ついに読了「終わりなき闇」チェット・ベイカー。
読むだけでジャンキーになったような気がするぐらい、
ゲンナリした本でありました。
白人で(ジャズでは白人が差別される)、
楽譜や理論がわからなくても天性の才能があり、
練習をしなくてもトランペットが吹けてしまった天才。
それが本人の気持ちに反して、
マイルスやクリフォード・ブラウンを押さえて
人気投票で一位になってしまう戸惑いと不安。
そして膨大な収入、あたりに溢れる麻薬。
麻薬に手を出し、何人も友人を麻薬で失い、
麻薬を買う金のほしさにろくに演奏が出来ないままステージにたち、
ボロボロの演奏をし、ボロボロに非難され、愛想を尽かされ、
しまいには売人に歯を折られ。
キツイキツイ本で、もう何人の女性を踏みにじり、
何人の友人を裏切ったか数え切れない。
麻薬による緩慢な自殺を長年しながら、
どうしてトランペットを吹くのを辞めなかったのだろう。
そして晩年に向かっていって、さらに魂が籠もった演奏が出来たのだろうか。
危険で魅力に溢れたこの人物について、
考えれば考えるほどヤバい気になるし、
その音楽は、彼がどんな破滅的な人生を送っていたとしても
危険なぐらいに危うく美しい。
できるだけシンプルに、メロディアスに、深みのある音で吹くこと(弾くこと)。
それを僕も信条としていきたいと思う。
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鈴木 玲子 | |
河出書房新社 |
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