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鉱物の部屋へのいざない

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長石1

2013-04-02 12:25:17 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「長石1」です。

長石は好きな鉱物です。このブログでも長石は何度も登場していると思います。ただし、私の長石についての理解は不十分で、長石の話題は数多く、十分に整理できていないので、これまで独立したタイトルにして来ませんでした。

このところ、ミニチュアの話題やイメージについて書いてしまった事もあり、その流れで「長石」について書いてみようと思っています。

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ブラジル バイア州 ビトリア・ダ コンキスタ 産 天河石(Amazonite)

これは青緑色の微斜長石の一種で、古代エジプト等では宝石にされたとされるアマゾナイトの原石です。美しい青緑色が魅力的だと思います。アマゾナイトの名前の由来はブラジルのアマゾン川ですが、その流域では産出しないそうです。和名の天河石はアマゾン川の当て字だそうですが、天の川のイメージとも重なります。

このアマゾナイトの魅力は何と言ってもその家のような形状です。特に屋根に当たる部分はブラックトルマリンでコーティングされています。これはブラックトルマリン葺きアマゾナイトのミニチュアの家と言えるものだと思います。この石は非常に魅力的なのですが、実は、Nさんの取り置き中の石となっております。

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岐阜県蛭川村田原 産 カリ長石(Potash feldspar)

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岐阜県蛭川村田原 産 微斜長石(Microcline)

上の二つとも家のような形状をした長石です。切妻屋根のような形状が特徴的です。両方ともミニチュアの石の家といった雰囲気です。このようなイメージの長石は数多くあります。

実は長石は複数の鉱物種を総称する鉱物グループ名で、それらは連続した固溶体になり、中間的なものや準長石も含めると相当数の大所帯となります。それは一戸建てというよりも長屋や村落のようなものです。

石の家、で思い出すのは映画「千と千尋の神隠し」でしょうか。映画の冒頭部分で石の祠が出てきて「神様のお家よ」というセリフがあります。そのミニチュアの石の家は神域へ入った事を暗喩しています。ミニチュアの世界は神の領域なのです。

ミニチュアの村落、で思い出すのは東京のJR原宿駅にあった利用されていないもうひとつのホームの「ミニ原宿村」というミニチュアの家が並んだ村落です。それは今でもあるのでしょうか?山手線の車窓の中から見たその村落は不思議な存在だったと思います。それはもうひとつの世界であり、それを見ているとそれは神様達の住んでいる村落であるかのような思いになりました。

ミニチュアの家やミニチュアの村落の映像で思い出すのはロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督の「オリエンタル・エレジー」(1996)でしょうか。確かNHKで放送されたと記憶しておりますが、その幻想的な映像の中でミニチュアの日本の村落が出て来ました。(ソクーロフ監督は「ストーン」という作品を作っていますが、私はその作品を見ていません。」)

アレクサンドル・ソクーロフはアンドレイ・タルコフスキー監督に高く評価された監督だったそうで、そのアンドレイ・タルコフスキーの遺作となった「サクリファイス」(1986)も思い出されます。「サクリファイス」にもミニチュアの家が出て来ます。そのシーンでは確か本物の家の方は燃えてしまいます。タルコフスキーの映画を見ていると何故だかいつも眠くなり、映画を見ているのか?自分の夢なのか?その辺の虚実皮膜が面白いのですが、燃えてしまった家はミニチュアの家の方だったかも知れません。

今日は長石からミニチュアの家というイメージ幻想をしてみました。

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