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ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

映画「60歳からのラブレター」を見た<★★★★☆>

2009年05月26日 18時55分58秒 | 映画レビュー
中村雅俊を映画のスクリーンで見るってのは、どういう感じかなって思ったが、やっぱり、なかなかいい。いまの60歳ってジャズの師匠もそうだが、ぜんぜん若い、自分と変わらないというか、自分よりある意味アグレッシブで若いようにも思える。

この映画はとても地味だし若いスターも出ていないんだが、意外とこういう映画がいいんじゃないかと思ってみてみたら、これまた、まさに「意外といい」という感じだった。

いわゆるアラウンド60歳の夫婦、というか男女の3組を描いた、グランドホテル形式のストーリー。こういうフレームだと、キャリアを積んだ芸達者な役者たちは真価を見せる、じつにいい感じだ。まるでジャズメンたちが旧知のメンバーとリラックスしてスタンダードを演奏しているかのような素敵で色気のあるアンサンブルである。


中村雅俊と原田美枝子の夫婦の話がメインだが、僕は井上順と戸田恵子のところがよかったな。まるでウディアレンとダイアンキートンの感じ。ちょっと粋で。井上順もスクリーンで見るのは初めてだが、いい年の取り方をしていて、役者的でない控えめな演技もなかなかいい。イッセー尾形と綾戸智恵は、綾渡が演技的にはキツいが、イッセイ尾形がマーティンに憧れるところ、そして一生懸命弾くところが泣ける。

話は逸れるが、マーティンのアコギってのは、ほんとうに昔から高かった。オレが高校生の時からD28は30万円弱。当時はとても、いつか買えるとは思えなかった。大人になってから入手したが(D35だが)、やっぱりある種の感慨はあったな。でも今のモデルなので、特別凄くいい音がするという気はしないが……。そういえば、小さなギターショップのオヤジ役で、ムーンライダースの鈴木慶一が出ていたけど、ハマり役だったなー。また話は逸れるが最近のカラオケのはムーンライダースもあって、スカンピンなんて曲もあって、いい曲だったな、歌ってみて初めて気がついた。エンディングの森山良子さんが歌うテーマ曲も良かった。森山良子さんもアラウンド60なのかな。お逢いして話したことがあるけど、とても華があって上品で、しかもアクティブで、とてもそういう風には見えなかったなー。


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映画『グラントリノ』を見た。<★★★★☆>

2009年05月21日 00時02分54秒 | 映画レビュー
映画『グラントリノ』を見た。<★★★★☆>

クリント・イーストウッド主演・監督。
さすがである。質のいい文芸作品を読んだときのような、静かで深い感動。
秀作である。<★★★★☆>

テーマは、古き良き、強き「アメリカ」を体現する老人が、体を張って「あるもの」を守ろうとする話。
あるものって、なんだろうか。
自尊心、アメリカらしさ、それとも、命を賭したアメリカ自身の懺悔なのかもしれない。

朝鮮戦争で勲章をもらい、フォードで自動工として働いていた男が、
晩年、自分の国の状況にある種絶望しながら、自分の信念を貫いてこの世を去っていく。
簡単にいってしまうとそんな感じだが、なんというか、その絶望の深さと、
老人の途方もない無力感は「ノーカントリー」が描くところとソックリに思えた。

外から報道で見ているよりずっと、アメリカは病んで絶望に瀕しているのかも知れないな。

彼は遺言で、子供や孫ではなく、アジアの少数民族で
アメリカに移住してきているモン族の若者に、
古き良きアメリカを象徴する自分のシンボルを与える。

それは、彼が思っていた今までのアメリカとは違うが、
イーストウッドが絶望の中で託したた、
新しいアメリカへの希望をかいま見せているようにも思った。

それにしても、クリント・イーストウッドはスゴい。
演技も監督としての手腕は、現代を代表する名匠の域だろう。

そういえば,エンドロールで、クリント・イーストウッドらしいしゃがれた味わい深い、いいボーカルが聴ける。そのメロディは、その後とてつもなく上手く、若くていい声の男性ボーカルに引き継がれるが、これがまぁ、イギリスのジャズ/ポップシンガー、ジェイミー・カラムだった。

