カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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関東の北東気流は2つタイプがあります

2008-05-11 18:53:45 | インポート

①5月11日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月11日9時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③5月11日9時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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④5月11日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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昨日から本州南海上に前線が停滞し、前線上を低気圧が東進しました。

このため、東北の太平洋側や関東地方には、東海上からの冷たく湿った海風(俗に北東気流と呼ばれていますが)が吹き込み、雨が降ったことも重なって気温が上がらず、軒並み、3月中旬から下旬頃の寒々しい1日となりました。

東京でも、最高気温が14・1℃(3月下旬並)と、平年と比較すると8・2℃低く、昨日と比べても3・1℃低い気温となりましたが、この気温は、雨が止んだ後の午後4時36分に観測されたもの。雨が降っていた日中は10℃を少し上回る程度と、冬のような寒さとなってしまいました。

この、関東地方や東北地方太平洋側に低温をもたらす北東気流ですが、高気圧の張り出す部分の南縁や西縁に入るときに発生します。以前本ブログでも紹介しましたように、北東気流は、地表からおよそ上空1000mから、せいぜい1500m程度といった下層部分です。よって、北東気流に伴う低温域は、本州の内陸部の山脈を越えられず、東北地方の日本海側や北陸地方、それに甲信地方や静岡県中部以西では北東気流による影響を受けにくいものです。

北側や東側にある高気圧から吹出す気流は、東海上に流れる親潮の影響で、風向が北東方向に変化し、北東気流となって関東地方や東北地方太平洋側に吹き付けます。さらに北東気流が陸地に侵入すると、摩擦の影響で北よりに変化し、北東気流自体、言ってみれば 背の低い気流でありますから、内陸部に地表の摩擦の影響をうけて、気流自体、滞留するようになります。

下層部分にしか吹かない、背の低い気流自体滞留するとどうなるか?ちょうど、冷房の効いた部屋をイメージしてください。部屋の中央より端の部分が冷えやすくなるのと一緒、冷えた空気自体部屋の床部分(地表付近)へ集まり、部屋の壁(内陸部の山脈)を超えられず、当該部屋の端部分に冷気が溜まってしまいますよね。北東気流による気温低下の理屈も、この冷房のかけた部屋とおなじことですね。

よって、北東気流でより低温となりやすいのは、いかに気温の低い気流が東海上から吹き付けられるか?と言うことがポイントとなり、関東ですと、三陸沖から北日本方面で、また東北地方では千島近海から北海道の北で下層が寒気移流が顕著であると、北東気流に伴う気温低下が大きくなるものです。

引用図④の下側をご覧ください。オホーツク海には、上空1500m付近で-6℃以下(地表で雪となる目安の気温です。)の低温域が分布して、オホーツク海南部から千島近海、それに、三陸沖にかけては、等温度線が風向と垂直になっており、寒気移流となっている様子がわかります。さらに、引用図①より日本海中部から北海道の南東海上には高気圧があり、関東地方では、当該高気圧の南縁に入っています。

このため、関東では、北東気流が入り込んで時ならぬ低温となってしまいました。

関東地方では、北東気流になる気圧配置として大きく分けると

<1>高気圧の中心が北側(北緯40度より北側)にある場合

<2>高気圧の中心が関東の東海上(北緯35度より北側)にある場合

とがあります。

このうち、顕著に低温となりやすいのが、<1>のタイプですね。等圧線が伊豆諸島付近まで真横方向に走っているときは、関東地方広範囲で低温が著しくなります。今回の5月11日はこの気圧配置ですね。(引用図①を参照)

<2>のタイプは、関東東海上から南海上では南から南東風となっていますが、鹿島灘周辺の親潮の影響で、関東東部沿岸では北東から東より風となって、関東平野に吹きつけるようになってしまうためです。

関東地方の気温低下はタイプ<1>ほどではありませんは、関東地方一帯に雲が広がってしまいます。伊豆諸島付近から千葉県東部や南部沿岸に南海上から南東風が吹き込むことが多く、関東南部から東部沿岸部に、件の、沿岸前線が発生しやすく、この南東風の気温と湿度の変化如何で関東地方の天気が左右されますね。関東東部や南部では、朝晩、濃霧が発生しやすくなりますし、南海上からの南東風が大変暖かく湿っていたり、上空に寒気が流れこんでいたりして、大気の状態が不安定な場合、関東の沿岸部では局地的に強い雨が降ることもあります。

<1>と<2>をミックスさせたタイプもありますね。この場合、関東地方では東海上にかけて等圧線の走向に注意!東海上で等圧線が東西方向から北西~南東方向に走っていると、当該等圧線がかかる関東地方の地域では、海上から相対的に気温の高い気流が流れ込んでくるようになり、件の、沿岸前線が発生しやすく、このような状況下で、本州南海上を低気圧が東進する場合、当該沿岸前線周辺で雨量がまとまったり、冬季は、雨と雪の境目となります。


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