カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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明け方 関東南部中心に激しい雨。

2006-09-11 11:58:48 | インポート

06091103 引用図は、9月11日3時の天気図です。気象庁HPより引用。

昨日、前線が本州上を通過して、各地で雷を伴った激しい雨が降りましたが、11日未明になると、今度は、この前線に伴う雲の列の延長線上に入った、関東南部で雷雲が急激に発達して、関東南部の所々で雷を伴った激しい雨が降りました。

11日の明け方には、東京23区や多摩北部、多摩南部。埼玉県南部、北東部や神奈川県東部には、一時、大雨・洪水警報が出されました。

特に、東京都西東京市では、都の観測で、午前3時までの1時間に85ミリの猛烈な降水を観測しました。このため、東京都内や埼玉県内など、浸水被害や、落雷による停電事故なども発生したほどです。

この激しい雨、昨日から本日未明にかけて、本州を通過した前線に伴う雲の帯の延長線上で発生し、先だっての8月22日の記事で紹介したように、①上空1500メートルから10000メートルの合成方向に移動 ②気温の高い地域に向かって移動・発達 の雷雲の移動発達の鉄則通りに、移動・発達したと言えます。

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引用図は気象庁HPから引用した、左側が11日3時のレーダーアメダス解析雨量図の日本付近図と、右側が11日3時のレーダーアメダス解析雨量図の関東周辺図です。

更にもう一枚、気象庁HPから引用の、11日0時のレーダーアメダス解析雨量図全国図をご覧いただきましょう。

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冒頭の引用図の11日3時の天気図では、前線が本州南岸に解析されておりますが、前線と言う概念(気象のですが)を捉えるに、単純に1本の線で表現可能なものではありません。前線帯という1つの気温や湿度のコントラストの大きい部分に引かれた、いわば、帯上のもの とお考えください。よって、前線の伴う雨雲は、単に1本の線だけでは存在せず、1本の帯状として(当該帯状の中に幾重にも雨雲が存在しているとお考えください。)表現されるものなのです。

11日0時のレーダーアメダス解析雨量図全国図より、この前線の雨雲の帯のひとつは、東北北部沿岸から南西に延びて、近畿地方から四国東部に達しています。この時間は、関東地方周辺では、群馬県内に発達した雨雲がありますが、本州を西から東に移動する前線に共通するように、中部山岳の地形的影響を受けて、雨雲の活動は弱まっております。

ところが、過去の経験則上、前線帯の中では、地形などの影響で一時的に雨雲の活動が弱まっていても、今回のような雷雲(対流性の雨雲といいますね)の発生・発達しやすい場なのです。雷雲発生・発達を見極めることは過去の記事にも書きましたが、この、前線帯(天気図上では前線として表現されなかったりしますが、前線が途中で途切れている場合、ずっと前線の走行方向へ前線帯としては続いていると考えて良さそうです。)の入る部分も、雷雲発生・発達しやすい部分となります。

そして、前記した雨雲の帯は東に移動していますが、、11日3時になりますと、当該、雨雲の帯内に関東南部が入り、埼玉西部から東京都多摩地方、山梨県東部付近で、雨雲(雷雲)が発達してきました。

そして、引用図にはありませんが、11日3時には、関東北部から西部は気温が22℃から23℃なのに、東京23区周辺や神奈川県東部や相模湾沿岸では、気温が26℃から28℃程度と、コントラストが大きくなっています。

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引用図は、左側が11日4時と右側が11日5時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図です。ともに気象庁HPより引用。

前記引用図より、この発達した雨雲(雷雲)は、やはり前記した、気温のコントラストの大きい、東京23区から神奈川県方面へ移動し、更に発達している様子がわかりますね。

今日11日も、関東地方や甲信、東海地方などでは、大気が不安定な状態が続きますので、雷を伴った強い雨には注意!ですね。