オレは何故かジェイミー・カラムが天才少年ジャズボーカル現る、と話題になったファーストアルバムを浴びるほど聴いていて、一発で声でわかるのだった。いや、いい歌手に成長していて、本当に素晴らしい。
こんな素敵なジャズボーカルが、なぜかアメリカではなくイギリスから登場するところが、この「グランドトリノ」同様に、アメリカの弱体化、アメリカの世紀=20世紀の終焉を感じさせる。

今日は早朝から出かけていて……。眠いです。


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映画『ホノカアボーイス』を見た<★★☆☆☆>

2009年05月14日 12時12分07秒 | 映画レビュー
ホノカアボーイズは、ホノカアというハワイの(架空かと思ったけど? ハワイ島に実在した)場所での若者と老人の話で、いわば、若者のモラトリアムと老人の淡いやりとりを描いた映画。
最近、「かもめ食堂」とか、「めがね」、あの手の新しい日本映画の流れがあって、前掲の二作はとても素晴らしかったんだが、このホノカアボーイズは、今ひとつであった。

4月に見た映画の話ですが、まだ公開しているところもあるようです。

モラトリアムすぎる、草食系男子、そして、少女のメンタリティを残す老女。ほとんどミネラルウォーターに一滴だけカルピスを入れたような淡い、淡い恋というのは素敵ではあるが、全体には緩すぎ。しかもほとんどが日本人(日系ハワイ人)で、つまりは日本人が考えるパラダイスである。

とはいえ、老境の倍賞千恵子の純真な色気、黄味こいしの存在感、松坂慶子の意外なキャラなど、キャスト的には見るべき物は多いと言えるだろう。
蒼井優とか深津絵里とか有名女優を映画の中であまり意味なくちょっとだけ使って、キャストに入れてるってのも、あまり感じいい物ではないです。

ちょっと辛めですが。
<★★☆☆☆>

です。


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『スラムドックミリオネア』を見た。<★★★★★>

2009年05月11日 21時37分24秒 | 映画レビュー

『スラムドックミリオネア』を見ました。
今年8部門のアカデミーを獲った話題の映画で、いわゆるハリウッド映画ではないんですが、これは本当にアカデミーに相応しい作品。日本からの「おくりびと」もアカデミーを獲りましたが、これからはだんだん、アメリカのジャズだけがジャズでないように、ハリウッド映画だけが映画じゃない、という時代になるような気がします。

この映画は多層的に見ることができて、インドの貧富の差、近代化とそのねじれ、という見方もできるし、
主人公ジャマールの純愛、という見方もできるし、
苛烈な環境で育まれる兄弟愛のものがたりという見方もできる。
いずれも、重層しており、そこにインドの苛烈な現実、たとえばスラム、ギャングの現実、子どものおかれた現状、日本の高度成長のような状況など、いろんな要素が含まれつつ、これが「ビリオネア」というクイズ番組の中で、非常に素晴らしいバランスと語り口、リアリティで語られている。それが素晴らしい。
とはいえ、最も衝撃的なのは、インドの社会の真実であり、これは先進国の映画を見る人間達には、間違いなく衝撃的だろう。きっと、あれでも現場の真実よりはずいぶん映画的に整えられているはずだ。

ぜひ見ていただきたいので久々ですが、満点です。
<★★★★★>
インド映画らしいラストシーンも、良かったなー。

週末の朝日新聞に、この映画の原作である小説『ぼくと1ルピーの神様』の作者である、インドの現役外交官、ヴィカス・スワラップ氏のインタビューが載っていて、これがまた興味深く読むことができた。クイズ番組、ムンバイ、スラム街。貧しい兄弟、運命の人、苛烈な貧富の差、ヒンドゥー教、イスラム。とにかく、ぜひ見て欲しい作品です。

ちなみに、原作者のヴィカス・スワラップ氏は、まもなく大阪総領事に就任するそうです。

アマゾンで、原作者のヴィカス・スワラップ氏のインタビューの動画が掲載されていました。そちらもぜひご一読を。


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映画『バーン・アフター・リーディング』を見たけどいまいちでした。<★★☆☆☆>おすすめしません。

