Secret of SARAH SZE
2008年2月初旬、サラは、銀座にやってきた。銀座のエルメスのビルのギャラリーで大規模な個展を行うためである。空間に合わせてインスタレーションを行うアーティストである、サラは、インスタレーションで使用する素材や道具をアメリカ本国から大量に持ち込んできた。彼女はインスタレーションを行う場所の素材も使用するが、彼女自身が持ち込む素材も多い。しかしシッピングではなく空輸で持ち込まれるモノもいくつかあり、スタッフはやや訝った。
彼女の作業は主に夜中であった。エルメスビルが閉店したあと、しかし銀座の夜はにぎやかに更けている。そんな時刻に彼女は厳重にパックされた荷物を開け始めた。7つの大きなコンテナがある。ルイ・ビトンの船での旅に使うようなコンテナである。彼女は1つ1つをあけた。恐るべきことに、そのハコは小さな部屋になっており、電気スタンドとベッドとスナック類と大量の飲料水がはいっていて、その中に体長で50センチほどの、ゴブリンが寝ていた。ゴブリンは、少し部屋の明るさと広さにキョトキョトしながら、外に出る。彼らは、あの、いわゆる、ほら七人の小人たちだ。
アートのお姫様、サラが何事かを小人たちにいって、小さな設計図と素材を示す。小人たちは口々に、聴いたことのないメロディをバラバラに口ずさみながら、楽しげにジョークをいいながら、作業をはじめる。時々じゃれあい、小競り合いやかくれんぼをし、時々、昼間のうちにサラが銀座で買っておいたビスケットをたべ、眠くなったら、会場の片隅にしつらえらえた小さなベットルームで眠るものもいる。サラが居眠りをすると、みんなで悪戯をすることもある。
明け方、サラは彼らを連れてタクシーでホテルに帰る。大きなスーツケースを横に七つに仕切った、7段ベットになったようなスーツケースに小人たちは入って。スーツケースはタクシーのトランクに入れられるので、みんなで喋っていても平気だ。でもいつもアッという間にホテルに着いてしまう。
ホテルでは昼間、サラを含めた8人は、めいめい勝手に過ごしている。小人たちは日本のお菓子が気に入ったようだった。一度だけ、サラは小人たちを夜明けのお台場に連れて行った。横に一列になって朝の冷気の中で昇る朝日をみんなで見た。そろそろニューヨークに帰りたいな、と口には出さないが、小人たちはみんな思っていた。
そして3週間がたって、作品は完成した。いや、厳密に言えば完成はしていない。作業日程が終わったのでそこで終わりにしたのだ。むしろサラは完成させないように、小人たちがちょっと混乱するような指示を時々だす。小人たちはお姫様の気まぐれだと思っている。しかし、本当はサラは、作品を完成させたら終わってしまうことを知っているのだ。終わらない物語こそが、ほんとうのストーリーであることを。
サラ・ジー展。素晴らしかったです。銀座のエルメスビル(入りにくいですけどね、ちょっと)の8階でやってます。ちなみに僕は小人が丁寧に張った青い糸をひとつ、足で引っかけてクランプごと倒してしまいました。ごめんな、ゴブリンちゃん。そして怒らなかったエルメスのお姉さん、ゴメン。
Sarah Sze
From Wikipedia, the free encyclopedia
Jump to: navigation, search
Sarah Sze (born 1969 in Boston, Massachusetts) is an American artist and sculptor based in New York and Cambridge.
Sze is known for site-specific ephemeral sculptures, in which thousands of small everyday objects are assembled into fragile, sweeping forms. She received her MFA in Fine Arts from the School of Visual Arts in New York City in 1997.[1]
Her work has been exhibited in solo shows at the Museum of Contemporary Art, Chicago, the Boston Museum of Fine Arts, the Institute of Contemporary Arts in London, and the Fondation Cartier in Paris, as well as many group exhibits. She has also more recently installed permanent sculptures in the collections of the Massachusetts Institute of Technology and the San Diego Museum of Contemporary Art. In 2003 she received a MacArthur "genius grant" Fellowship [2].
One of Sze's recent projects was a Public Art Fund-sponsored sculpture called Corner Plot on the Doris C. Freedman Plaza on Fifth Avenue at 60th Street, New York City. Shown through October 26, 2006, it is of an immaculate corner of a building--in the same white brick as found around Fifth Avenue--that pokes out from the pavement in the plaza[3].
Sze's recent solo shows include: Malmo Konsthall, Malmo, Sweden; Victoria Miro Gallery, London, UK; The Forum, Maison Hermes, Tokyo, Japan.
