味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

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入るを量りて以て出ずるを為す。『礼記』

2009-12-08 15:18:23 | ブログ

タイトル----入るを量りて以て出ずるを為す。『礼記』 第302号 21.12.08(火)

 「五経」の一つである『礼記』は、周末から漢代に至る古礼についての儒者の説を集録したものである。漢代、すでに編述されていた古礼二百十四篇を戴徳(たいとく)が削ってつくったのが、「大戴礼」八十五篇であり、戴徳の甥戴聖(たいせい)がさらにこれを削って「小戴礼」四十九篇をつくった。今日いう『礼記』は、この「小戴礼」である。

 『礼記』は、礼に関する理論および実際を記録編集したものであるから、当時の社会、制度、習俗を知るには絶好の書である。(諸橋轍次著『中国古典名言辞典』講談)参照。

〈國用を制するは、必ず歳(とし)の杪(すえ)に於いてす。〉(新釈漢文大系・竹内照夫著『礼記』明治書院)

 通訳「国の費用について計画を定めるのは、必ず年末に行う。」(前掲書)参照。

〈五穀皆入りて、然る後に国用を制す。〉(前掲書)

 通訳「それは、五穀の収穫を終えてから計画をするのである。」(前掲書)参照。

〈地の小大を用(もっ)て、年の豊耗(ほうこう)を視(み)、三十年の通を以て國用を制す。〉(前掲書)

 通訳「先ずその国の大小とか、毎年の収穫を検分し考え、三十年間の平均収入に基づいて、費用を定めることにしている。」(前掲書)参照。

〈入るを量りて以て出すを為す。〉(前掲書) 

 通訳「これが、収入をよく定めてから支出を行う、というものである。」(前掲書)参照。

 『南洲翁遺訓』第十四章も言う。「会計出納は制度の由て立つ所ろ、百般の事業皆是より生じ、経綸中の枢要なれば、慎まずばならぬ也。其の大体を申さば、入るを量りて出るを制するの外更に他の術数無し。」

 意訳「国の事業は会計出納の制度が基本となっている。すべての事業はみなこれから生ずるものであって、国を治める上で最も重要なものであるから、慎重の上にも慎重でなければならない。その大事な点は、「入るを量りて出るを制する」すなわち、入るのをはっきり確かめた上で、それに合わせて支出をおさえるという以外に良い方法などあるわけがないのである。」

 ところが現在の、我が国はどうであろう。「入るを量る」どころか、最初から首を傾げざるを得ないいい加減さ、である。政治家も官僚も、したい放題て綿密な計画等した形跡はなく、官僚らの食い扶持のため法人を創り続けている実態が、仕分け作業によって白日のもとに晒されてきたのである。

 これを機会に、『礼記』も訓えている「入るを量りて以て出ずるを為す」と同様の厳しい査定の基に、特別会計等々すべてを洗いざらい仕分けし、国民が納得する施策を講じ、国政を運営して貰いたいと念じている次第である。


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