2009年05月10日 19時31分58秒 | 映画レビュー
「ノー・カントリー」のコーエン兄弟だし、キャストはゴージャスだし、ブラピも、ジョージ・クルーニーも出てるし(、ジャズボーカルファンの諸氏、ローズマリー・クルーニーの親戚だったってご存じ?でしたか)ま、映画好きなから必ずや見るだろう、この作品なんですが、僕としてはちょっとスカだったな。
あまりおすすめしません。理由を書くとネタバレなのでねぇ。正直言って、予告編がいちばん、よかったのではないだろうか。
<★★☆☆☆>  2点です。

ちなみに、最高だったのは、最後のエンドロールで流れる音楽。
これが超イナタイ感じのブルース。ライブ録音で、音も悪いんだけど、
すごく声の低い人がうたってCIAマン、っていう決まり文句で各コーラスをしめるんだが、これはいいよ。
正直、これだけ聴きに行くぐらいでもいいと思う。
いったい誰が歌ってるんだろうなぁ。

公式サイトは以下
http://burn.gyao.jp


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映画『トウキョウソナタ』を見た。<★★★★☆>

2009年04月18日 22時59分41秒 | 映画レビュー
畑違いの仕事の電話を受けつつ、池袋の文芸座で見たのだった。
というのも、ロードショーは終わっているんだが、アメリカ版のアップルのサイトのQuickTimeの予告編があって、それが良かったのでね、いつか見たいとは思っていたんだが、僕はテレビはDVDでは映画を見ないたちで、必ず映画館で見るので、ロードショーでないものは、名画座でみるしかないのだ。
本論には関係ないが、新文芸坐に行ったのは初めてだった。
以前の文芸坐には何回か来ていたんだが(学生時代に)、今時の名画座はきれいだな。
安いし、いい映画は見られるし。もっと名画座に行ってもいいと思った。


さて、映画だが、先日、先走ってなぜトウキョウソナタのオヤジがだめなのか、というエントリーを書いた。

こちらです。
http://blog.goo.ne.jp/hoboike_diary/e/11b8997012376674fe165c0a5e774ef9

が、上記のエントリで前述したように、香川演じるあのおやじにはイライラさせられたんだが、映画としては、いい映画だったと思う。<★★★★☆>です。

この映画で描かれているのは、現在の日本、東京の閉塞感だろう。
痛々しいぐらいぐらい、身につまされる。家族がバラバラになっている。そして疑似的な家族の死があり、再生があるという物語だ。

いま瀕死の状況にあるのは、高度成長期に形成された家族のモデルだ。
すでに十分に成熟し低成長の時代に入った高度資本主義では、もう旧来の家族モデル、就労モデルは無理が出る、しかし新しいモデルを探せないでいるので、家族みんなが閉塞している。
リストラされても家族に言えない。
スーツを着て出かけて、炊き出しの列に並ぶ、
家では家長の威厳を守るために必死となる。妻も、子供も父親が演じているものを知っている。

そんな状況で、四人の家族はそれぞれが絶望し、そして疑似的な死を体験し、再生へ、希望へと向かう。その意味でこのラストシーンは救いがある。そしてその象徴が、美しいピアノ演奏であることに、音楽好きの一人として、非常に幸福を感じる。実際、そのラストシーンのピアノの演奏は素晴らしかったと思う。あの曲はドビュッシーの月の光、という曲だそうだが、弾いている人もすごいと思った。

小泉今日子、いいね。嘘のない相応の老け方がいいと思う。
そして、香川照之の演技力は凄いです。
そして役所広司の唐突さと、こっけいさ、最高だし、これは役者としての品格があるからできること。これも印象深いです。

それにしても、みなさん、もう新しい家族のモデル、新しい仕事のモデルを自分なりに構築していかないと、必ず無理が出ますよ。既成概念を捨てて、幸せな人生を構築しましょう。

