今日は「曜変天目2」です。昨日に続きます。
中国・宋時代の「曜変天目」は世界に三碗しか現存しません。その三碗とも日本にあり、しかも、すべて国宝です。私は東京・静嘉堂文庫美術館の「稲葉天目」と大阪・藤田美術館の曜変天目茶碗の二つを見た事があるのですが、京都・大徳寺龍光院の曜変天目は非公開の為、見れておりません。
現代の曜変天目は何人かが作っており、それらは比較的容易に見る事、入手する事ができます。「炎芸術 NO.81 ミステリアス天目」(阿部出版 2005)という雑誌は現代日本の陶芸家の特集になっており、彼らの作品が載っております。
木村盛康 作 油滴天目酒盃
これは「炎芸術」にもトップで登場している木村盛康さんの油滴天目です。安宅コレクション(現・大阪市立東洋陶磁美術館)の国宝「油滴天目」を見て、天目を志したらしく、木村盛康さんらしい作品だと思います。
これは油滴と禾目の要素を兼ね備えた鎌田幸二さん独自の作品です。美しさに品格を感じる作品だと思います。
松山 誠 作 ぐい飲み
これは私の名古屋時代に知り合った瀬戸市の松山 誠さんの結晶釉のぐい飲みです。松山 誠さんも曜変天目等、エネルギッシュに作陶活動を展開されております。
これらは私の名古屋時代に入手したものです。現代の陶芸家の作品ならば比較的安易に入手可能です。それも酒盃ならば茶碗よりも小さく値段も安いというメリットがあります。ただし本格的な「曜変天目」には、なかなかお目にかかれませんでした。
そういう意味では、昨日の長江惣吉さんの曜変は貴重なものだと思います。
昨日、「曜変」というキーワードでWeb検索していて、面白いサイトに出会いました。それは特許情報のサイトです。「曜変の光彩の生成法」という公開特許のページでした。それを読んでいると建窯の周辺地域には蛍石の鉱床の分布があり、陶磁器の焼成中に蛍石を投入し、蛍石のフッ化水素ガスが曜変に作用する、という内容です。非常に興味深い内容です。発明者は長江秀利さんとなっていました。もしかすると、長江惣吉さんご本人?と思ってしまいました。
曜変は鉱物趣味に通じていると昨日書きましたが、蛍石が関与しているとすると、まさしく鉱物との関連性があった事になります。陶磁器は人間が作るものです。ただしそれらは石からできているのです。