タイトル----巧詐は拙誠に如かず。第1985号 26.06.03(火)
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巧詐は拙誠に如かず。『韓非子』
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巧みにいつわって、人をあざむくよりは、拙くとも誠心のあるほうがよろしい。
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【コメント】
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人間、ややもすると人が見ていないから、夜で暗いからわからないのだ、と思いがちであります。ところが、天は如何なる時でも観ているということです。75年生きて来て、中村天風師の言は間違いないと信じています。尤も、その前に、多くの古典を学修してきましたので。先ずは『禅とは何か』『古典の叡智』が最初でした。
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『天保おすわり事件』(第41回)
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一 八
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長右衛門も、あたりを見まはし、一段と聲をひそめて
「何んとかしてお殿様に、このまま荘内に、おすわりを願ひたい。それがどうしても出来なければ、吾々お百姓は、こぞって長岡にお伴をする。その相談にまゐったのぢゃ。」
長右衛門の舌には、熱があった。
それでも辰之助は、まだ心を許さなかった。
「それをする為には江戸に出て、御大老、御老中に、直訴、強訴をせねばなりませぬぞ。直訴や強訴の結果が、どんなに怖ろしいものであるか御存知かな。」
「知らいでか!」といった清兵衛の眼には、いつはりならぬあつい涙があふれてゐた。
「この有難いお殿様のためなら、わしは、磔刑(たくけい)にもかかろう。水牢にも入ろう。覚悟はちゃんとできて居ります。お侍衆は、昔から、忠臣は二君に仕えず、と申してをられるが、お百姓だって同じ事だと思ふ。」
正に大丈夫の決心である。
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短歌の紹介
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敵国や外患なくば國亡ぶ
平和の中は堕落しやすい 6788 『人間学のすすめ』20
維新とは革命でなく有機的
道徳的な価値のあるもの 6789 『人間学のすすめ』20
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まさしく現今の日本がそうなのであります。