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映画『トウキョウソナタ』の父親は、なぜダメなのか。

2009年04月13日 23時19分51秒 | 映画レビュー
黒沢清監督、香川照之,小泉今日子主演。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 審査員賞受賞作品。トウキョウソナタを見ました。もう映画館では名画座でしかやっていませんが。

で、映画評の前に、この映画の父親がなぜ、ダメなのかについて、書きたいと思うんです。


ネタバレ必至ですので、これからDVDを見ようと思っている方は、どうぞ、見てからお読みいただきたいと思います。









で、見た方と、見る気のない方だけ、この下のテキストをご覧ください。











この映画はとてもいい映画だったと思います。
特にラストシーンのピアノがすばらしいんですが、
そこに至るまでの、特にこの家族の父親には、腹が立って腹が立って。だからこの国は駄目なんだよ、と思ってしまいましたよ。ま、それだけ日本の閉塞状況が上手に描かれているってことだと思うんですけどね。それが、外国で評価される理由でもあると思います。


で、このお父さんは、何がダメなのか。


●会社をリストラされた。
→総務部かなにか。業務を中国にアウトソースすることになりリストラ。
その状況は社内にいればわかるはず。リストラされないように手を打つべき。

→あなたはこの会社にどんな能力を提供してくれますか、と言われて怒って辞めたんだが、提供できる能力がないのが、もともとダメ。


●リストラを家族に言い出せない
→家長の威厳かなにか知らないが、自分の仕事やいろんな状況を素直に奥さんや家族と離せないようなひとは駄目。父権をかざすことが家族の迷惑になっていることを、自分だけが知らない。だから孤立する。

→会社を行くふりをする、とう嘘が、どんどん大きな嘘になり、それは当然家族にもバレ、どんどん孤立し一人で苦しむ。


●リストラされて、いきなりお金に困る
→リストラはある程度その予兆はあったはずだし、それ以前に急に収入が断たれても、半年や一年ぐらい暮らせるようなファイナンシャルな知識とそれに基づく備えが必要。


●子供の能力、妻の能力を生かせない。
→家長として君臨しようとするために、家族の能力を生かせない。自分が一番能力が高いという幻想を、自分で守るため。


もう、こういうことで映画の中盤過ぎまではイライラしてしまった。
それだけ黒沢清の監督の手腕と、香川照之の演技が上手いってことだと思いますが。
でも、日本の男性のダメな面がフォーカスされていて、これは本当にダメだと思ったよ。


もちろん映画的には、そのあとで、あるクライマックスがあり、カタルシスはあったんだが。

そのあたりは、もう一回書きます。


でも、会社に依存した人生は、ダメです。
本当にね。



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映画「バンク」を見た。<★★☆☆☆>

2009年04月12日 12時18分12秒 | 映画レビュー
映画「バンク」を見た。<★★☆☆☆>

ナオミ・ワッツが出ていることが唯一この映画を見る価値だと思う。
でも、あまりきれいだな、と思わせるシーンはないけど。

いまいち、いまにぐらいだな。

The Internationalというほうが、この映画の趣旨の正鵠を得ていると思う。目指したことは社会派、多国籍企業と国家がグルになっていて、みたいなことなんだが、凡庸だし、ま、深みもない。


残念ながら<★★☆☆☆>です。


映画『ヤッターマン』を見たけど、ドロンジョに尽きる

2009年04月03日 16時50分14秒 | 映画レビュー
ちょっと前になりますが、映画『ヤッターマン』を見たけど、ドロンジョに尽きるですね。
ヤッターマンは実写版を作ったと言うだけで、もう素晴らしいOKなんで、ストーリーがどうしたとか言うべきでないと思ってます。
でも、アニメ的な適度な自己批判があって良いよね。

でも、なんといっても深田恭子のドロンジョが、すんばらしい。
オリジナルの年増な感じより、もっと若くて甘めで、これは素晴らしい当たり役。下妻物語も相当当たり役だったと思うけど、今回のほうが、数段凄いね。

