カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風13号 今日明け方西表島を通過 あすは九州へ接近

2006-09-16 20:41:28 | インポート

0613_2 引用図は9月16日18時の台風13号進路予想図です。気象庁HPより引用。

台風13号は、非常に強い勢力を保ったまま、先島諸島の西表島付近を今日の明け方通過しました。

このため、西表島では午前4時22分に最大瞬間風速69.9メートル、石垣島でも午前7時19分に最大瞬間風速67.0メートルを観測しました。また、石垣島では、10分間の平均でも、午前6時50分に48.2メートルを観測しています。そのほか、宮古島や与那国島でも、最大瞬間風速が50メートルを超えました。

まさに、猛烈な暴風吹き荒れる という語句がぴったりする様子がわかりますよね。

Z__c_rjtd_20060916000000_met_cht_jciaxfe 引用図は、9月16日9時のAXFE578図です。日本気象予報士会HPより引用。

引用図より、この台風13号、大陸から上空の気圧の谷が東進してきて、この台風13号に接近しています。引用図にはありませんが、明日17日には、この上空の谷と台風13号とが東シナ海で接するようになる予想です。そして、明日17日午後には、九州へ接近する見込みです。

このように、台風が、上空の偏西風上の谷と接するようになる状態になると、台風が温暖化 する傾向が強まります。

こうなると、この台風13号、すでに進路を北東へ変えていますが、上空の谷の前面に沿って、このまま北東へ進み、移動速度もいったん早くなる見込みですね。

また、台風が温帯化 すると、台風の進行方向左側には、次第に、比較的相当温位の低い空気(言い換えれば、比較的乾いた空気といえるでしょう)が入り込み、台風の進行方向後面や左側でも、広範囲で風が相当強まりますし、台風に伴う強い雨雲が、台風の進行方向右側後面にも及ぶようになります。

今後は、台風13号の進路にあたる地域は勿論、台風が通過した後も、暴風や大雨、海上の高波には厳重な警戒が必要です。

そして、この台風13号、あさって18日には日本海に入りますが、進行方向前面のカムチャッカ半島から千島上空には気圧の峰が控えています。このため、18日に日本海に進んでからは、今度は移動速度が低下する見込みです。こうなると、18日は、全国的に風が相当強まり、本州に太平洋側では、強い雨に警戒が必要となってきますね。


台風13号、南西諸島南部へ接近

2006-09-15 23:58:50 | インポート

0613_1 引用図は9月15日22時の台風13号進路予想図です。気象庁HPより引用

台風13号は、北上を続け、15日夕方には、南西諸島南部が風速25メートル以上の暴風域に入りました。

20060915220000 200609152200001

続きて、引用図 左側が9月15日22時の日本付近雲画像図(赤外)と右側が9月15日22時の日本付近雲画像図(水蒸気)です。ともに気象庁HPより引用。

引用図より、本州の北には上空の気圧の峰がありますが、大陸からは、上空の気圧の谷が進んできています。この気圧の谷は、後ろ面に乾いた空気がぐっと入り込み(右側水蒸気画像で、くっきりとした暗域となっています。)、谷として深まる兆候です。

今後は、この台風13号、この大陸の谷に指向されるような形で、明日以降、進路を次第に北東に変えて、速度も早くなるでしょう。

また、台風13号の進路にあたる東シナ海では、海水温が28℃~30℃と高く、台風13号は、勢力(現在は非常に強い勢力です)を維持させながら、あさってには九州へ接近してきそうですので、今後、台風13号の進路に当る地域では、猛烈な暴風雨や高波、高潮などに厳重な警戒が必要です。


台風13号 次第に北上

2006-09-14 23:47:17 | インポート

0613 引用図は、14日21時気象庁発表の、台風13号進路予想図です。気象庁HPより引用。

台風13号は、沖縄の南海上に進んできました。

この台風13号、今後、次第に進路を北方向へ変えてくる見込みで、八重山諸島の一部では、あす15日夕方には、台風13号の風速25メートル以上の暴風域に入る可能性が強きなってきました。

