引用図は、9月7日6時の天気図(左側)と9月7日日本付近レーダーアメダス解析雨量図(右側)です。
ともに気象庁HPより引用。
昨日から、本州の太平洋側や北陸の所々で、局地的に大雨が降り続いています。
特に、昨日は、高知県の一部で、1時間に120ミリを超す猛烈な雨に見舞われた箇所もありました。前記引用図の時間では、和歌山県や北陸の一部で、非常に強い雨となっており、これらの地域には、大雨・洪水警報が出されました。7日11時現在でも、北陸の一部には、大雨・洪水警報が出されたままです。
さて、前記、引用図をみると、本州南岸に前線が描かれていますが、実際に、降水となっている箇所は、前線が引かれている方向ではありませんよね。
これは、天気図(地上天気図と呼んでいますが)上の前線は、地表付近の気温や湿度、風向風速などの分布を勘案して、それらのコントラストの強い部分を境に前線を解析し、表示するものですが、実際に降水となり、当該降水域が発達するのは、その地域が上昇流の場になるかどうか?、その上昇流がどれだけ発達するか?にかかってくるものだといえます。
そして、当該上昇流を発生、発達する要因として、正渦度移流に伴う、3000メートル付近の上昇流増大になる場や地表が湿っており、下層と上層との気温差が大きいか?(勿論地表付近の気流の収束などの影響も重要ですが)などが要素となります。実際に雨雲が発生発達する場は、前記した上昇流域の発達する方向や下層と上層との気温差が大きい方向へ分布するようになるものです。
ここで、6日21時の、AUPQ78図(左側)とAUPQ35図(右側)をご覧いただきましょう。
日本海に上空の谷がやってきており、本州上は、その谷の前面に入っています。前記した、3000メートル付近の上昇流増大になる場となっていることが推測されて、下層である、上空1500メートル付近では、大気が湿っていることが読み取れますね。
そして、1500メートル上空の気温と、5000メートル上空との気温差が大きい部分は、本州上に沿って、南西から北東方向へ広がっています。今回の強い雨雲も、当該方向に広がっていることがわかりますね。
よって、大雨発生時には、地上の天気図の前線の位置だけに固執するのはナンセンス!上空の各種気象解説図より、大気の鉛直方向の状況を把握することが大切に思われます。
最後に、日本海にある上空の谷は、弱まりながら東進中で、今日までは、本州の所々で、局地的に大雨が降る恐れがあります。