ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その92
私の知り合いである
ミスター・ピーノさんは海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。
ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。
読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。
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◇GW後半は、神戸~松江~京都に1/2/1泊ずつして、昨年に続き、山陰
に行ってきました。神戸では元町駅北側にある広東料理の『順徳』で食事。
ここのお任せセット料理はビールに合う食材で、オードブルの盛り合わせや
アワビのオイスターソース煮込みが美味しかったです。松江では昨年同様、
郷土料理の店『一隆』に2晩通い、隠岐の岩ガキ、山菜の天ぷら、のどぐろ
の塩焼きなど、初日は隣に西尾市から来た親子3人組と楽しい会話になり、
翌日は、社会福祉法人勤務の上司と部下から松江の裏話をタップリ拝聴。
http://tetsuwanco.exblog.jp/6746749/
◇今回2つの目的があり、①足立美術館で日本庭園と横山大観の日本画
鑑賞と、②植田正治写真美術館の訪問でした。安来市(島根)の街道沿い
にある足立美術館は、足立全康氏(ぜんこう、1899-1990)個人で収集した
コレクションを展示。 5万坪の広大な日本庭園でも知られ入場料(2,200円)
と館内喫茶店(ドリンク1杯:1,000円)の高さでも有名です(笑) 訪問時は、
明治・大正・昭和の同時代を生きた横山大観と竹内栖鳳(せいほう)2人の
日本画の同じモチーフ(滝や浜辺他)の作品が並べられ豪華圧巻の世界。
http://www.adachi-museum.or.jp/ja/index.html
◇植田正治(1913-2000)は境港市に生まれ育ち、福山雅治さんのジャケ
写などでも有名な写真家。大山(だいせん:鳥取)の麓にある鉄筋打ちっぱ
なしの近代的な建物で、戦前の家族のポートレートや子どもの「演出写真」
から、戦後の鳥取砂丘を背景にしたオブジェのような作品まで様々な写真
を展示。 2階には世界最大の600mmレンズが壁に設置された映像展示室
が、カメラ・オブスクラ(camera obscura:暗い部屋)、つまりカメラの心臓部
になっており、そこで上映される紹介映像(15分)もなかなか刺激的でした。
http://www.japro.com/ueda/
◇定年を迎えられた I さんの壮行会「ラテン会」(別名“ラ族” 女2、男9)が、
飲茶の専門店でありました。 技術者として、メキシコやドイツに駐在されて、
帰国後も、パーツ供給や品質保証関連の仕事で、海外現地法人と接点が
ある業務に就かれて海外出張に行かれる機会が多い職場でした。 “ラ族”
の集まりは、最近、1~2ヶ月に一度の割合で頻度が増えてきており、出席
するのは久しぶりのこと。 皆、駐在した国や駐在時期が微妙に異なります
がどこかラテン的な“ポジティブな思考”を兼ね備えているのが共通点(笑)
【映画】
■宇宙兄弟 (★★★☆)
小山宙哉の漫画が原作。ガガーリンから、アポロ11号の月面着陸(1969)
を経て、2025年に宇宙飛行士となり月面基地建設を担うヒビト(岡田将生)
と自動車会社を解雇された兄ムッタ(小栗旬)のSF物語。 NASAとJAXAの
全面的な協力を得て、特にJAXA内で行われる8名による宇宙飛行士選抜
試験がなかなかリアルです。 月面で起きる現実離れした出来事と対照的
で、宇宙=宇宙飛行士へのあこがれ(夢)を持ち続けることと、兄弟の関係
が微笑ましく、近未来にしては現在とほとんど変わらない設定は?でした。
公式HP ⇒ http://www.spacebrothers-movie.com/index.html
■テルマエ・ロマエ THERMAE ROMAE (★★★)
ヤマザキマリのコミック漫画を映画化。古代ローマ帝国における公衆浴場
の設計技師ルシウス(阿部寛)が、現代の日本のお風呂屋さんや温泉に
タイムスリップして壁の絵や脱衣用のカゴやフルーツ牛乳の味を持ち帰る
SFコメディ。“平たい顔族”と名付けれた日本人のオジイチャンたち出演者
が良い味を出しており、温泉・お風呂好きの日本人と古代ローマ人たちを
演じる日本人俳優(市村正親、宍戸開他)が可笑しく、途中から日本語に
すべて変わるのと上戸彩のカワイイだけのヒロインはミス・キャストですね。
公式HP ⇒ http://www.thermae-romae.jp/sp/index.html
【Book】
■内田樹・中沢新一 「日本の文脈」(角川書店、12/01/30 ★★★★)
2009年4月から2011年5月までの8回の対談を収録。2人とも1950年生ま
れで'70年に東大入学。 四谷で『くくのち学舎』という学校を開始した中沢
氏と神戸女学院大学を退職して『凱風館』という合気道の道場を開設した
内田氏が語るのは“日本的なもの”について。農業・構造主義・霊的経験
・風水・「男のおばさん」・能・武士道・ユダヤ教・チベット仏教・原発と多岐
に渡ります。一見まとまりのない話の連続ですが、これら“日本的なもの”
こそ、実は人類的な普遍性をもってるという、なかなか興味深い内容です。
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=200907000620
日本の文脈 | |
内田 樹,中沢 新一 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
■松原耕二 「ぼくは見ておこう」(プレジデント社、11/12/07 ★★★★☆)
「ほぼ日」(http://www.1101.com/watch/index.html)内でコラムを発表
し続ける、TBS系『NEWS23クロス』のメインキャスター。「取材して伝える」
ことを常に考え、ここではニュースの背後にある人間ドラマを描いています。
筑紫哲也、坂東玉三郎、カストロ、C・イーストウッドなどへのインタビュー、
そして「9.11」と「3.11」における、ジャーナリストとしての視点。それぞれの
人生におけるある時点での断片が取り上げられ、こうしてまとまったコラム
を読むと、改めて彼の『ぼくは見ておこう』を大切にする決意が伝わります。
http://str.president.co.jp/str/book/detail/BK001988/
ぼくは見ておこう ― ニュースな人たちが教えてくれた生きるヒント25 | |
松原 耕二(まつばら・こうじ) | |
プレジデント社 |
【オマケ、今週の気になった言葉】
■これまでの自分を壊し、まだ見ぬ夢の劇場へ向かって、瓦礫(がれき)
の荒野を駆けていきたい。 夢の劇場でお会いしましょう。
(by 蜷川幸雄、日本経済新聞「私の履歴書」12/04/30より)
先月の日経は、1面をチラッと見て、裏の「私の履歴書」から読んでました。
高2の春、東京キッドブラザースの「ザ・シティ」の舞台を観て、1979年春、
高校時代ラグビー部員だったMが出演した、劇団天井桟敷の「レミング」を
観たのが、演劇との付き合い始めでした。演劇の魅力は“その時、その場
限りの、1回だけの物語”にどこまで入り込めるかにあります。 昔から銀座
や日比谷の大劇場で、何ヶ月も公演が続く“商業演劇”よりも、たった数日
から1、2週間で行われる小劇団や小劇場における演劇が好きで、数m先
で俳優のセリフの間や汗が体感できるスリリングな小空間が大好きです。
そういう意味で、“NINAGAWA演出”はビッグになり過ぎた象のような存在
で、オペラグラスや双眼鏡が必要な舞台には行きたくありません。その点
が東京ドームや日本武道館にでも出かけるコンサートライブとの違いです。
では。