このあと、この台風13号は、どういう進路をとるか?ですが、予想では、16日にかけて南西諸島近海を北上し、その後、進路を東よりに変えて、17日には、九州にかなり接近(場合によっては上陸)する予想です。

そこで、日本気象予報士会HPから引用の、14日9時のAXFE578図をご覧いただきましょう。

Z__c_rjtd_20060914000000_met_cht_jciaxfe この引用図より、中国東北部には気圧の峰があり、明日以降、本州上にやってくる見込みですが、その後ろには、気圧の谷があって、この気圧の谷、なかなかしっかりしている気圧の谷ですね。気圧の谷の後ろからに寒気移流と、前面の暖気移流ははっきりしています。

今後、この大陸の気圧の谷は、深まりながら東進する予想で、これにともなって、前面の気圧の峰も、16日以降、本州付近(本州の北側ですが)しっかりしてくる見込みです。

この台風13号は、前記した本州付近の上空の気圧の峰に抑えられる形になるも、その西側の上空からは気圧の谷が深まりながら東進してくるため、私自身、台風自体、進路を東よりに変えるも、すんなり真東方向へは行かずに、東シナ海で進路を北東に取り、本州付近の上空の気圧の峰の西側に沿って、そのまま北東に進み、前記した上空の気圧の谷の東進に伴い、17日以降、九州北部(沿岸すれすれに進むのでは)から日本海を北東へ速度を上げて進むと見ています。

こうなると、平成3年のりんご台風や、平成18年の台風18号の進路と酷似しそうですね。全国的に、広範囲で非常に強い風が吹き荒れて、日本海側はフェーンによる高温となりましたが。

はたして、この台風13号の進路はどうなりますか?最新の台風情報には充分注意しましょう。


明け方 関東南部中心に激しい雨。

2006-09-11 11:58:48 | インポート

06091103 引用図は、9月11日3時の天気図です。気象庁HPより引用。

昨日、前線が本州上を通過して、各地で雷を伴った激しい雨が降りましたが、11日未明になると、今度は、この前線に伴う雲の列の延長線上に入った、関東南部で雷雲が急激に発達して、関東南部の所々で雷を伴った激しい雨が降りました。

11日の明け方には、東京23区や多摩北部、多摩南部。埼玉県南部、北東部や神奈川県東部には、一時、大雨・洪水警報が出されました。

特に、東京都西東京市では、都の観測で、午前3時までの1時間に85ミリの猛烈な降水を観測しました。このため、東京都内や埼玉県内など、浸水被害や、落雷による停電事故なども発生したほどです。

この激しい雨、昨日から本日未明にかけて、本州を通過した前線に伴う雲の帯の延長線上で発生し、先だっての8月22日の記事で紹介したように、①上空1500メートルから10000メートルの合成方向に移動 ②気温の高い地域に向かって移動・発達 の雷雲の移動発達の鉄則通りに、移動・発達したと言えます。

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引用図は気象庁HPから引用した、左側が11日3時のレーダーアメダス解析雨量図の日本付近図と、右側が11日3時のレーダーアメダス解析雨量図の関東周辺図です。

更にもう一枚、気象庁HPから引用の、11日0時のレーダーアメダス解析雨量図全国図をご覧いただきましょう。

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冒頭の引用図の11日3時の天気図では、前線が本州南岸に解析されておりますが、前線と言う概念(気象のですが)を捉えるに、単純に1本の線で表現可能なものではありません。前線帯という1つの気温や湿度のコントラストの大きい部分に引かれた、いわば、帯上のもの とお考えください。よって、前線の伴う雨雲は、単に1本の線だけでは存在せず、1本の帯状として(当該帯状の中に幾重にも雨雲が存在しているとお考えください。)表現されるものなのです。

11日0時のレーダーアメダス解析雨量図全国図より、この前線の雨雲の帯のひとつは、東北北部沿岸から南西に延びて、近畿地方から四国東部に達しています。この時間は、関東地方周辺では、群馬県内に発達した雨雲がありますが、本州を西から東に移動する前線に共通するように、中部山岳の地形的影響を受けて、雨雲の活動は弱まっております。

