今日は「鉱夫芸術2」です。
上の写真は、先日、石川県鉱物同好会の山本会長が店に置いて行った水晶や黄鉄鉱や黄銅鉱で作られた花瓶です。これはいわゆる「鉱夫芸術」という鉱夫が造ったものだと思います。
山本会長はリサイクルショップでこれを見つけて購入されたそうです。現在では大変珍しいもので、我々鉱物趣味の人間にとってはお宝だと思います。
問題はこの「鉱夫芸術」がどこで造られたのか?どこ産の鉱物で構成されたのか?です。花瓶に付いている水晶は熱水鉱床のものと思われますし、黄鉄鉱が美しすぎるのがチョッと気になりますが、かつての尾小屋鉱山産の黄鉄鉱もこれらに似ていたそうなので、もしかすると尾小屋鉱山の鉱夫の作品の可能性もあります。もしそうだとすると我々にとっては非常に貴重なお宝です。さすが!山本会長!と言いたくなります。
ただし、まだ確定はできません。
Webで「鉱夫芸術」を調べていて、「東北の鉱山はパイプを芯にした花瓶が多く・・・」という記述がありました。この花瓶はビール瓶か?何かのガラス瓶を芯にしてコンクリートで固めてあり、東北の鉱山的な気配も感じます。かつての鉱山稼働時代には東北の鉱夫たちとの行き来もあったらしいので、そういう可能性も考えられますが、よく分かりません。
本当は花瓶に付けてある鉱物から鑑定できれば良いのでしょうが、完全な同定は難しいと思います。
もうひとつ「鉱夫芸術」の花瓶です。これは石川県鉱物同好会の第一回総会の時にSさんが持ってきた水晶が張り付けてある花瓶です。こちらは瀬戸物の花瓶そのものに張り付けて造ってあり、山本会長の花瓶とは造りが違います。この花瓶のいわれは知らないのですが、焼物的な雰囲気から何となく地場産の気配が感じられます。
これらの「鉱夫芸術」はその存在そのものが大変珍しく、貴重なものだと思います。
遊泉寺銅山や尾小屋鉱山が現役だった頃には、恐らく、このような「鉱夫芸術」は数多く造られていたのでしょう。それらはどこに行ったのでしょうか?多くのものは捨てられてしまったのでしょう。ただ幸運にも、こうして残っているものもあるのです。我々にはそれらを探し出し保存する義務があると思います。
リサイクルショップや骨董市等はそれらのようなお宝を探し出すチャンスがあるかも知れません。
それらを探す事は、古書店でお宝本を探す作業に似て楽しい事だと思います。そこには発見の喜びがあります。それは鉱物採集にも似た楽しさがあると思います。
最初の写真の山本会長の「鉱夫芸術・花瓶」は現在「石の華」に置いてあります。もちろん非売品ですが、いつでも見る事はできます。是非、ご覧ください。