味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

心照古教録(十二)

2011-08-24 11:04:08 | ブログ

タイトル---心照古教録(十二)。第951号 2308.24(水)

 『郷學』 平成23年 春 第75号に掲載された、安岡正篤先生 心照古教録(十二)をブログでご紹介致します。発行は(財)郷学研修所・安岡正篤記念館ですので、入会希望の方は、お申込みされますようお薦め致します。私は長年購読していましたが、ひとまずお休みさせて戴いています。

 安岡先生の教宣については、個人としては私が全国で一番だと自負しています。安岡先生関係の著書等を300冊程度関係者に贈呈したきたのですから。それは、国家の将来と、個人が人生を謳歌するための処方箋が随所に導かれており、これほど素晴らしい教えはないと確信しているからです。

子曰く、夫れ孝は徳の本なり。教えの由って生ずる所なり。---身體髪膚これを父母に受く。敢て毀傷せざるは、孝の始めなり。身を立て道を行い、名を後世に掲げ、以て父母を顕すは、孝の終りなり。(孝経 開宗明義章)

 (大意) 孔子が言われた。孝(行)こそは、あらゆる道徳の根本となるものであり、教育の根源となるものである。自分の身体は、毛髪・皮膚に至るまで、すべて父母からさずかったものである。その大切な身体を、わけもなく、痛め傷つけないよう心がけ務めるのが、まず孝行の基本である。 

 人として立派に成長し、正しい人の道を実践して、それによって父母の名を世間に広く顕彰するまでに到れば、孝行をなし遂げたことになる。

 

 『小学校唱歌集』に作詞・作曲未詳の「仰げば尊し」が収録されたのは、明治十七年のことですから、127年前のことです。以来、卒業式の歌として歌い続けられ、私たちも小学生の頃は、一所懸命に歌っていたものです。

 後に孝経を読むようになって、「身を立て名を揚げ」という歌詞が、割愛された孝経の言文だと気づきました。歌詞だから割愛されるのは仕方ないとしても、「道を行い」や「後世に」は肝心な個所です。これが割愛されたために、この歌詞は、「立身出世」を強調したものとされていました。

 近頃、教師自身が「わか師の恩」を教えるのはおかしいということや、「身を立て名を揚げ」はいかがなものかということもあって、卒業式では「巣立ちの歌」にとってかわられたようです。

 この歌詞の出典となった孝経では、人類の徳目の第一に孝を挙げ、人格陶冶の根源に孝を位置づけていることは、右掲の言葉で明白です。

 孝経や論語の「素読」がされた時代には、「身を立て名を揚げ」は、さほど誤解されませんでした。その素読がいかに大切であるかを思うと、現今流行している「読み聞かせ」等、時間の浪費に過ぎないといえます。

---次回に続きます。