ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【7月も毎週日曜日は休業します。】

新鉱物2

2013-04-04 12:45:48 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は久しぶりのお休みでだったのですが、雨だったので、兼六園の桜をあきらめて、「現代美術展」を見に行きました。石川県立美術館と金沢21世紀美術館をハシゴしました。その会場で石のブログ的にも話題にしたい作品を見たのですが、写真を撮れなかったので、その話題は後日、あらためて書きたいと思います。

さて、今日は「新鉱物2」です。昨年、「新鉱物」というタイトルで一度書いておりました。

昨日のニュースの中に新鉱物「ランタンバナジウム褐簾石」のニュースがありました。

新鉱物の発表は今でも年に何度かニュースになります。新鉱物は国際鉱物学連合(IMA)の審査を経て承認されます。日本発の新鉱物は鉱物趣味の人にとってはうれしいニュースです。

Web上にあったニュース資料を読みますと、三重県伊勢市矢持町の山中からレアアースのランタンとバナジウムを含む褐簾石を発見し、その化学組成と結晶構造を調べたところ、新種の鉱物である事が判明したそうです。その鉱物は緑簾石グループの一種である褐簾石の新種です。緑簾石グループは複雑な結晶構造をしていて、レアアースのリザーバーとして非常に高い能力をもつ鉱物です。その構造には元素が存在する席が複数あり、それぞれの席にどのような元素が存在するかで鉱物種が変わります。緑簾石グループも大所帯で今後も新鉱物登場の可能性は大きいと言えます。

因みに、天然に存在する原子の組み合わせだけでも、鉱物種は理論上21952種類存在します。日本で発見された新鉱物としては新潟石、ストロンチウム緑簾石、上田石があるそうです。

今回のランタンバナジウム褐簾石の注目点はレアアースを含んでいる事でしょうか。レアアースは昨今話題性が高く、近年話題となっている南鳥島近海の海底で発見されたレアアースを含む泥も大きなニュースになりました。今回発見された場所も秩父帯に属する地質で、かつての海洋堆積物が変成作用を受けたのちに今は地表に上がってきた付加体という地質です。それは遠く離れた海洋底の泥に存在したレアアースが濃集し数億年かかって地表に現れたと考えられます。秩父帯の中にはレアアース鉱物がまだまだ眠っている可能性が高いと考えられます。

元素は簡単には変化しませんが、鉱物はダイナミックな地球の物質循環の中で変化します。レアアースはそのような変成した鉱物の中で新たな鉱物種として存在しているのだろうと思います。

緑簾石(エピドート)も好きな鉱物のひとつでした。今回の新鉱物のニュースは緑簾石グループの石は単に美しいだけではなく、レアアースという有益な存在をも取り込んでいる重要な鉱物でもあったのだ、と認識をあらたにしてくれました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする