶があります。結晶の形態図がないと分かり難いかも知れませんが、長石の面白さのひとつは双晶だと思います。
面白いのは斜長石には5種類すべての双晶が見られますが、正長石では上の写真のようなカルルスパッド双晶とバベノ双晶、マネバッハ双晶の3種類しか見られません。結晶構造はほとんど同じなのですが、斜長石は三斜晶系なのに対して正長石は単斜晶系という違いがあるからです。
上の写真からはカルルスパッド双晶には左と右の2種類ある事が分かると思います。因みに益富地学会館のマークは上の写真の左側のカルルスパッド双晶です。
鉱物の世界にも左と右があるのです。有名なのは水晶の左水晶と右水晶でしょうか。
鉱物界の双晶、特に、左と右については非常に面白く、簡単には書き尽くせません。次の話題にとっておきます。