ところが、過去の経験則上、前線帯の中では、地形などの影響で一時的に雨雲の活動が弱まっていても、今回のような雷雲(対流性の雨雲といいますね)の発生・発達しやすい場なのです。雷雲発生・発達を見極めることは過去の記事にも書きましたが、この、前線帯(天気図上では前線として表現されなかったりしますが、前線が途中で途切れている場合、ずっと前線の走行方向へ前線帯としては続いていると考えて良さそうです。)の入る部分も、雷雲発生・発達しやすい部分となります。

そして、前記した雨雲の帯は東に移動していますが、、11日3時になりますと、当該、雨雲の帯内に関東南部が入り、埼玉西部から東京都多摩地方、山梨県東部付近で、雨雲(雷雲)が発達してきました。

そして、引用図にはありませんが、11日3時には、関東北部から西部は気温が22℃から23℃なのに、東京23区周辺や神奈川県東部や相模湾沿岸では、気温が26℃から28℃程度と、コントラストが大きくなっています。

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引用図は、左側が11日4時と右側が11日5時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図です。ともに気象庁HPより引用。

前記引用図より、この発達した雨雲(雷雲)は、やはり前記した、気温のコントラストの大きい、東京23区から神奈川県方面へ移動し、更に発達している様子がわかりますね。

今日11日も、関東地方や甲信、東海地方などでは、大気が不安定な状態が続きますので、雷を伴った強い雨には注意!ですね。


昨日から本州太平洋側や北陸で局地的大雨。さて天気図上は?

2006-09-07 12:15:57 | インポート

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引用図は、9月7日6時の天気図(左側)と9月7日日本付近レーダーアメダス解析雨量図(右側)です。

ともに気象庁HPより引用。

昨日から、本州の太平洋側や北陸の所々で、局地的に大雨が降り続いています。

特に、昨日は、高知県の一部で、1時間に120ミリを超す猛烈な雨に見舞われた箇所もありました。前記引用図の時間では、和歌山県や北陸の一部で、非常に強い雨となっており、これらの地域には、大雨・洪水警報が出されました。7日11時現在でも、北陸の一部には、大雨・洪水警報が出されたままです。

さて、前記、引用図をみると、本州南岸に前線が描かれていますが、実際に、降水となっている箇所は、前線が引かれている方向ではありませんよね。

これは、天気図(地上天気図と呼んでいますが)上の前線は、地表付近の気温や湿度、風向風速などの分布を勘案して、それらのコントラストの強い部分を境に前線を解析し、表示するものですが、実際に降水となり、当該降水域が発達するのは、その地域が上昇流の場になるかどうか?、その上昇流がどれだけ発達するか?にかかってくるものだといえます。

そして、当該上昇流を発生、発達する要因として、正渦度移流に伴う、3000メートル付近の上昇流増大になる場や地表が湿っており、下層と上層との気温差が大きいか?(勿論地表付近の気流の収束などの影響も重要ですが)などが要素となります。実際に雨雲が発生発達する場は、前記した上昇流域の発達する方向や下層と上層との気温差が大きい方向へ分布するようになるものです。

Z__c_rjtd_20060906120000_met_cht_jciaupq Z__c_rjtd_20060906120000_met_cht_jciaupq_1

ここで、6日21時の、AUPQ78図(左側)とAUPQ35図(右側)をご覧いただきましょう。

日本海に上空の谷がやってきており、本州上は、その谷の前面に入っています。前記した、3000メートル付近の上昇流増大になる場となっていることが推測されて、下層である、上空1500メートル付近では、大気が湿っていることが読み取れますね。

そして、1500メートル上空の気温と、5000メートル上空との気温差が大きい部分は、本州上に沿って、南西から北東方向へ広がっています。今回の強い雨雲も、当該方向に広がっていることがわかりますね。

よって、大雨発生時には、地上の天気図の前線の位置だけに固執するのはナンセンス!上空の各種気象解説図より、大気の鉛直方向の状況を把握することが大切に思われます。

最後に、日本海にある上空の谷は、弱まりながら東進中で、今日までは、本州の所々で、局地的に大雨が降る恐れがあります。