ちなみにボヤッキーも良かったです。



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映画「イエスマン」を見た。<★★★★☆>

2009年03月28日 17時20分02秒 | 映画レビュー
イエスマンを見た。なかなか、思ったよりずっといい映画でした。
なんか、ポスタ^とかもつまんなそーに見えたんですがね

ジムキャリーは大好きなんです。アメリカの柳沢慎吾の、カッコイイ版だと思うんだけど「マスク」は最高だったし、「トゥルーマンズショー」も良かったなー。なんていうか、人柄かな。ブルース・オールマイティってのも見たな。モーガン・フリーマンが神様だった。脚本家が記憶喪失になる「マジェスティック」という映画も、巷ではたいして評判が高くないが、俺は相当好きだったです。

この映画は、正直いって映画として五つ星ではないと思うんだけど、

1.ジム・キャリーがとてもよい。
2.ズーイー・デシャネルというヒロインの女の子がカワイイ。
3.すべて「イエス」というセミナーとその実践が深淵。

の3つがポイント。

イエスということで、どれだけ人生が開けていくのかってことが、オモシロおかしく描かれているが、これは深遠な話でサラリと終わるのはもったいないので別に書きます。

映画、結果として
<★★★★☆>です。

面白かったのは、ズーイーがやっているというバンドが映画の中で演奏するんだが、そのダサダサぶりが、笑ってしまうぐらいおかしいの。

それと、ビートリズフリークにしかわからないようなコネタが挟まっていて、これもおかしかった。ビートルズのヘルタースケルターの延々と演奏した最後にリンゴスターが「指にまめができちまったよ!」と叫ぶんだが、これをジム・キャリーがギターを弾いた後に叫ぶのが笑える。ニッチだけどな。それと、ハリウッドボウルに夜中に忍び込んでキャットバイミーラブかなにか歌うのも、あのビートルズのライブ盤のジャケットからの引用だな。

と、映画評としてはここまで。

続編として
この
「3.すべて「イエス」というセミナーとその実践が深淵」について考察してみようと思います。


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映画「チェンジリング」の感想ですが、実話という免罪符で。

2009年03月24日 21時16分20秒 | 映画レビュー
クリント・イーストウッドの「チェンジリング」の感想をやっと書きます。

これは実話だそうで、戦前にロスで起こった誘拐事件を元に作らているようです。
主役は、アンジェリーナ・ジョリー。
しかも今回は強い母役。
セクシーなシーンも、アクションもなし、いわば文芸大作。大河ドラマに挑む宮崎あおいちゃん、というところでしょうか。
コンセプトは、アンジーを演技派と呼ばせるように、いい芝居をすることにフォーカスする映画を作る、ということだったのではないか。
なんか意地悪な言い方になってるかも知れないけど、そういうつもりではない。
でもアンジーは、陽気でスタイリッシュでセクシーで、アクションもこなす、というミスター&ミセススミスのときのような役柄がいいと思います。

とはいえ、確かに演技力はすごく、強く、政府や警察を敵に回してでも戦うタフさをよく表現していると思った。
それにクリント・イーストウッドらしい、渋く余韻の残るラストシーンも素晴らしい、そこに、先日書いたトランペットの曲がかぶってくるわけだが。

以下ネタバレなので、これから見る人は読まないでー。











ただ、ひとつ言いたいのは「実話」ということで誰も突っ込まないし小説より奇だからしょうがないが、プロット的に、子供の入れ替え、取り違えに、子供側の動機が弱すぎるし、子供が何ヶ月も別の子になり済ます理由が、あまりに弱い。だからこのミステリアスなストーリー構造は、いい役者、いい演技、いい演出があっても、どうもしっくりと来ない、なんかキツネにつままれたまま終わってしまうのであった。その辺の弱さが、どうも「実話」という免罪符で許されているように思えるんだが。


ところで、ジョン・マルコビッチの演技が、これまた素晴らしい。それとアンジーの瞳だ。


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映画『マンマ・ミーア』のメリルストリープには、脱帽。史上最強の女優ではないだろうか。

