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鉱物の部屋へのいざない

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曜変天目

2012-09-15 12:42:15 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は高価なレインボー水晶が売れました。それはそこそこのサイズのシングル・ポイントで、透明度の高い水晶です。その中に絶妙な角度でクラックが入っており、そのせいで鮮やかなレインボーが大きな錐面に映りこみ、見る角度によって銀色や金色や虹色に変化する魅力的な水晶でした。

水晶のレインボーもオパールの遊色に負けない色を出すものがあります。その発色の原理は違うものの構造色という仕組みでは同じです。

今日の話題は「曜変天目」です。「曜変天目」は七色の光彩を放つ茶碗ですが、その発色も構造色です。水晶のレインボーはクラックの薄膜に因る干渉で、オパールの遊色は粒の揃った微粒子に因る干渉です。どうも「曜変天目」はミクロの波状構造に因る干渉のようですが、まだ謎の部分があるようです。一説には磁鉄鉱が関与しているという話もありますが、詳しい事は分かりません。その色は構造色に因る事は分かっていても、まだ未知の部分が残されているところが神秘的で良いのかも知れません。

一昨日、NHKプレミアムアーカイブスで「幻の名碗 曜変天目に挑む」(2003年)の再放送がありました。(9月21日に再々放送があります。)その番組は曜変天目の再現を目指す現代の陶芸家たちのドキュメンタリーです。私は2003年の本放送は地上波で見た記憶があります。名古屋で見たからかも知れません。

その番組で登場する長江惣吉さん、所々で講演をされています。私も何度か出席した事があります。同じ陶芸家で石の研究家でもある古橋尚さんと共同で講演される事が多いようですが、私は古橋尚さんとノリタケギャラリーで知り合い、少し交流があります。古橋尚さんは雑誌「ミネラ」でヒスイの連載記事を書かれていた方です。(雑誌「ミネラ」が復刊し、19号は9月25日発売のようです。)その古橋尚さんの紹介で長江惣吉さんとお話した事があります。

Photo_2

長江惣吉さん作 曜変

この写真は昨年の3月に撮らせてもらった曜変です。何となく国宝である稲葉天目に似ているような気がします。ご本人は完全再現を目指し、まだまだ創作を続けられておられますが、このレベルでもかなりの完成度だと思います。長江惣吉さんの作品はYouTubuでも見る事ができます。それらの中にはオーロラレインボーとも言えるものもあります。何か天川村のレインボーガーネットのようでもあります。

曜変天目茶碗、鉱物趣味にも通じる、魅力的な存在だと思います。

コメント
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