2008年2月初旬、サラは、銀座にやってきた。銀座のエルメスのビルのギャラリーで大規模な個展を行うためである。空間に合わせてインスタレーションを行うアーティストである、サラは、インスタレーションで使用する素材や道具をアメリカ本国から大量に持ち込んできた。彼女はインスタレーションを行う場所の素材も使用するが、彼女自身が持ち込む素材も多い。しかしシッピングではなく空輸で持ち込まれるモノもいくつかあり、スタッフはやや訝った。
彼女の作業は主に夜中であった。エルメスビルが閉店したあと、しかし銀座の夜はにぎやかに更けている。そんな時刻に彼女は厳重にパックされた荷物を開け始めた。7つの大きなコンテナがある。ルイ・ビトンの船での旅に使うようなコンテナである。彼女は1つ1つをあけた。恐るべきことに、そのハコは小さな部屋になっており、電気スタンドとベッドとスナック類と大量の飲料水がはいっていて、その中に体長で50センチほどの、ゴブリンが寝ていた。ゴブリンは、少し部屋の明るさと広さにキョトキョトしながら、外に出る。彼らは、あの、いわゆる、ほら七人の小人たちだ。
アートのお姫様、サラが何事かを小人たちにいって、小さな設計図と素材を示す。小人たちは口々に、聴いたことのないメロディをバラバラに口ずさみながら、楽しげにジョークをいいながら、作業をはじめる。時々じゃれあい、小競り合いやかくれんぼをし、時々、昼間のうちにサラが銀座で買っておいたビスケットをたべ、眠くなったら、会場の片隅にしつらえらえた小さなベットルームで眠るものもいる。サラが居眠りをすると、みんなで悪戯をすることもある。
明け方、サラは彼らを連れてタクシーでホテルに帰る。大きなスーツケースを横に七つに仕切った、7段ベットになったようなスーツケースに小人たちは入って。スーツケースはタクシーのトランクに入れられるので、みんなで喋っていても平気だ。でもいつもアッという間にホテルに着いてしまう。
ホテルでは昼間、サラを含めた8人は、めいめい勝手に過ごしている。小人たちは日本のお菓子が気に入ったようだった。一度だけ、サラは小人たちを夜明けのお台場に連れて行った。横に一列になって朝の冷気の中で昇る朝日をみんなで見た。そろそろニューヨークに帰りたいな、と口には出さないが、小人たちはみんな思っていた。
そして3週間がたって、作品は完成した。いや、厳密に言えば完成はしていない。作業日程が終わったのでそこで終わりにしたのだ。むしろサラは完成させないように、小人たちがちょっと混乱するような指示を時々だす。小人たちはお姫様の気まぐれだと思っている。しかし、本当はサラは、作品を完成させたら終わってしまうことを知っているのだ。終わらない物語こそが、ほんとうのストーリーであることを。
サラ・ジー展。素晴らしかったです。銀座のエルメスビル(入りにくいですけどね、ちょっと)の8階でやってます。ちなみに僕は小人が丁寧に張った青い糸をひとつ、足で引っかけてクランプごと倒してしまいました。ごめんな、ゴブリンちゃん。そして怒らなかったエルメスのお姉さん、ゴメン。
Sarah Sze
From Wikipedia, the free encyclopedia
Jump to: navigation, search
Sarah Sze (born 1969 in Boston, Massachusetts) is an American artist and sculptor based in New York and Cambridge.
Sze is known for site-specific ephemeral sculptures, in which thousands of small everyday objects are assembled into fragile, sweeping forms. She received her MFA in Fine Arts from the School of Visual Arts in New York City in 1997.[1]
Her work has been exhibited in solo shows at the Museum of Contemporary Art, Chicago, the Boston Museum of Fine Arts, the Institute of Contemporary Arts in London, and the Fondation Cartier in Paris, as well as many group exhibits. She has also more recently installed permanent sculptures in the collections of the Massachusetts Institute of Technology and the San Diego Museum of Contemporary Art. In 2003 she received a MacArthur "genius grant" Fellowship [2].
One of Sze's recent projects was a Public Art Fund-sponsored sculpture called Corner Plot on the Doris C. Freedman Plaza on Fifth Avenue at 60th Street, New York City. Shown through October 26, 2006, it is of an immaculate corner of a building--in the same white brick as found around Fifth Avenue--that pokes out from the pavement in the plaza[3].
Sze's recent solo shows include: Malmo Konsthall, Malmo, Sweden; Victoria Miro Gallery, London, UK; The Forum, Maison Hermes, Tokyo, Japan.
Sarah SzeHarry N Abramsこのアイテムの詳細を見る |
Sarah SzeThames & Hudsonこのアイテムの詳細を見る |