を観た。
酒井俊さんの素晴らしいライブを観て思ったこと。
それは
ジャズボーカルの彼方になにがあるのか、ということ。
今年の夏は2回ほど、ボーカルで初めてお声がかかった、
ジャズボーカルの末席、端くれの端くれの私が考えることでありますが。
ジャズボーカルをはじめるなら、どうするか。
まずはスタンダードな曲を覚え、歌詞を暗唱し、
自分の解釈で歌えるようになる。
コード感を覚え、スキャットでアドリブもできるようにする。
(↑僕はいまここ)
そして、自分の声や歌い方がもっとも魅力的に聞かせられるように、
工夫をする。表現力を磨く。
できれば英語の発音も磨く。
ま、そんなところではないでしょうか。
でもその先になにがあるのか。
上手にジャズが歌えた先に、何があるのだろうか。
その一つのお手本が酒井俊さんの今日のステージにあった気がする。
たとえば日本人のお客様に歌うときに、英語でいいのだろうか。
相模大野のジャズフェスにいらしゃった、
大勢の地元の方々は、拝察するに、おそらく、
特にジャズに詳しいわけではないお客様でありましょう。
そこで聞かせるものが、どれもこれも、ジャズのスタンダードな
ビバップチューンでいいのだろうか。
人の心に響く音楽を目指す、真摯な姿勢として。
聴いていだだく方の心に幸せななにかを贈りたいものとして。
もちろん英語の曲もあった、有名なカバー曲もあった。
しかし、日本語の曲、オリジナル、昔の日本の曲もあった。
すべてが、大切に、そしてあらゆる情感を込めて、
歌われ、演奏された。
演奏陣、林栄一さん、市川さん、瀬尾さん。
まったく素晴らしいとしかいいようがない。
妥協のない、シリアスでピュアなジャズサウンド。
そこで紡ぎ出されるサウンドは、全く通俗的でないのに、
ジャズを知らない人にも響いていたように思える。
そしてなにより相模大野の観客の方々の、オープンマインド。
これには感服しました。
偏見なく、有名な曲も、知らない音楽も、自分の価値観で聴き、
楽しむ姿勢は、成熟した音楽の聞き手のそれだと思います。
ちょっと感動しました。
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