晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 続・灰に謎あり 4/14

2015-04-14 | 雨読

2015.4.14(火)雨

 実は本書のメインテーマであるところの酒、食と灰の関係の記事は奥が深いが少々難しいところがある。化学式など苦手な方にはつらいかもしれない。ところが蛇足とも思われる後半部分には蘊蓄好きにはたまらない記事がある。死の灰で有名になった第五福竜丸事件もそうである。1954年ビキニ環礁で核実験がなされ、安全とされていた地域にいたマグロはえなわ漁船第五福竜丸が被爆した事件である。焼津の博物館に行ったときこの船のレプリカだろうか展示してあったのを憶えているが、写真ぐらい撮ってあるだろうと探ってみたが、なかった。当時(2006年)興味が薄かったのだろう。とにかく被爆の際、放射線を含んだ白い灰が降って「死の灰」とよばれたわけだ。わたしは核爆発がおこれば放射性物質が灰のように降り注ぐものとばかり思っていたがそうではなく、そのもとは珊瑚礁だったのである。つまり色は白とは限らないわけで、広島の場合は黒い雨だった。
 本書の最終ページは灰の付く地名で終わっている。もちろん地名の研究者ではないので羅列してあるだけだが、新潟県と京都府に多いと書かれている。新潟県に石灰岩のとれるところは多い、また京都府は石灰岩は少ないが需要は多いので産地となっているところが多いのではないだろうか。例えば大原野の出灰(いづりは)灰方であるが、これは明らかに石灰岩を産出、加工したものと思われる。加工というのは石灰岩を焼いてつくる石灰(いしばい)のことである。京都府のデータブックにも石灰岩礫岩として大原野が示されている。大原野の石作町、石見町なども関連地名だろう。

高島の資料館で見つけた炭問屋の免状、元は灰を扱っていたのでは。
 また、北山の灰屋、灰屋川などは澤潔氏は、「北山を歩く」の中で屋は谷のことで、木灰を生産出荷した谷ではないかと述べておられる。京都の紺灰座(こうばいざ)が室町時代には長坂口(現在の新町鞍馬口付近)にあったというから、北山は産地としての利があるのかもしれない。染色の盛んな京都では灰の需要も高かったようだ。

【今日のじょん】代わり映えしないので休みます。

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