2009年03月07日 21時47分11秒 | 映画レビュー
メリル・ストリープ。

ひょっとして、現存する最強の女優ではないだろうか。
今年もアカデミーノミネート。
ダウトという映画で前人未踏のアカデミー賞15回ノミネートという偉業を成し遂げたそうだよ、すごい。
Meryl Streep。
49年生まれ、というから、申し訳ないが計算すると……。60歳ですか。


僕の印象だと、まずクレイマー・クレイマーのお母さん役。ダスティン・ホフマンもよかったな。
そして、ソフィーの選択の、辛い辛い選択を迫られる母親の迫真の演技。
恋に落ちて、の、デ・ニーロとの、実に小粋なNYの大人の恋もよかった。

最近で印象に残ったのは、プラダを着た悪魔の、まぁ、憎らしい、そして凄まじく美しい鬼編集長役。
さらに、トム・クルーズと出ていた、戦争映画「大いなる陰謀」でのベテラン女性記者役。

いずれも、素晴らしいとしか言いようがない。

が、マンマ・ミーアのメリルストリープは、
いままでのどのメリルストリープでもない。
陽気で、謳って、踊って。
しかも、これが、多分本当にそういうひとなのだろう、と思わせてしまうぐらい自然なのだ。


アバの曲を歌って踊って、ダンスしていても、足が上がる上がる。
歌が上手いのにも、驚かされた。
実は出世作はブレヒトのミュージカルだったそうだし、
高校生時代は、チアリーダーで、三年連続学内ミュージカルに主演だそうだ。
映画の最初のほうは、かなり疲れたオバサンで、ああ、メリルストリープも老けたなーって思わされるけど、映画見てくうちに、どんどん綺麗になるのね。ラストシーンのエンドロールで三人娘で歌って踊る所なんて、本当に最高です。

驚いたのは先代のジェームス・ボンドであるピアーズ・ブロスナンが出てきてこれまた歌って踊るんだが、驚くほど彼も歌が上手い。ちょっとハスキーで、ロックっぽいテイストで歌えるんだよな。ビックリしたよ。

ところで、アバ。なぜアバ。アバの曲は、なんていうか、不思議です。ロックっていうか、歌謡曲っていうか、いっしゅのピンクレディみたいなものなのだろうか。

そういえば思い出すのが、オバマとの選挙戦の時のマケインなんだが、音楽の趣味はアバっていわれて、すっごください人、と言われてしまったようだ。

が、アバっていうのが、多面的な評価をえつつ、いまも花を失わない、今も愛される音楽である、それだけでも、素晴らしい話じゃないですか。

実は、ステレオタイプな女性の幸せを打ち破って前に進んでいくところに、このミュージカルのキモはあるそうだ。だいたい、フラワーチルドレンの彼らのほうが進歩的で、子ども達のほうが保守的という逆転が生まれているようにも思える。最近だが。

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祝・アカデミー賞助演男優賞、ヒース・レジャー。死んでしまっていて残念です。

2009年03月04日 20時49分46秒 | 映画レビュー
いまさらですいません、日本映画の大活躍の影で気がつかなかったんですが、ヒース・レジャーがアカデミー賞助演男優賞を獲ったんですって!

素晴らしい。本当に凄い演技でしたよ、バットマンのジョーカー役。以前はたしか、ジャック・ニコルソンがやったりしていて、ある種コミックから抜け出してきたような突き抜けた感じで良かったと思うけど、ヒース・レジャーは、本当に凄かった。凄みがあった。彼は残念ながらこの映画の後で死んでしまったんだが、そしてそれは事故だったんだと思うけど、まるで死期を知っていたかのような、一世一代のとてつもない演技だったと思う。

ブラックレインの松田優作を、俺は見たときから連想していた。

ブロークバックマウンテンの、生き残ってしまう方の青年の静かで深い池のような悲しみの演技も素晴らしかったし、ウィキペディアで知ったんだが、チョコレートの親子三代の保安官の息子の役もやっていたんだな。とてもいい演技でそれも印象に残っている。

たぶん、このアカデミー受賞の後にドンドン評価が上がっていくんだろうな。本当に死ぬ間際まで撮っていた映画があるそうだが、それは公開されるかどうか微妙、ということである。見たいねー。いや、この当たり役のジョーカーで止めておいた方が良いのかな。

