ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

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柳家小三治著『ま・く・ら』(講談社文庫)は最高! 爆笑です。<★★★★☆>

2007年08月10日 05時24分43秒 | レバレッジリーディング
『ま・く・ら』
柳家小三治
講談社文庫
ISBN:978-4-06-263777-0

えーまず、この本を手にしたいきさつをお話し申し上げますと、先日、「おとなを、休む日」http://www.holiday.yamaha.co.jp/の「あの人の、休日」のコーナーで三遊亭小遊三さんに取材させて頂きましてね、ま、トランペットも吹かれる粋な師匠なんですが、大変楽しい取材でした。それで取材後に池袋の演芸場で高座を見せて頂き、これはなぁ、落語ってのはテレビで見るよりずいぶんと面白れーもんだな、と感服いたしました。ま、初めてじゃなかったんですが、20年ぶりぐらいではありましてね、落語ってのは若い頃より大人になってからの方が愉しめるものだ、とも思った次第でした。

で、その後本屋でウロウロしてましたらこの本を見つけましてね、ちょっと読んでみたわけですが、これまた面白い。『ま・く・ら』というタイトル通り、柳家小三治さんが独演会などの折に話されたマクラがそのまま文字に書き起こされた本です。通常落語のマクラってやつは、本題に入る前のイントロで、その日の客の顔を見つつ、粋な小話の一つや二つをやって、ポンと筋に入るわけですが、小三治師匠はどうやら「マクラの小三治」とも呼ばれているようで平気で1時間もマクラをやってしまう。しかもこれがあまりに面白いってんで、この本の編集者が頼み込んで本にしたそうでございます。

小三治さんはでっかいバイクに乗ることでも有名で、それは存じ上げておりましたが、他にもオーディオマニアだったり、句会で俳句はひねる、さらに塩や蜂蜜などの食材へのこだわり、卵かけご飯の作法に至るまで、いろんな趣味をお持ちです(ま、落語まで趣味と仰る御仁ですがそれはさておきまして)。それらの趣味の話題がマクラに自由自在、ふんだんに入っていて、本当に面白かった。急に英語を習いにアメリカに留学したり、音を良くするためにCDにカッターで傷を入れたり、スピーカーに紙風船入れたり、もう大変です。カッターの話の時は、どうやら高座にCDラジカセを持ち込んでお客に聞き比べさせたらしいですよ……。中でも笑ったのはバイクを駐めている駐車場にホームレスが住みついた話で、これは読んでいても声を出して笑ってしまうほどですが、そこはかとないペーソスもあって、まるで一つの古典落語のような完成度でございました。

それにしても、電車の中なんぞで読んだら大変ですよ、これは。まず笑いが止まらない。声を出して笑ったらいけないと必死にこらえると、下を向いて肩をふるわせることになる。ひどく具合が悪いように見えます。「大丈夫ですか?」なんて親切な方に声をかけられて顔を上げたら、脂汗をかいて、ちょっと涙ぐんで、しかも笑っている……。これはもう、駅員か医者を呼ばれるかもしれない、という代物です。屋外でお読みになるときは、お気をつけてください。

柳家小三治師匠の著書『ま・く・ら』の情報はこちらのホームページにあります。


「おとなを、休む日」の「あの人の、休日」に今週登場の三遊亭小遊三さんのコンテンツはこちらです。


たまには寄席で落語を聴くのも本当に楽しいものです。東京近郊の方だけになり申し訳ありませんが、寄席のスケジュールがご覧になれるホームページをご紹介します。

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