ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

岩笛

2013-04-07 12:03:19 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「岩笛」です。昨日の石の声から繋がります。

「岩笛」は「石笛」とも言われ、文字通り石の笛です。それは正確な意味で石の声とは言えないのかもしれませんが、石の笛なので、それを人が吹くと音を発します。それは天然の自然石に孔が開いたもので、それをうまく吹くと、高い周波数の澄んだ神秘的な音を奏でます。

三島由紀夫は「英霊の聲」という作品の中で「岩笛の音は、聞いた事のないひとにはわかるまいが、心魂をゆるがすような神々しい響きを持っている。」と書いています。

実は、私も岩笛の音を聞いた事がなかったのですが、つい先日、それも「石の華」の店の中で聞きました。

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メノウの丸玉

これはメノウの丸玉です。その丸玉には小ガマと言えるよう穴が開いており、小さな水晶の結晶がたくさん穴の壁面に出来ています。まるでミニチュアの水晶洞窟のようにも見えます。私はこの丸玉をこれまで視覚的に愛でて来ました。

ところが、先日、オカリナ奏者でもあるUさんがいらっしゃって、この丸玉を岩笛のように吹いてみたのです。すると、その丸玉は想像できない音を発しました。その音は硬く、鋭い高音で、力強く響き渡りました。それは私が初めて岩笛の音を聞いた瞬間でした。三島由紀夫の文章の意味がわかりました。

岩笛に成り得るものが店にもあったのです。

私はこれまで店の石達を鉱物標本や観賞石やアクセサリーとしか見ていなかったのですが、中には楽器に成るものもあったのです。

ひとつだけの例外であったサヌカイト以外は楽器として見る事はありませんでした。それはひとつのカルチャーショックだったかも知れません。聴覚的な側面から石をみたのは初めてでした。

そうやって石達を見直すと、店の中にも穴の開いた石は幾つかありました。例えば、アイスクリスタルという水晶は穴だらけですし、中には菱形の穴が貫通して開いているものもあります。ガス抜けの穴らしい穴の開いたメノウもあります。ジオードは本来、中空の球状体の事をいいますので、これも穴が開いています。壺石も穴が開いていますし、水石にも風穴や水門や洞門などの岩形があります。穴の開く成因はいくつもあります。石の世界はある意味、穴だらけです。

ただし、穴の開いた岩や石が全て岩笛や石笛になる訳ではありません。それには岩笛になる為の特殊な形状があるようです。そして、それを吹くひとの技が必要です。

そう考えると、岩笛の奏でる音は「自然と人間とのコラボレーション」と言えるかも知れません。

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