ヒース・レジャーの
http://cinematoday.jp/page/N0017052?g_ref=mixi

映画『感染列島』を見た

2009年03月01日 21時52分42秒 | 映画レビュー
「檀れい」を見るための映画だろうな、と思ったけど。
たしかに、そうでした。
さらに、妻夫木聡 も、なかなかいい役者だった。
そして、脇を支えた藤竜也の力の抜けた、味のある演技も実に秀逸だった。

とはいえ、正直言って映画としては出来は悪いし、無駄に長いし、どうかとおもったけど、医師と看護婦たちが一生懸命、患者を救うっていうのは、泣けて仕方ない。

俺は4年ぐらい前には、脳腫瘍を患った弟に付添い、医師の必死の努力と弟のがんばりを見て(残念ながら弟は死んでしまったが)、2年ほど前には、乳癌を患った母に付添い(現在母は回復)ということで、さんざん病院にいた。
医師と看護婦、看護師の献身ぶりとその激務ぶりには、本当に頭が下がる思いだ。この映画でもそう思った。そして、医師の努力もむなしく、病気で死んでいく人を見るのは、たとえ映画の中でも、俺はまだ平気で見ることはできない。厳しすぎる。

結論でございます(受験生ブルース)
映画は凡作だが、檀れいは美しかった、そして、医師の献身的な姿は美しかった。勘案すると<★★★☆☆>です。


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映画「ベンジャミン・ボタン ~数奇な人生」は、なぜそれほど面白くなかったのか<★★★☆☆>

2009年02月17日 23時24分05秒 | 映画レビュー
大変期待していたわけだが、期待には届かなかったと言うべきか。
もちろん平均点を上回る映画だとは思うんだが、
<★★★☆☆>と、ちょっと辛めにしてみた。

ではなぜ。
(さて、ここからネタバレなので、これから見る人は読まないように)







1つはストーリーが単調だった、というか、この映画は、人生をリバース捨てる時間生きた人物の話で、老人から赤ちゃんになって終わるわけだが、ほんとうに、それだけの話とも言えて、これを再度リバースすれば、単に普通の人生のように思える。数奇ではあるが、ノーマルのリバースだ。

2点目。長すぎる。最近英会話のまねごとをしてるんだが、先生であるジェーンが、あれはグレート・ギャッツビーを書いたF・スコット・フィッツジェラルドの短編だ、と言っていた。なるほど、数奇な運命も短編で上品に描けば、不思議な味わいのあるファンタジックな作品と言えるだろう、掌編というやつだ。でも、この映画は徹底的に描いていて長すぎる、ある種、こういうエキセントリックな設定の映画であれば極端な省略などがあってもいいと思った。

3点目、設定がエキセントリックすぎて、どの登場人物にも感情移入できず、終始、自分とは関係ない世界の話を見ている気がした。


がだ、この映画の素晴らしい点も書いておかなければアンフェアというものだ。

何が凄いか。それはブラット・ピットとケイト・ブランシェットのとてつもない役者魂だ。ブラット・ピットも、ケイト・ブランシェットも、若者の役から、老境に至る役までを見事に演じている。本当の子供時代の子役を別にすれば人生のすべての年令を演じていると言っていいが、これが、実に素晴らしく演じられていて、これはもう、とんでもない演技力だというほかない。ブラット・ピットは、特に素晴らしい。ケイト・ブランシェットも、いままで彼女の映画をあまり見てきていなかったが、実に素晴らしい演技だったと言えるだろう。

ところで、この映画をいて連想したのは『アルジャーノンに花束を』である。
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これは、智恵遅れから、天才になって、また智恵遅れに戻ってしまう話だったが、実に素晴らしい本で、泣きに泣いたことを思い出す。それに比べると、この映画はもうちょっと、何かできなかったのだろうか、と役者がよかったからな、と思うのであった。

俺的には、ブラピの最高傑作はこれ。

ファイト・クラブ (ベストヒット・セレクション) [DVD]

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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