ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
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『ボルベール 帰郷』を見た<★★★★☆>

2007年08月02日 10時33分02秒 | 映画レビュー
『ボルベール 帰郷』

監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ポルティージョ、ヨアンナ・コバ

ペドロ・アルモドバル監督といえば、『トーク・トゥ・ハー』『オール・アバウト・マイマザー』などで世界から高く評価されているスペインを代表する巨匠だそうですが、正直に告白すれば両方とも未見でした。今回の作品はそれらと合わせて三部作と言われています。

ぜひ劇場でご覧いただきたいのでストーリーは書けないのですが、女性賛歌といってもいい内容で、男性はほとんど刺身のツマ程度。娘、母、祖母という3世代の女性たちが、清濁を併せ飲みつつ女性として美しく、強く、優しく生きていく姿を描いています。カンヌ国際映画祭では出演女優6人がすべて最優秀女優賞を獲得、という快挙を成し遂げたそうですが、それも当然と思えるほど、スペインの女優さんたちの演技のアンサンブルは素晴らしいものでした。

特に主演のペネロペ・クルスはアルモドバル監督が「ペネロペはいま、美の絶頂にある」と絶賛したように、信じがたいほどの美しさです。しかも、その美しさはハリウッド女優のような人工的で華美で男性から見た理想を具現化した美ではなく、母性の持つ強さとしなやかな生命力を備えた、女性本来の美しさ。花が咲くときの妖しさと生命力が感じられます。この映画のアートワークで花が印象的に使われているのもその象徴ではないでしょうか。

そのペネロペ・クルスがフラメンコを歌うシーンがあります。ギターの二人を従え、漆黒の大きな瞳を潤わせて、万感の思いを込めて「ボルベール」という曲を歌うのですが、このシーンはおそらくこの映画のクライマックスでしょうね。そのぺネロペの美しさは恐らく、映画史で語り継がれるのではないでしょうか。残念ながら歌は吹き替えで、実際にはスペインのフラメンコ歌手、エストレージャ・モレンテが歌っているようですが、そのシーンの素晴らしさを減ずる物ではありません。このシーンのためだけでも、充分劇場で見る価値がある。ということで、私は劇場でご覧になることを、強くリコメンドします。


『ボルベール』の公式ホームページは以下です。劇中で歌われる「ボルベール」がBGMとして使われていますので、ぜひご覧いただき、音楽を聴いてみてください。花をモチーフとしたアートワークもとても美しいものです。


「おとなを、休む日」の「映画を、楽しむ日」ではジョニー・キャッシュの波乱に満ちた半生を描いた「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」をご紹介しています。主演はホアキン・フェニックスとリーズ・ウィザースプーン。こちらの映画では二人とも吹き替えなしに歌っています。その歌のうまさにはビックリしますよ。ぜひご覧ください。



Volver [Original Soundtrack]
Julie Andrews,Nicholas Bucknall,S. / Oakley, L. / Waterfield, M. Cracknell,Carlos Gardel,Jacinto / Romero y Sarachaga, Federico / Guerrero Torres,Alberto Iglesias,Javier Crespo,Montoyita,Skaila Kanga,Andrew Findon
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