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鉱物の部屋へのいざない

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左右2

2013-04-22 12:08:53 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「左右2」です。

自然界の「左右」の事を調べたり考えたりしていますと、面白いのですが、その事を深く考えると頭が混乱してきます。どうも日常的には「左右」の事はあまり考えない方が良さそうです。その良い例が、鏡を見ながら自分の頭に生えた一本の白髪をハサミで切ろうとした時に経験するあの混乱です。鏡面対称は視覚と脳とが混乱してしまい、なかなかうまく動作できません。

鉱物の世界の「左右」でもその事を考えていると少し混乱してしまいました。

まず、水晶です。

水晶はケイ素原子と酸素原子が形作る正四面体構造が螺旋状に結晶成長したものです。螺旋の方向には左回りと右回りがあり、それぞれ左水晶、右水晶と呼ばれます。その違いはX面やS面がどちらの肩に現れるかで見分けます。ただ、X面やS面が現れる水晶は少数派です。

また、左水晶と右水晶とが結晶の縦軸(C軸)を共有して透入した双晶をブラジル式双晶、左または右水晶同士の双晶はドーフィーネ式双晶と呼ばれます。

また、水晶の双晶には日本式双晶もあります。これは分かり易い双晶です。

実は天然の水晶は大半が双晶で産出するのです。理想形の単結晶は非常に珍しいと言えます。

ブラジル式双晶もドーフィーネ式双晶もなかなか双晶には見えません。そらは一本の水晶にしか見えません。

そのような視点から水晶を見ると、それが左水晶なのか右水晶なのか、あるいは双晶なのか混乱してきます。

双晶は面欠陥のある結晶の代表例でもあります。天然にはそのような欠陥でもある双晶がどうもメジャーになっているようなのです。

ブラジル式双晶で面白いのはアメトリンでしょうか。ブラジル式双晶で成長したアメシストの部分と単結晶で成長したシトリンが同時に成長した事によって、一つの結晶に二つの色合いが見られる面白い現象になっています。

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模様が面白いアメトリン

アメトリンは人工的にも造られているようですが、それが天然なのか人工なのか、見た目で判断する事は難しいようです。

鉱物の世界の「左右」は、なかなか奥深く、まだまだ興味深い事が潜んでいそうです。

コメント
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